「引導を渡す」の意味・読み方・類語【使い方や例文】
日本語には、実に数多くの種類の言葉がありますが、その中でもことわざなどの表現は物事の事象を比喩的に表現することで、長い言葉をたくさん連ねるより、短い語句で、その現象を見事に例えることができることがあります。
私達の日常の生活の中での会話やビジネスのシーンで、ことわざを使うことで、誰でも感覚的に理解できるコミュニケ-ションを図ることができるようになります。
そのことわざの中でも、「引導を渡す」という言葉をご存知でしょうか?
「引導を渡す」という言葉はあまり良いイメージはないかもしれませんが、決して悪い場面だけで使われることではなさそうです。
実は「引導を渡す」にはいい意味が込められていますので、マイナス的なイメージしかなかったこのことわざの印象を大きく変えることができるでしょう。
目次
- 「引導を渡す」の意味とは?
- 「引導を渡す」の類語や言い換え・似た言葉
- 「引導を渡す」の言葉の使い方
- 「引導を渡す」を使った例文
- 「引導を渡す」の英語
- 「引導を渡す」の引導とは?
- 「引導を渡す」の一般用語的な意味
「引導を渡す」の意味とは?
「引導を渡す」という言葉には、「諦めるよう最終宣告をする」といった意味がありますので、相手が諦めるための最終的な説得や宣告の場面で使われています。
- 「引導を渡す」の読み方
「引導を渡す」の読み方
「引導を渡す」の読み方は「いんどうをわたす」となりますが、特別に難しい読み方えではありません。
しかし、「引導」という言葉自体、普段聞きなれている単語ではないので、この時点で正確に覚えておいてください。
「引導を渡す」の類語や言い換え・似た言葉
「引導を渡す」という言葉は、身近な会話の中で使われる場面は決して多くはありませんが、この言葉の意味に近い次のような類義語は、身近な場面で耳にすることがあるかと思います。
- 「最終宣告」
- 「息の根を止める」
- 「死刑宣告をする」
- 「とどめを刺す」
「最終宣告」
「最終宣告」という言葉は「引導を渡す」を言い換えする表現として時折、聞くことがありる表現でしょう。
「宣告する」という言葉の意味は、「告げ知ることと」であり、よく裁判長が判決をする時に「宣告」を使いますので、「最終宣告」となると「後はもうない」というようなニュアンスを帯びてきます。
「昨日のメッセージがA国への最終宣告となった」
このようなケースで使われることがありますが、この場合は、A国への何らかの厳しい処理をする前の最後の通告となります。
「息の根を止める」
「息の根を止める」という言葉も「引導を渡す」の言い換え表現、類義語として挙げられます。
この言葉の意味としては、「再起できないほど打ちのめしてしまう」といった内容になりますが、かなり強烈な力を込めて相手の動きを止めてしまう印象があります。
「死刑宣告をする」
「死刑宣告をする」も「引導を渡す」の類義語として当てはまる言葉ではないでしょうか。
「死刑宣告をする」の「死刑」とは、「死刑囚を死亡させる刑罰のこと」で「死刑宣告をする」ことは、」死刑という罪状を宣告する」といった意味になります。
「本日、部長に厳しい処罰が下されたが、これはまさに死刑宣告を受けたと同じことだ」
この時に「死刑宣告をされた部長」は、何か会社で悪いことでもしたのしょうか、サラリーマン人生に終止符を打たなければならないようなことになったのかもしれません。
「とどめを刺す」
「引導を渡す」の類義語には「とどめを刺す」という言葉で言い換えることができます、
「とどめを刺す」とは、「再び立ち上がらないように決定的な一撃を与える」という意味があり、「虫の音もないほどにとどめを刺す」というような使われ方をしています。
これもかなり強烈なインパクトのある言葉です。
しかし、ここで挙げた「引導を渡す」の類義語は、どちらかというと、マイナス的な印象を拭い切れませんが、「引導を渡す」自体はいい意味で使われることもあるので、この点が大きな相違点ではないかと思われます。
