「着の身着のまま」の意味・読み方・類語【使い方や例文】
「着の身着のまま」とは、「急いでいて今着ている着物・洋服以外は何も持っていないこと」や「着ている洋服以外を持ち出せないほどに余裕がない状態にあること」です。
「着の身着のまま」の「意味・類語・言い換え・使い方・例文・英語・語源・誤用・対義語」などについて、詳しく説明していきます。
目次
- 「着の身着のまま」の意味とは?
- 「着の身着のまま」の類語や言い換え・似た言葉
- 「着の身着のまま」の言葉の使い方
- 「着の身着のまま」を使った例文
- 「着の身着のまま」の英語
- 「着の身着のまま」の語源
- 「着の身着のまま」に多い誤用
- 「着の身着のまま」の対義語
「着の身着のまま」の意味とは?
「着の身着のまま」の意味は、「急いでいて今着ている着物・洋服以外は何も持っていないこと」や「着ている洋服以外を持ち出せないほどに余裕がない状態にあること」になります。
「着の身着のまま」というのは、「着物・洋服を一着しか持っていなくて他のものを着ることができない」という意味ではなくて、「今着ている洋服以外のものを身につけたり持ち出したりする暇がないほどに急いでいる状況」という意味になります。
「着の身着のまま」というのは、「事前のアポイントなしで突然呼び出しを受けてそれに応じなければならない時」であるとか「火事・事件事故などで今着ている服を着たまま家を飛び出さなければならない状況」であるとかが前提にされている言葉で、「着替えをする余裕・暇もない」といったニュアンスが込められているのです。
とにかく急いでいて取るものも取り敢えずに、今着ている服のまま外に出てくるような状態を、「着の身着のまま」と言います。
- 「着の身着のまま」の読み方
「着の身着のまま」の読み方
「着の身着のまま」の読み方は、「きのみきのまま」になります。
「着の身着のまま」の類語や言い換え・似た言葉
「着の身着のまま」の類語や言い換え・似た言葉には、どのようなものがあるでしょうか?「着の身着のまま」の類語・言い換え・似た言葉について、分かりやすく解説していきます。
- 「取るものも取り敢えず」【とるものもとりあえず】
- 「慌てて・急いで」【あわてて・いそいで】
- 「体一つで・身一つで」【からだひとつで・みひとつで】
「取るものも取り敢えず」【とるものもとりあえず】
「着の身着のまま」の類語・言い換え・似た言葉として、「取るものも取り敢えず」があります。
「取るものも取り敢えず」という言葉の意味は、「何も手に取らないで大急ぎで駆けつける様子」や「何の下準備もできないほどに慌てていること」になります。
「着の身着のまま」という言葉には、「今着ている着物以外を持ち出せないほどに急いでいて余裕がない」という意味があります。
そのため、「着の身着のまま」の類語として「取るものも取り敢えず」を指摘することができるのです。
「慌てて・急いで」【あわてて・いそいで】
「着の身着のまま」の類語・言い換えとして、「慌てて・急いで」があります。
「着の身着のまま」という言葉の意味は、「今着ている洋服(着物)以外に何も持っていけないほどに余裕がなくて急いでいること」です。
その意味から、「着の身着のまま」の類語として、「慌てて・急いで」というシンプルな言葉を上げることができます。
「着の身着のまま」という言葉は、「今着ている洋服(着物)しか持ち出せないほどに慌てている状態+とても急いでいる状況」のことを示唆しているのです。
「体一つで・身一つで」【からだひとつで・みひとつで】
「着の身着のまま」の類語・似た言葉として、「体一つで・身一つで」があります。
「着の身着のまま」という言葉は、着替えをする暇もなく自分の体だけで外に出てくることを意味しています。
「体一つで・身一つで」という言葉は、手ぶらで何も持たずに物事・仕事に向かうといった意味合いがあります。
何も持たずに出て行くという共通性があるため、「着の身着のまま」と似た言葉として「体一つで・身一つで」を上げることができるでしょう。
「着の身着のまま」の言葉の使い方
「着の身着のまま」の言葉の使い方は、「火事・事件・事故などの緊急事態(非常事態)」や「アポイントなしの突然の呼び出し・訪問」があったりして、「今着ている洋服(着物)しか持ち出せないような時」に使うというものです。
物理的に他の洋服(着物)を持っていないのではなく、大慌てですぐに外出しなければいけない理由(事情)があるから、今着ている洋服(着物)だけしか持ち出せないということになるわけです。
