「是々非々」の意味・読み方・類語【使い方や例文】
この地球上にはたくさんの言語があり、約5000もの言語が使われているといわれています。
その言語の中でも難しさのトップ10に入るのが我々が普段から使っている日本語です。
日本語は日本人でさえ知らない言葉がたくさんあります。
あなたは「是々非々」という言葉をご存知でしょうか。
今回は「是々非々」についてまとめていきます。
目次
- 「是々非々」の意味とは?
- 「是々非々」の類語や言い換え・似た言葉
- 「是々非々」の言葉の使い方
- 「是々非々」を使った例文
- 「是々非々」の英語
- 「是々非々」のビジネスシーンでの使い方
- 「是々非々」を使った言葉と意味を解釈
「是々非々」の意味とは?
「是々非々」は中国の思想家荀子の教えです。
是を是とし、非を非とすることを意味しています。
「是」は正しい、道理にかなっている、正しいと認められた方針などの意味を持つとされています。
また、「非」は道理に反すること、正しくないことという意味を持っています。
「是」と「非」は相反する漢字なのです。
つまり、「是々非々」とはある立場にとらわれず、良いことは良い、悪いことは悪いとして反対する公正な判断のことをいうのです。
- 「是々非々」の読み方
「是々非々」の読み方
よく似ている言葉で「是非」とい言葉があります。
そして「々」は前の漢字と同じ読み方をする漢字ですので、「是々非々」はぜぜひひと読みます。
「是々非々」の類語や言い換え・似た言葉
前項でも少し触れましたが、似ている言葉で「是非」という言葉があります。
また、「是が非でも」という言葉もよく似ています。
それぞれの意味を考察し、是々非々との違いはあるのか考えていきましょう。
- 是非
- 是が非でも
- 公平無私
- 厳正中立
是非
「是非」(ぜひ)は普段からよく使ったり、耳にしたりする機会の多い言葉です。
「是々非々」と同じ漢字が使われ一見意味も似ているのかと思いがちなのですが実際はどうなのでしょうか。
「是非」の使われている例文としては「是非〜してください」
「〜についての是非を問いたい」
などがあります。
実は、「是非」には二つの意味があるのです。
1つめとしては、ある行動を強く勧める気持ちを表す意味です。
こちらの使い方の方が一般的によく耳にするのではないでしょうか。
少々乱暴な印象を与えてしまうことがあるため、自分より立場が上の人に使う時などは注意するようにしましょう。
2つめの意味としては、「物事の良し悪しを判断する」という意味です。
漢字の本来の意味が使われており、こちらは「是々非々」の意味とよく似ていることがわかります。
是が非でも
「是が非でも」(ぜがひでも)も、「是々非々」と同じ漢字が使われています。
例文としては「是が非でも〜を手に入れたい」「〜には是が非でも出場してもらいたい」という使われ方をします。
意味は、なんとしてもという意味を持つ言葉です。
漢字の意味同様「正しいことでも、正しくないことでも」、「善悪にかかわらず」という意味から「なんとしても」という意味を持っているようです。
公平無私
「公平無私」(こうへいむし)とは使われている漢字からもだいたいの意味がわかる通り自分の主観や利益、感情を判断の基準から外し、物事を公平に進めようとすることを表す四文字熟語です。
またそのような態度・生き方のことも意味します。
「是々非々」の漢字とは違うものが使われていますが、意味はよく似ていることがわかります。
厳正中立
厳正中立(げんせんちゅうりつ)は厳しく公正・公平を守り、どちらにも偏らない立場を守ることを意味します。
こちらの四文字熟語も使われている漢字は違いますが、意味は「是々非々」とよく似ています。
「是々非々」の言葉の使い方
「是々非々」の意味はわかってきたことかと思いますがどういう使い方をするのかがいまいちわからない方もいるのではないでしょうか。
「是々非々」は、あくまでも道理に従い、私情をはさまず、公正な判断をする時に使います。
自分自身の客観性や中立性を示したいときに「是々非々」を使用するとよいでしょう。