「引導を渡す」の言葉の使い方
前述の通り、「引導を渡す」には「相手に終わりを促す」などのマイナスなイメージがどうしても付きまとってしまうのですが、仏教においては「正しい道に促し助ける」という意味として使われているので、意外な気持ちになってきます。
このようなことから、誰かに「引導を渡す」ことがあれば、それは、決して相手に「最終通告」をするのではなく、「正しい行動へ導く思いを込めた救いの意味で使われることもあります。
「人を切り離す」というようは、「引導を渡す」の方がどこか思いやりの心が感じられるので、相手との良好な関係を続けることもできるかもしれません。
仕事上でも、思いやりのある上司が厳しい言葉でも、部下の校正を考えて、「引導を渡す」ことがあるでしょう。
「引導を渡す」を使った例文
では、どのような場面で「引導を渡す」が使われるか例文を見ていきましょう。
- 「引導を渡す」の例文1
- 「引導を渡す」の例文2
- 「引導を渡す」の例文3
「引導を渡す」の例文1
「A選手は、今年度多額の年俸をもらっているが大きな怪我で十分な活躍ができなかった。来シーズンは球団から引導を渡されることは必至だ」
プロ野球選手は、普通のサラリーマンよりは数倍〜数十倍もの年収をもらっていますが、毎年の成績が大きく人生を左右していきます。
今年の成績が悪かったことで、「引導を渡される」ことになるかもしれません。
「引導を渡す」の例文2
「社長からは、ミスの多さを指摘されていたにも関わらず、それを改善しきれていなかったために引導を渡されてしまった」
ビジネスの世界では、大なり小なりミスは発生してしまうのものですが、大事なことはいかにミスの再発防止を行うかということです。
しかし、この部長はミスを何度も続けていたために、社長から「引導を渡されて」しまったのです。
「引導を渡す」の例文3
「昨日、部長に呼ばれて『Aさんに解雇の事実を伝えるように。』と、引導を渡す役目を負わせられたのです」
この数年、早期退職や首切りの動きが止まない企業が少なくありませんが、このように「引導を渡す」役目を請け負わなければならない立場の人もいるので、サラリーマンはとても辛い仕事かもしれません。
「引導を渡す」の英語
「引導を渡す」の英語で表現すると、“say a requiem”となります。
「引導を渡す」の引導とは?
「引導を渡す」という言葉が、どのような場面で使われるか、色々な場面を見て何となく理解できたことと思いますが、この「引導」自体にどのような意味があるのでしょうか?
「引導」とは、「人々を導いて仏道に引き入れること」や「死者を葬る前に法語などを説いて浄土へ導くこと」という意味が込められています。
この言葉は、中国唐代中期の黄檗希運(おうばくきうん)という禅僧が亡くなった母親を弔った時に使われたのが始まりで、それ以来仏教では死者を弔う際に「引導を渡す」ようになりました。
「引導を渡す」の一般用語的な意味
最終宣告的なイメージがある「引導を渡す」ですが、前項の「引導」の意味からして、元来の解釈としては、「人々を導いて仏道に入れること」から「葬儀の際に僧がお棺の前で、死者が迷わず悟りを開くことができるための法語を唱える」ということを意味がありました。
言い換えると、亡くなった人に「死んだことを悟らせる儀式」という理解もできます。
「引導を渡す」という言葉には、「最終的なことを言い渡す」という意味から、決していい場面では使われることがありませんでしたが、「引導を渡す」の原義を理解できると、決して悪い言葉ではないことが理解できるでしょう。
ただ、人はどうしても「引導を渡される」ことで、「最後通告」を受けてしまい、これからの人生が見えなくなってしまうと、諦めモードになってしまうかもしれません。
しかし、その先の将来がどのように変化するかは、自分の自覚次第で大きく変わっておくことを忘れてはなりません。