「玉に瑕」の意味・読み方・類語【使い方や例文】
世の中には、完全な人間はいませんが、どうして人間は完璧を求めていくのでしょうか?
それは、生きる上で何の失敗をせずに、人生を送ることができるのであれば、様々な問題や課題に悩むこともなく、順風満帆に生活を送ることができるからかもしれません。
しかし、世の中には「完全なる人」が存在しないことを、誰もが知っています。
辛いことや困難なことを乗り越えて、多々の経験を積んでいくことで、完全な人間に使づいていくことこそが、人の生きる目的でもあり意義でもありますので、このようなことを考えて、生活していくことが非常に大切だと思うのです。
このように人生は波乱万丈なことばかりですが、「玉に瑕」という言葉を相手に使うことがあります。
自分から見て、うらやましいばかりに色々な能力を兼ね備えている人でも、「玉に瑕」という側面があるからです。
ここでは、この「この玉に瑕」という言葉にフォーカスを当ててみたいと思っています。
目次
- 「玉に瑕」の意味とは?
- 「玉に瑕」の類語や言い換え・似た言葉
- 「玉に瑕」の言葉の使い方
- 「玉に瑕」を使った例文
- 「玉に瑕」の英語
- 「玉に瑕」の語源や由来
- 「玉に瑕」の対義語
「玉に瑕」の意味とは?
「玉に瑕」と言葉の意味を理解しようとする際に注目したいのが、「瑕」という文字です。
「瑕」とは、「宝玉の表面にできた(きず)のこと」で、「過失」、「欠陥」という意味も持っている文字です。
この「瑕さえなければ完全なのに、惜しいことにほんの少しの欠点がある」ということが「玉に瑕」となります。
- 「玉に瑕」の読み方
「玉に瑕」の読み方
「玉に瑕」は、「たまにきず」と読むのですが、「たまに」を「偶に」と書いたり、「まれに」という意味で使ったり、「玉に傷」と書くのは誤った使い方です。
ちなみに「傷」と「瑕」も、2つとも「きず」と読みますが、「傷」は、「人間や動物の怪我」や、「その痕」を表す時に使います。
それに対して、「瑕」は、「物の損傷」、「性格的な欠点」に対して用いられる言葉です。
「玉に瑕」の類語や言い換え・似た言葉
では、「惜しいことにほんの少しの欠点がある」という意味になる「玉に瑕」に近い意味を持っている言葉や表現としては、どのようなものがあるでしょうか?
- 「白璧の微瑕」
- 「ここだけは残念」
- 「これさえなければ完璧」
「白璧の微瑕」
「白璧の微瑕」ということわざが、「玉に瑕」の類義語として挙げらますが、読み方は「はくへきのびか」となり、「ほぼ完全なものにわずかな欠点があること」という意味があります。
しかし、このことわざを「玉に瑕」を使いたい場面で言い換える表現として、利用できる人はほとんどいないくらいに珍しい表現かもしません。
もし、この言葉の意味を知っている人が、日常会話の中で使ってみても、この意味を理解できる人さえいないのではないでしょうか?
でも、言葉のボキャブラリーを増やす意味でも、チェックしておきたい言葉の1つです。
「ここだけは残念」
とでも平易な表現ですが、「玉に瑕」の類語として、最も身近に使える言葉でしょう。
「君は、いつも完璧に仕事をこなしているけれど、ここだけは残念だ」
このような使い方になるでしょう。
「これさえなければ完璧」
「これさえなければ完璧」も、やはり「玉に瑕」の置き換えできる表現です。
「君は、いつそつなく仕事をこなしているけれど、これさえなければ完璧」
前の例文と同じシチュエーションで言い換えてみましたが、やはり、同義語として使える言葉ですが、あなたが勤めている職場でも、このような人がいるのではないでしょうか?
