「憧憬」の意味・類語【使い方や例文】
日本語には、色々な言葉がありますが、漢字2文字で表現できる言葉をどれだけ知っているでしょうか?
その中でも「憧憬」という単語を知っている人がどれだけいらっしゃるか?
「憧憬」という単語の意味や使い方、そして読み方も含めて、どのような言葉なのかをここでじっくりと見ていきたいと思います。
普段あまり見たことも聞いたこともない言葉と思ったなら、言葉の勉強になります。
目次
- 「憧憬」の意味とは?
- 「憧憬」の類語
- 「憧憬」の言葉の使い方
- 「憧憬」を使った例文
- 「憧憬」の英語
- 「憧憬」の対義語
- 「憧憬」を分解して解釈
- 「憧憬」を使った言葉と意味を解釈
- 尊敬と憧憬の違い
「憧憬」の意味とは?
「憧憬」という言葉は、おそらくあまり日常生活では、そんなに多くの使われる言葉ではないので、馴染みが薄いかもしれません。
この「憧憬」という言葉は、楽曲のタイトルに使われたり、歌詞の中や、小説の一節に盛り込まれたりと、文章の中で使われているがあります。
「憧憬」という言葉は「あこがれること」や「あこがれる気持ち」を意味している言葉で、単独で使われると名詞の形になります。
「憧憬」という単語は「憧」と「憬」という2つの文字で構成されていますが、こと2つの文字には、各々「あこがれる」という意味があり、同じ意味の文字を2つ重ねて合わさることで作られている「憧憬」という言葉は、あこがれの気持ちをさらに強調してその意味の深さを増しているのです。
- 「憧憬」の読み方
「憧憬」の読み方
「憧憬」は「しょうけい」と読みますので、ここでしっかりと読み方をチェックしておいて下さい。
「憧憬」の類語
「あこがれること」という意味がある「憧憬」は、似たような意味を持つ言葉を探して見ると、どのような言葉が出てくるのでしょうか?
- 「惝怳」
- 「敬慕」
「惝怳」
「憧憬」の意味に近い語句としては、「惝怳(しょうきょう)」という言葉が出てきます。
この「惝怳」という言葉には「驚きのあまり心を奪われること」という意味があります。
ただ、「憧憬」と同じように、日常的な会話の中では、あまり使われることが少ないかもしれません。
「敬慕」
また、「敬慕(けいぼ)」も「憧憬」の同義語として挙げることができるでしょう。
「敬慕」の意味は、「心から尊敬してしたうこと」ということを指しており、「敬慕する先生師」、「敬慕の念」という表現で使われることがあります。
「憧憬」の言葉の使い方
「憧憬」の使い方ですが、この言葉には「あこがれる気持ち」が強く強調されている意味が含まれていることは前述の通りなのですが、この「憧憬」という語句は基本的に名詞として使われることが大半です。
「憧憬」が名詞なことから、「先生に憧憬の念を抱く」というように「先生」の他に色々な言葉が当てはめられます。
そしてこの部分を対象にして、強いあこがれの気持ちを抱くというような形で使われます。
その他に動詞として使われることもありますが、「先生に憧憬する」といったような形で、名詞の形式と同じように「先生にあこがれる」という意味になります。
このようなことから、名詞形、動詞形のどちらでも、「あこがれ」の気持ちを示すことができます。
「憧憬」を使った例文
では、「憧憬」を使った例文を見て、具体的な利用場面を見ていくことにしましょう。
- 「憧憬」の例文1
- 「憧憬」の例文2
- 「憧憬」の例文3
「憧憬」の例文1
「先輩に対して畏敬と憧憬の念を抱いた」
この例文からでは、文章中の先輩という人物に対しての気持ちが現れており、「心から敬まい、それと同時にあこがれの気持ちを抱いている」という意味が含まれています。
学生の頃には、このような思いを馳せることで懐かしい記憶として残っているのではないかと思います。
「憧憬」の例文2
「数年ぶりに会った近所のお姉さんに懐かしい気持ちと憧憬の念を抱いたのです」
