「ぐうの音も出ない」の意味・読み方・類語【使い方や例文】
私達が日本語を話す時は、色々な単語を並べて会話をしていますが、中には、難しいことわざや熟語を使って言い表すこともあります。
その一方で、擬態的な語句を含ませて、伝えるような言葉もあります。
その中にあるのが、「ぐうの音も出ない」という表現です。
時々、「ぐうの(音)も出ない」という言葉を友人や職場の同僚と使うこともあるかもしれませんし、周りでこの言葉を聞いたことがある人もいるのではないかと思います。
日本語は言葉の数が非常に多彩なので、こと表現も何となく使っているかもしれません。
では、この「ぐうの音も出でない」とは、どのような意味があり、どんな場面でつかわれるのでしょうか?
目次
- 「ぐうの音も出ない」の意味とは?
- 「ぐうの音も出ない」の類語や言い換え・似た言葉
- 「ぐうの音も出ない」の言葉の使い方
- 「ぐうの音も出ない」を使った例文
- 「ぐうの音も出ない」の英語
- 「ぐうの音も出ない」の語源や由来
- 「ぐうの音も出ない」の対義語
- ネット用語で使われる「ぐう」を使った言葉と意味を解釈
「ぐうの音も出ない」の意味とは?
「ぐうの音も出ない」とは、会話の中で、は物事の事情や状態を比喩的に表現している言葉なのですが、意味としては、「全く反論や弁解などができないさま」という内容になります。
どうして「ぐうの音」かというと、「ぐう」には息を詰まられた時に発する声を表現する言い回しで、「ぐうの音」は、息が詰まった時に出てくる声の音を指しています。
- 「ぐうの音も出ない」の読み方
「ぐうの音も出ない」の読み方
「ぐうの音の出ない」は、「ぐうのねもでない」という読み方になるので、そんなに難しい読み方をするわけではありません。
「ぐうの音も出ない」の類語や言い換え・似た言葉
「全くできないようなさま」を表している「ぐうの音も出ない」に似ている言葉として、どのような類義語かあるでしょうか?
- 手も足も出ない
- 「完膚なきまでに」
- 「こてんぱんに」
手も足も出ない
まず、「ぐうの音も出ない」と類義語としては、「手も足も出ない」という言葉が思い浮かんできます。
「手も足も出ない」の意味は、「反論・反撃する手段が全くない」や「力が及ばずどうしようもない」ということを言っています。
「相手が強すぎて、手も足も出ない」
「今年の入試は難問過ぎて、手も足も出ない」
このようなケースで使われています。
「完膚なきまでに」
「完膚なきまでに」も「ぐうの音の出ない」の類義語として挙げることができるでしょう。
「完膚」とは、「傷が全くない完全な皮膚のこと」で、「無傷なところが無いほど徹底的にやり込められるさま」のいう意味を持つのが、「完膚なきまでに」となります。
「完膚なきまでに叩きのめされた」
喧嘩の強い相手に挑んで、全く歯が立たない時に使ったりします。
「こてんぱんに」
「こてんぱんに」も類義語になりますが、これも「徹底的に叩きのめされるさま」や「体力や気力が少しも残らないほど打ちのめされる様子」などを意味している表現になります。
「ぐうの音も出ない」の言葉の使い方
「ぐうの音も出ない」とは、「完膚なきまでにやられてしまったり、追い込まれてしまうこと」を表現する比喩的な言葉です。
普段の生活の中や仕事においても、「ぐうの音も出ない」というような場面には出くわしたくないとないものです。
しかし、何かの弾みで「ぐうの音も出ない」ほどに追い込まれてしまうこともあるでしょう。
身近な経験としては、きつい上司に叱られたり、怒られたりして、反論ができないこともあるかと思います。
このような時に「ぐうの音の出ない」がよく使われています。
「ぐうの音も出ない」を使った例文
では、「ぐうの音も出ない」を使った例文を見ていくことにしましょう。
- 「ぐうの音も出ない」の例文1
- 「ぐうの音も出ない」の例文2
- 「ぐうの音も出ない」の例文3
「ぐうの音も出ない」の例文1
「あれだけ怖い隣のおじさんが、子供達にぐうの音も出ないほど、言い負かされたのです」