「玉に瑕」の言葉の使い方
「玉に瑕」は、「僅かな悪い点がなければ、もう完全無欠と言ってもいい」ことを指す場合に使う言葉です。
例えば、学業の成績が非常に優秀で、スポーツも得意だし、ピアノやバイオリン、ギターなどもできて、温和で優しく明るい性格、そのような長所ばかりが目立つ完璧とも思える人がいますが、残念ながら、イケメンではなくでかなりの不細工な顔をしているということがあります。
このような状態の人を「玉に瑕」と表現することになりますので、もし顔が美しい人であったなら、「完璧な人間」となるでしょう。
具体的な言い方としては、「彼女は、とても明るくて料理も上手、一般的には理想の女と言えるかもしれませんが、顔が汚いことが玉に瑕だ」といったような表現をすることができます。
その一方で、「頭が良いこと」だけが長所ですが、不細工だったり、性格が悪かったりする人は汚点が多過ぎるので「玉に瑕」は使うことができません。
また、「玉に瑕」は人の欠点を言い表す場合に使うことが多いですが、人だけでなく物事に対しても使える言葉です。
「玉に瑕」を使った例文
では、「玉に瑕」を使った例文を見ていくことで、具体的なケースを理解していきましょう。
- 「玉に瑕」の例文1
- 「玉に瑕」の例文2
- 「玉に瑕」の例文3
「玉に瑕」の例文1
「彼女は、容姿端麗で誰もが振り返る人ですが、顔の目立つところにある大きなほくろは玉に瑕だ」
スタイルも良くて、誰も羨むほどの容姿をしていても、たった1つのほくろが大きな欠点となっていますが、この時に「玉に瑕」が使えます。
「玉に瑕」の例文2
「先輩は仕事が早くて、後輩指導も非常に丁寧で優しく接してくれるので評判がいいのですが、スーツの着こなしが野暮ったいのが玉に瑕なのです」
ビジネスの世界では、後輩や部下への指導が良い人は、会社でも高い評価を得ていますが、残念ながら身なりがダサいとせっかくの評価も今1つとなってしまうことがあります。
「玉に瑕」の例文3
「彼は性格が優しくてスポーツ万能なだけでなく、非常に頭の回転も速いので、だれからも信頼されそうですが、お酒を飲むと理性を失ってしまうのは玉に瑕だ」
どんなに優しい性格をしていても、お酒を飲むことで性格が一変してしまう人がいます。
このような人は、お酒のせいで、社会的な評価が大きく下がってしまうこともありますので、お酒が弱い人は注意することが必要かもしれませんね。
「玉に瑕」の英語
「玉に瑕」を英語で表現すると、直接的な表現ではなく、以下のような英訳があります。
“There is no one but has weakness.”=「欠点の無い人はいない」
“There are spots even on the sun.”=「太陽にも黒点がある」
英語では異なる表現で英訳していますが、ニュアンスとしては同じ意味を持っています。
「玉に瑕」の語源や由来
「玉に瑕」で使われている「玉」は「宝石」を指しており、「瑕」は「宝石の表面にできたきず」を意味していますが、この記述は中国の「論衡(ろんこう)」や「淮南子(えなんじ)」に記載されており、これが「玉に瑕」の由来と考えられています。
「玉に瑕」とは、「ほとんど完璧に見えるが僅かな欠点があること」や、「その欠点自体」を意味することわざです。
目がくらむほど美しい宝石でも、その表面に瑕(きず)がついてしまっていることで、惜しいことに少しだけ欠点があり評価が下がってしまうことになります。
「玉に瑕」の対義語
「玉に瑕」の対義語としては、次のようなものがあります。
- 「瑕に玉」
- 「ザルのような」
- 「欠陥だらけ」
「瑕に玉」
「瑕に玉」という表現で意味は、「欠点の多い中に少しだけ美点があること」となりますが、「玉に瑕」を逆にした言葉なので、思わず吹き出しそうになります。
「ザルのような」
かなり平易な表現ですが、「ちゃんととしておらず漏れが多く見られるさま」という意味なります。
「欠陥だらけ」
「欠陥だらけ」もい身近な日常的な会話で使われる言葉ですが、「欠けていて完全でないさま」のことを言っています。
「玉に瑕」という言葉の意味を調べていくと、意外と会話の中で使われる場面が多いことに気づきます。
私達が仕事をしている中でも、「仕事内容が完璧だ」と思えるほど高いレベルの仕事ができる人がいますが、どこか完全ではなく抜けているこことがないでしょうか?