「推歩」の意味・読み方・類語【使い方や例文】
多大な恩恵を受けていながら、あまり理解されていない言葉が「推歩」です。
「推歩」は現在、他の言葉にとって変わられている事が多く、あまり耳にする事がありません。
しかし、是非覚えておきたい言葉のひとつなのです。
目次
- 「推歩」の意味とは?
- 「推歩」の類語や言い換え・似た言葉
- 「推歩」の言葉の使い方
- 「推歩」を使った例文や短文・解釈
- 「推歩」の英語
- 「推歩先生」のあだ名の著名人
- 「推歩学」とは
- 「推歩」を分解して解釈
「推歩」の意味とは?
同じ漢字、読み方であっても2個以上の意味がある言葉も存在します。
「推歩」も全く違う2つの意味がある言葉です。
ひとつ目の意味は「天体の運行を測ること」になります。
ご存じの通り、自転している地球から観測をすると太陽や惑星などの天体は日々動いている訳です。
こうした天体の動きを測る事が「推歩」のひとつ目の意味となります。
つまり「推歩」は自然科学の一種であると言えるでしょう。
ふたつ目の意味は「たどりながら歩く」という漢字の持つ意味通りの意味となっています。
- 「推歩」の読み方
「推歩」の読み方
「推歩」の読み方は「すいほ」と非常にシンプルなものです。
推測や推理などの言葉に使われる「推」は音読みでは「すい」としか読みませんから、間違えようがないでしょう。
「歩」の場合、熟語によっては「ほ」だけではなく「ぽ」「ふ」「ぶ」等とも読みますが「推歩」の場合は「ほ」となります。
このように決して難しい読み方ではない「推歩」ではありますが、字体が「進歩」に似ているため、慌てて「しんぽ」と読み間違えないように注意しましょう。
「推歩」の類語や言い換え・似た言葉
推歩は古くから使われている言葉であり、人の生活に多くの影響を与えています。
ただ、実際のところそんなに耳にする言葉でもないでしょう。
それは、推歩よりも他の似た意味を持つ言葉の方が、一般的に使われるケースが多いからです。
そんな「推歩」の類語となるような言葉を紹介します。
- 天文学
- 暦学
天文学
天文学という言葉なら、多くの人がよく知っていることでしょう。
天体や宇宙の様々な現象や相互影響などを研究する自然科学のひとつになります。
例えば天体の運行や大きさや宇宙の法則などを研究するのが天文学です。
ですから「天体の運行を測ること」という意味がある「推歩」と「天文学」は、似ている意味の言葉だと言えます。
暦学
暦学というのは、実は天文学の古い言い回しとなります。
暦とは年間の月日のことであり、もともと天体の動きの研究はこうした暦を知る為に編み出された学問だったのです。
今では天体学とは、暦を算出するだけではなく、様々な自然現象を解明したり、予測する為に利用されています。
そして「推歩」とは、こうした暦学とイコールであると説明している辞典もあるのです。
「推歩」の言葉の使い方
推歩には2つの意味があると紹介しましたが「たどるように歩く」という意味で使用される事はあまりないでしょう。
日常の中ではもちろん、書物の中でも使い方のほとんどは暦学としての意味で用いられています。
ですから「推歩」を使うなら「暦学」「天体の運行を測る」意味合いで使用する方が一般的なのです。
「推歩」を使った例文や短文・解釈
生活に大きな影響を与えている「推歩」を使った例文や短文にはどのようなものがあるか知っているでしょうか。
例文を見ると使い方を理解できますし、同時に推歩を使った言葉を覚えると、今までよりも知識が増えていきます。
- 例文1
- 例文2
- 例文3
例文1
「推歩術は、我々の生活に多大な恩恵をもたらしている」推歩は、「推歩術」として使う場合もあります。
この術には、何度も繰り返して学ぶ事で得た学問や技の事を指したり、その知識や技を生かして行われる仕事の事です。
つまり例文の「推歩術」は暦学の知識や天文の運行を測る技能のことです。
実際に進歩術は、人々の生活に多大な発展と恩恵をもたらしてくれた学問のひとつになります。
例文2
「彼ほど推歩に精通している人物を知らない」推歩に精通しているというのは、天体の運行や暦学の理論、計算についてよく知っている人という意味になります。
例えば歴史上の人物でいえば、伊能忠敬や渋川春海などをあげることが出来るでしょう。
例文3
「あの英雄の成し遂げてきた偉業を推歩するだけの力はない」この例文は暦学としての意味ではなく「たどるように歩く」という意味で使われたケースになります。
英雄の成し遂げた偉業と同じような働きをするだけの力はない、そんな意味になるでしょう。
「推歩」の英語
推歩を英語で表現すると「astronomy」があげられます。
その他にも「The study of the calendar.」とすることで、暦学という意味の英語を表すことも可能です。
「the study of astronomical almanac.」と表現する場合もあります。
「推歩先生」のあだ名の著名人
日本地図を完成させたことで有名な歴史上の人物といえば「伊能忠敬」です。
彼こそが「推歩先生」というあだ名で呼ばれた人物となります。
伊能忠敬は、商売で成功を収めた人で、仕事を隠居した後に日本一ともうたわれていた天文学の先生である高橋至時のもとに弟子入りしました。
至時は伊能忠敬より19歳も年下であったため、年配になってから暦学の勉強をはじめた忠敬をバカにしていた側面があったのですが、彼の努力は次第に至時に認められ敬意を表して「推歩先生」と伊能忠敬のことを呼ぶようになったのです。
「推歩学」とは
推歩学とは、暦学のことであり今でいう天文学のことになります。
今では、暦学や天文学といった方が分かりやすく推歩学といってもピンとこない人の方が多いでしょう。
天体の動きを測る事によって暦を編み出す学問のため、暦算天文学と言われることもあります。
また、天体の運行を測ることで吉凶を占う占星術は推歩学には含まれないので混同しないようにしてください。
「推歩」を分解して解釈
なぜ「推歩」という言葉に、暦学や天文学と同様のまたは類似した意味があるのか不思議に思う人もいることでしょう。
そこで「推歩」を「推」と「歩」に分けて、それぞれの意味を考えてみることにします。
分解して考えることによって、解釈が深まることもあるでしょう。
それでは早速、「推」「歩」の意味について考えていきます。
- 「推」
- 「歩」
「推」
「推」には「前へおしだす」「選んですすめる」「移り変わる」「いただく」「おしはかる・たずねもとめる」等、様々な意味があります。
例えば前へおしだすという意味では「推進」という言葉が、選らんですすめるという意味では「推薦」といった言葉があるものです。
「推歩」の場合は、最後に紹介をした「おしはかる、たずねもとめる」といった意味が「推」には込められていると言えるでしょう。
天文の運行を「おしはかる」「たずねもとめる」と考えると辻褄が合います。
「歩」
「歩」といえば「歩行する、あるく」といった意味が真っ先に思い浮かぶものです。
その他にも「すすみぐあい・過程」「立場・地位」といった意味もあります。
「推歩」の「歩」は「天体の動き・運行」という意味だと考えられるでしょう。
一見すると「推歩」という漢字には暦学を表すような意味がないよう思えますがそうではありません。
「天体の動き方をおしはかる、学ぶ」という意味がしっかりと含まれているのです。
「推歩」には暦学、今で言う天文学といった言葉と同様の意味があるという事を知らなかった人も多いものです。
これからは推歩学や推歩術とは、何を意味しているか理解する事が出来るでしょう。
また、もうひとつの「たどるように歩く」という意味も心に留めておいてください。