「着の身着のまま」を使った例文
「着の身着のまま」を使った例文には、どのようなものがあるのでしょうか?「着の身着のまま」を使った例文について紹介していきます。
- 「着の身着のまま」の例文1
- 「着の身着のまま」の例文2
- 「着の身着のまま」の例文3
「着の身着のまま」の例文1
夜間に母が脳出血で倒れたという連絡を受けて、「着の身着のまま」の状態で病院に駆けつけることとなった。
「着の身着のまま」の例文2
身支度でもたもたしていては危ないという東日本大震災の教訓によって、大きな地震が起きた時には、何も持ち出さずに「着の身着のまま」で家を出て避難所に向かう人が増えた。
「着の身着のまま」の例文3
隣家三棟を全焼させるほどの激しい火事が起こったため、周辺住民は「着の身着のまま」で自宅を飛び出してきて、家族で不安そうに肩を寄せ合っていた。
「着の身着のまま」の英語
「着の身着のまま」の英語は、直接的に表現すると“stay dressed”や“with nothing but the clothes on my back”になります。
“leave with only the clothes they had on”という英文で、「着の身着のまま」のニュアンスを表現することもできます。
例えば、「私は危険な犯罪現場から着の身着のままで逃げた」の英文は以下のようになります。
“I escaped from the danger criminal case with nothing but the clothes on my back. ”
「着の身着のまま」の語源
「着の身着のまま」の語源は、「着の身」と「着の儘(着のまま)」に分けて考えることができます。
「着の身」とは、「今の服を着ているこの身体」あるいは「今着ているこの服」の意味になります。
「着の儘(着のまま)」は「着ているままの状態」を意味していて、「着の身着のまま」で「今の服を着ているこの身体のままであること」の意味になります。
「着の身」を「着のみ」として、「身(み)」を平仮名で表記している国語辞典もあります。
「着のみ」とする場合、「着」を名詞として「のみ」を「〜だけ」の意味の副助詞として解釈することもできます。
「着のみ」は「今着ている身・服だけ」の意味になります。
「着の身着のまま」に多い誤用
「着の身着のまま」に多い誤用として、「着の身着のまま」の意味を「物理的に今着ている洋服(着物)一つだけしか持っていない」と解釈する誤用があります。
「着の身着のまま」は、非常事態や急いでいる用事があって、今着ている服以外のものを持ち出せないことを意味しているだけで、「他の洋服(着物)を一着も持っていない・貧しくて服を持っていない」という意味ではありません。
「着の身着のまま」に多いもう一つの誤用として、「自分の気が向くままに好きな洋服(着物)を着る」とか「気楽に気兼ねしなくても良いファッションセンスを持っている」とかいう意味で用いるということがあります。
しかし、「着の身着のまま」という言葉に、「気分のままに自由に洋服を選んで着る」とか「気兼ねしないリラックスしたファッションを好む」とかいった意味はないのです。
「着の身着のまま」の対義語
「着の身着のまま」の対義語として、「着た切り雀(きたきりすずめ)」や「泰然自若(たいぜんじじゃく)」「安心立命(あんしんりつめい)」を上げることができます。
「着た切り雀」の意味は、「今着ている洋服以外の服を持っていなくて、ずっと同じ服を着たままでいること」です。
「着の身着のまま」は「今着ている以外の洋服は持っているけれど、余裕がなくて着替えられないこと」を意味しているので、その意味での対義語として「着た切り雀」を上げることができます。
「泰然自若」の意味は「落ち着き払っていて物事に動じないこと」、「安心立命」の意味は「天命に身を任せているので心が乱れず落ち着いていること」になります。
慌てて急いでいるという意味の「着の身着のまま」の対義語として、「泰然自若・安心立命」があります。
「着の身着のまま」という言葉について徹底的に解説しましたが、「着の身着のまま」には「急いでいて今着ている着物・洋服以外は何も持っていないこと」や「着ている洋服以外を持ち出せないほどに急いでいる状態」などの意味があります。
「着の身着のまま」の類語・言い換え・似た言葉としては、「取るものも取り敢えず」「慌てて・急いで」「体一つで・身一つで」などがあります。
「着の身着のまま」という言葉について詳しく調べたい時は、この記事を参考にしてみて下さい。