これも昔の懐かしい記憶が甦っていく感じがするのですが、近所の美しいお姉さんに対して、過去抱いていた気持ちを思い出しながら、それと同時に当時の憧れの気持ちを表現しています。
まさに青春の1ページの記憶が鮮やかに戻っている感じが伝わってきます。
「憧憬」の例文3
「ステージ上の女優に憧憬の眼差しを向けた」
ステージ上に立っている女優は押しも押されぬトップクラスの女優さん。
その人に対しての憧れを表現することがありますが、自分、もしくはある人物から、その人物が目標としている人に対して使われることもあります。
「憧憬」の英語
「憧憬」を英語で例えると、“longing”、“yearning”、“aspiration”、“adoration”と表現することができます。
「憧憬」の対義語
「しょうけい」の反対の意味を持つ対義語としては、「嫉妬」が挙げられます。
「嫉妬」は「しっと」という読み方になりますが、「他人が自分より恵まれていたり、すぐれていることに対して、うらやみねたむこと」や「自分の愛する者の愛情が他に向くのを恨み憎むこと」という意味があります。
「愛人が妻に嫉妬する」
「後輩が先に出世したことで嫉妬する」
このような使い方になります。
「憧憬」を分解して解釈
では、「憧憬」を「憧」と「憬」の2つの文字に分けて意味を見ていくことにします。
- 「憧」
- 「憬」
「憧」
「憧」とは「あこがれる」という意味がある他に、「心が落ち着かない様子」という意味も含まれています。
「憬」
「憬」にも「憧」と同じように「あこがれ」という意味があり、さらに「遠くのすばらしいものを求めること」や「遠くのものにひかれるほのぼのとした心」、「さとる」、「それを知って心の中が明るくなること」やそのようなさまを表しています。
「あこがれ」の意味を持つ漢字が2つも含まれることから、ますます「相手に対するあこがれ」の気持ちが強まっていることが見て取れます。
「憧憬」を使った言葉と意味を解釈
では、「憧憬」を使った言葉を見ていくことにしましょう。
- 憧憬の眼差し
- 「憧憬の念」
憧憬の眼差し
「憧憬」を使う言葉の中に「憧憬の眼差し」という表現がありますが、とある対象に対して「精神的な憧れの対象として見ている」という意味で使われることが多い表現です。
この「憧憬の眼差し」と同じような表現では、他に「尊敬の眼差し」や「崇拝の眼差し」などもありますが、何れの表現もある対象を「精神的に自分より上の位置にある存在」として、「目標」としてあこがれる状態や、「崇め奉る」崇拝の対象、あるいは「依存したい」対象として捉える際に使う表現となります。
「憧憬の念」
「憧憬の念」と、人や特定のものごとに対して「あこがれの気持ちを抱く」という意味を持つ表現として使われています。
「憧憬」が名詞の形で使われることは、例文でも見た通りですが、「憧憬の念」という表現が使われることが多いですね。
尊敬と憧憬の違い
「憧憬」は、「憧」、「憬」ともに、「あこがれる」という意味がありますが、「尊敬」は、尊び敬うと書き下せます。
このことから、「憧憬」とは、単なるあこがれを表現するだけの時に使われ、対象となる人やものごとへの尊敬の気持ちがない場合もあります。
これが、「尊敬」と「憧憬」の違いと言っていいでしょう。
人は、若い時に誰がにあこがれる気持ちを持つものですが、振り返ってみるとその記憶がとても懐かしく感じることができるのではないでしょうか?
10代の前半に歳上の人に淡い恋心を抱いた懐かしい記憶は、誰でもあったことかもしれません。
そのような懐かしくも、どこか切なさも覚えてしまうような気持ちを「憧憬」で例えることができるのだと思います。
社会人になってから、バタバタと慌ただしく働いている人は、そのような昔の記憶から遠ざかっているかもしれませんが、ふと昔の記憶を甦らせて、古くもみずみずしかった純粋な青春の思いを楽しむこともいいと思います。