「如実」の意味とは?類語、使い方や例文を紹介!
知っていてもうまく説明できないことば、というのは多々あるものですが、「如実」ということばも、そんなうちの一つなのではないかと思います。
ここでは、「如実」ということばを説明していきますので、これまで「如実」を知らなかった、という方も、知ってはいるが人に説明できるほどではない、という方も、この機会にしっかりとおさえておきましょう。
目次
- 「如実」の意味とは?
- 「如実」の類語や言い換え・似たことば
- 「如実」の使い方
- 「如実」を使った例文
- 「如実」の英語
- 「如実」と「忠実」の違い
- 「如実」と「顕著」の違い
- 仏教用語としての「如実」
「如実」の意味とは?
「如実」は、現実や事実のままであることを意味することばです。
また、仏教用語では、教えの真実のすがたにかなっていることや、究極の真理をあらわす真如という意味で使われています。
仏教用語となると、関係ないと思ってしまう方も多いかもしれませんが、「如実」は宗教に関係なく、広く使われていることばですので、知っておくと便利ですよ。
- 「如実」の読み方
「如実」の読み方
「にょじつ」と読みます。
「如」はほかに、「ジョ」「し-く」「ごと-し」「ゆ-く」「も-し」などの読みがあり、ここでは〇〇のごとし、〇〇のようだ、という比況の助詞として使われています。
「実」はほかに、「み」「みの-る」「み-ちる」「さね」「まこと」「まめ」と多くの読みを持っています。
「み」や「みの-る」などの読みは学校でも習いましたね。
ほんとうのこと、ありのままであることを意味する漢字です。
これらの漢字の意味からも、「ありのままであるようだ」「真実のごとく」というような意味が表れてきます。
「如実」の類語や言い換え・似たことば
「如実」の意味がまだしっくりこない、という方のためにも、類語表現をおさえておきます。
「如実」がなんとなくわかっている、という方もあわせて見ておいてください。
関連することばをたくさん知っていると、そのうちにそれぞれの語彙がリンクして、全体の理解が深まります。
- 「明白」【めいはく】
- 「赤裸々」【せきらら】
- 「リアル」【りある】
「明白」【めいはく】
はっきりとしていて疑う余地のないようすを意味することばです。
現実や真実は、実際に起こったことなので、疑う余地がありません。
どの視点から見て、どのように感じたか、という主観的な現実や事実は人それぞれでしょうが、起こったできごとはその瞬間、ただ一つです。
「これ以上に明白な証拠はないだろうと思うが、相手はわたしの言い分を聞き入れようとはしてくれない」
「赤裸々」【せきらら】
なにも包み隠さず、まるはだかであることを意味することばです。
「赤」がむきだしであることや、ありのままであることを意味し、「裸」ははだか、「裸々」と重ねることで強調されています。
「もう何十年と前の話だから、と祖母は祖父との馴れ初めを赤裸々に語った」
「リアル」【りある】
本当の、本物の、天然の、などを意味する「real」という単語が、現在日本では、カタカナ語の扱いで使われています。
事実に即していることや、自分の気持ちにまっすぐな発言などに対して、「リアル」ということばが使われる場面が多いでしょう。
また、写実的な描画などに対しても使われます。
「リアルに彼女との未来を考えているのだが、相手の両親からあまりよく思われていないらしく、悶々とする日々だ」
「鉛筆一本で描いたとは思われないリアルな絵だと、話題になっている」
「如実」の使い方
「如実に」「如実に語る」「如実に表す」「如実にわかる」「如実に伝える」「如実に感じる」など、さまざまな使い方があります。
事実が、より繊細にたち表れてくるディティールの部分を、「如実」と言い表す傾向があるのではないでしょうか。
「如実」を使った例文
では、実際に例文のなかで「如実」を見ていきましょう。
知らないことばや、習得したいことばがあるときには、かならず例文を参考にしましょう。
意識していなくても、文章としてとらえることで、文脈のなかでどのように使われることばなのかをおさえることができます。
- 「如実」の例文1
- 「如実」の例文2
- 「如実」の例文3
「如実」の例文1
「どこまでもつづく地面の亀裂や、建物が倒壊しているさまから、当時ここで起こった震災の大きさが如実に伝わる」
建造物や古墳など、歴史的な意味を持つ人工物を見たときに、その時代を知らないにもかかわらず、そこで起きた事実が伝わること、というのはだれしも経験があるのではないでしょうか。
そのようなときに、「如実」ということばを使うと、あなたの気持ちをうまく伝えられることもあるでしょう。
「如実」の例文2
「掌にできたいくつものマメが、彼がプロ野球選手になるため日夜鍛錬に勤しんでいることを如実に物語っている」
本人が口に出さずとも、努力の形跡が事実を知らせる、ということもあります。
語り手は、彼の掌を見ることで、彼の日常を追体験し、彼にとっての現実を知ることができるのです。
そのようなとき、「如実」ということばが使われます。
「如実」の例文3
「今日のプレゼンは焦りすぎていたし、緊張しすぎて聞き手がついてこられないという場面もあったが、読み込んだ資料や口から出ることばの一つ一つに、彼の真剣さや真面目さが如実に表れていて、とても好感が持てた」
こちらも、実際には見えていない過去の現実が、彼の言動から察せられる、という状況を表した例文になります。
「如実」の英語
「如実」は英語では“reality”や“truly”、“vividly”、“realistically”などと訳されます。
“reality”は現実、と和訳されますが、日本では「リアリティがある」などのようにカタカナ語でも使われていますね。
「リアリティがある」は、現実味がある、というような場合に使われます。
「如実」と「忠実」の違い
「忠実」は、真心をもってよくつとめることや、すこしの間違いもなくそのとおりにすること、という意味があります。
だれか、特定の相手になにか伝えたいことがある場合などには、「忠実」を使ったほうがよさそうですね。
また、「如実」には、真心をもって、というような意味はありません。
「如実」と「顕著」の違い
「顕著」は際立っていること、いちじるしいこと、目につくこと、というような意味があります。
「如実」は、ありのままの現実であることをいい、「顕著」は、だれが見ても明らかである、ということをいいます。
似ているようですが、使い分ける必要のあることばといえます。
仏教用語としての「如実」
日本人は無宗教であるといわれますが、信仰するかいなかは別にして、どの宗教に教えにも、人をはっとさせるような、真理を思わせるものがすくなからずあります。
ここでもすこしだけですが、「如実」ということばに関連する仏教の用語を紹介しておきます。
- 「真如」
- 「如実知見」
「真如」
「しんにょ」と読み、「如実」の言い換えのことば、ということもできます。
あるがままであること、真実のすがたや普遍的な真理のことを指すことばです。
赤ん坊の笑顔や自然物、たとえば風が冷たいことや、花が散ることなど、さまざまなことに人は真理を感じることがあるのではないかと思います。
「如実知見」
「にょじつちけん」と読み、仏教の用語で、現実をありのままに見抜くこと、という意味で使われています。
「ネット社会になり、人間関係も目に見えぬ複雑さを増しているが、如実知見し、惑わされずに自分の道を貫くことが求められている」
「如実」とは、あるがままのことだとわかりました。
社会のなかで多くの役割を果たしながら生きていく人間にとって、あるがままであることはむずかしいようでもありますが、どんなときにも自分のあるがままの姿を見据えていられると、迷いというものに惑わされず、生きていくことができそうですね。