意外な場面ですが、この頃の子供達は頭の回転が早くて、大人顔負けのことをします。
普段、怖いと思っていた隣のおじさんでさえ、子供に言い負かされることがあります。
「ぐうの音も出ない」の例文2
「席に座っていた2人組は、かなり恐縮しきって、ぐうの音も出ない様子である」
どのようなシチュエーションでしょうか?もしかすると、喫茶店の一角にドンと座っていたカップルが、周りの人から素行を注意されて、反論もできずに恐縮していたのかもしれません。
「ぐうの音も出ない」の例文3
「やつの弱点をつかむことができたら、ぐうの音も出なくしてやる」
かなり追い込まれている自分が、相手の弱点を見つけたなら、そこを集中的に攻撃をして、反撃できないようにしようと考えているのでしょう。
「ぐうの音も出ない」の英語
「ぐうの音の出ない」を英語で表現するなら、“Lost of words”があります。
直訳すると、「言葉を失う」ということになりますが、日本語から英語にしてみると、それを日本語に戻そうとしても、直訳では「ぐうの音も出ない」にすることはかなり難しいかもしれません。
“Not knowing what to say by way of excuse”という表現も「ぐうの音も出ない」の英訳として使えますが、直訳すると「弁明の方法を何て言っていいかわからない」ということになり、「ぐうの音も出ない」がいかに比喩的な表現の言葉が理解できると思います。
「ぐうの音も出ない」の語源や由来
前述のように「ぐう」の語源は、「呼吸が詰まった時に発する声」でした。
その語源から、「苦しい時に出す声」という意味としても解釈されるようになってきたのですが、日本語には擬態語と呼ばれる音を指し示す言葉がたくさんあります。
「ぐう」もその1つで、呼吸に関する人間の状態を表しているので、「擬声語」に分類されますが、人の心理を表現する擬情語」とも理解することができるでしょう。
「ぐうの音も出ない」の対義語
「ぐうの音も出ない」の対義語としては、「反論の余地がある」があります。
「言い返す機会がある」という意味を持っており、ビジネスで相手との交渉事で白熱した議論のバトルの時などで使われることになるでしょう。
ネット用語で使われる「ぐう」を使った言葉と意味を解釈
「ぐうの音も出ない」の「ぐう」は、ネットの世界でも使われています。
「ぐう〜」というように「ぐう」の後に言葉が続きます。
ネットスラングでどのような言葉があるのかを見ていくことにします。
- 「ぐうかわ」
- 「ぐう畜」
- 「ぐう天使」
「ぐうかわ」
「ぐうかわ」がよくネットの世界、SNS などで使われています。
「ぐうかわ」もネットスラングの1つで「ぐうの音も出ない程かわいい」の略語です。
意味としては、「とても可愛い」ということで使い方は「かわいい」などと言いたい時に、単純に「ぐうかわ」と言ったり、頭に名前をつけて「○○ちゃんぐうかわ」のように使われています。
「ぐう畜」
これは、「ぐうの音も出ないほどの畜生」の略語して使われています。
「言い返すの余地がないほどに畜生的な行いをした嫌な人物」というニュアンスで使われています。
「ぐう天使」
「ぐう天使」は、「ぐうの音も出ないほどの天使」という意味がありますが、用法的には「ぐうかわ」に近いイメージです。
「ぐうの音も出ない」という言葉が、ネットスラングの中でも使われるようになったことを知ると、擬態的な言葉が物事を比喩的に言い表す方法としては、とても簡単に使えると同時に、とても理解しやすい言葉がなのだと思えてなりません。
このように音に関連した言葉を使って、人の動作や心境を例えることは、日本語を独特の表し方なのでしょうか?
「ぐうの音も出ない」の英訳を見た時に直接的な表現しかできないことを見ると、改めて、児の、言葉の素晴らしさを理解できる感じです。
「ぐうの音も出ない」と言葉を知ってからは、ますます擬態語を含むことわざや熟語がないか気になって仕方がありません。
日常的な会話の中で、さりげなく使って言葉の幅も広めていきたくなるのではないでしょうか?