「是々非々」を使った例文
では実際にどんな文章でどのように使われるのでようか。
いくつかの例文を記載しておきますので覚えておくとよいでしょう。
- 「是々非々」の例文1
- 「是々非々」の例文2
- 「是々非々」の例文3
「是々非々」の例文1
「あの政治家は『是々非々』の立場を守り最後まで環境問題に反対してきた」
政治家の方がよく国会討論などで「是々非々」使っているイメージがありますがみなさんはどうでしょうか。
私利私欲を挟まず、「是々非々」の立場で活動して欲しいものです。
「是々非々」の例文2
「この会社は家族経営なため、仕事のできないA氏が社長の甥っ子ということで部長に昇進した。是々非々の人事を行って欲しい」
仕事ができないのに、社長の親族だというだけで昇進するのはまわりで真剣に仕事に取り組んでいる人にとってはなんとも腹立たしいできごとです。
このような会社は、人事のあり方について見直すべきです。
「是々非々」の例文3
「彼女は友人の考え方に対して「是々非々」で意見をする性格です。間違っていることを間違っているとはっきり言ってあげられるのが真の友情ではないだろうか」
きちんと悪いことを悪いといってくれ正しい道に導いてくれる友人は本当にありがたい存在です。
みなさんにはこのような「是々非々」で意見をしてくれる友人はいますでしょうか。
耳が痛いこともあるかもしれませんが、大切にしていきましょう。
「是々非々」の英語
「是々非々」の意味や使い方についてはここまでの項でわかっていただけたかと思いますが、英語ではどのように訳されるのでしょうか。
実は「是々非々」に直訳できる英語はないのですが、よく似た意味の英語がありますので今回いくつか紹介していきたいと思います。
- an unbiassed policy
- 「do what is right(正しいことをする)」
an unbiassed policy
こちらは日本語訳すると、「是々非々主義」となります。
「do what is right(正しいことをする)」
こちらは、日本語に直訳すると「正しいことをする」です。
「是々非々」のビジネスシーンでの使い方
これまでの説明で是々非々はよりよい人のあり方を示す熟語であることがよくわかっていただけたかと思います。
しかしながら、ビジネスシーンで「是々非々」を使用する場合には注意が必要です。
なぜなら、使い方によっては相手を非難しているように聞こえたり疑っているように聞こえてしまうことがあるからです。
ですので、「是々非々」を使用する際は相手にどう聞こえるかをよく考え気を付けて使うようにしましょう。
「是々非々」を使った言葉と意味を解釈
是々非々を使用した言葉がいくつかありますので紹介しておきたいと思います。
- 「是々非々主義」
「是々非々主義」
是々非々主義とは、良いことは良い、悪いことは悪いと善悪をはっきりさせる主義のことを言います。
是々非々主義の人は一見とっつきにくいようにも感じますが、素直で正直な人なため悪い人ではありません。
初めは「是々非々」って何だろう、どういう意味だろうと思っていた読者のみなさん「是々非々」について理解はできたでしょうか。
「是々非々」は、一定の立場や主義に関係なく、あくまでも公平の理念に基づいて「良いことか悪いことか」を判断するという意味です。
「是」とは「正しいと認める」・「非」は「正しくない」ということで、「是非とも」は「必ず」という意味をもつ副詞です。
使われている漢字は同じでも意味はまったく違いますので、注意して使い分けましょう。
このように、私たちは日本人でありながら母国語の日本語を知らなかったり間違って使ってしまうことはよくあることです。
現代社会は様々なものがインターネットに繋がっていてどこにいても調べものをすることが可能です。
知らないことは恥ずかしいことではありません。
知らないことを放置してしまうことが恥ずかしいのです。
少しでもわからなかったり、気になったことはすぐに調べて知識を増やしていきましょう。