「手負いの獣」の意味・読み方・類語【使い方や例文】
人間は切羽詰まった時には、信じられない程の力を発揮すると言われています。
例えば、ことわざの中に「火事場(かじば)の馬鹿力(ばかぢから)」という表現がありますが、これは「火事の時に、自分にあるとは思えない程の大きな力を出して、普通では動かすこともできない重い物を持ち出したりすること」という意味があり、切迫した環境下に置かれると、普段では想像できないようなとてつもない大きな力を無意識に発揮することを言っています。
このようなことわざの中に、「手負いの獣」というものがあるのですが、皆さんは、どのようなことを指しているかご存知でしょうか?
目次
- 「手負いの獣」の意味とは?
- 「手負いの獣」の類語や言い換え・似た言葉
- 「手負いの獣」の言葉の使い方
- 「手負いの獣」を使った例文
- 「手負いの獣」の英語
- 「手負いの獣」が危険な理由
- 「手負い」を使った言葉と意味を解釈
「手負いの獣」の意味とは?
「手負いの獣」という言葉は、身近な会話の中でも時々、使ったり、聞いたりすることのある言葉かもしれません。
この言葉は、追い詰められて必死の反撃を試みる動物を例えて人の場合も対象にしていることがあります。
傷を負っている獣は、どんなに小さな動物でも「普段のように弱々しくなく、それ以上に危険だということ」を言っています。
それが猫でも猪でも、獅子であっても意味は同じ意味で、「手負いの獣」という使い方がされています。
「手負いの獣」とは、そのようなニュアンスを持っている言葉なのです。
- 「手負いの獣」の読み方
「手負いの獣」の読み方
「手負いの獣」とは、「ておいのけもの」という読み方になります。
「手負いの獣」の類語や言い換え・似た言葉
では、切羽詰まって追い詰められて何をしでかすか分からない「手負いの獣」を他の言葉で表現すると、どのような類義語があるのでしょうか?
- 「袋の中のネズミ」
- 「窮鼠」
「袋の中のネズミ」
まず、すぐに頭の中に浮かんでくる言葉としては、「袋の中のネズミ」が出てきます。
「袋(ふくろ)の鼠(ねずみ)」とも言われることがある言葉ですが、「逃げ出すことのできない状態のこと」を意味しています。
「犯人はもう袋の中のネズミだ」
というセリフを聞いたことがあると思いますが、刑事ドラマや推理ドラマなどで、よく出てくる表現ですね。
- 「袋の中のネズミ」
- 「窮鼠」
「窮鼠」
「窮鼠」と書いて「きゅうそ」と読む言葉ですが、まずこの漢字をサラリと読むことができる人は、そんなに多くはないでしょう。
しかし、「窮鼠、猫を噛む(きゅうそ、ねこをかむ)」ということわざを聞くと知っている人も意外に多いのではないでしょうか?
この言葉の意味は、「追い詰められて逃げ場を失ったネズミ」のことで、「窮鼠、猫を噛む」となると、「弱者でも追い詰められると死力を出して強者に反撃すること」という意味になります。
「手負いの獣」の言葉の使い方
「手負いの獣」は、追い詰められて極限状態になった時に、信じられないくらいの力で必死に反撃に出るようなことを指していますが、このようなシーンは動物だけでなく、人間でも追い詰められた時に出てくる行動として、用いられることがあります。
「手負いの獣」を使った例文
では、どのような場面で「手負いの獣」が使われるのか、例文を見ていくことにしましょう。
- 「手負いの獣」の例文1
- 「手負いの獣」の例文2
- 「手負いの獣」の例文3
「手負いの獣」の例文1
「彼は時々よろめがらも、そのたびに手負いの獣のように唸り声をあげて、私達に言い返してきたのです」
このような場面は、仕事でもプライベートの中でも、時々遭遇する場面かもしれません。
仕事でも、理論武装で固められた言葉で迫った時に、突然、目を見開いて、反撃に転じてくる人がいないでしょうか?
さすがに力に訴えるわけにはいかないので、大きな声を張り上げて、言い返して来るのです。
もしかすると、「逆ギレ」と言えるかもしれませんが。
「手負いの獣」の例文2
「手負いの獣が最後の力を振り絞って、ハンターに向かってゆくような姿で、彼は敵に迫っていったのです」
これは最後の戦いの場面で出てくるようなセリフですね。
満身創痍の状態で残された力を振り絞り、反撃しようとする痛々しい姿を連想してしまいます。
決して勝つ見込みのない戦いなのですが、僅かばかりの抵抗でも、相手に屈しない姿が印象的です。
「手負いの獣」の例文3
「手負いの獣のように憤りを抱えて、彼は夜の町をさまよい歩いていた」
何かからの追っ手を逃れて、ボロボロになりながら、逃げることに必死になっている状況かもしれません。
もし、このような状態で敵に見つかったとしても、最後まで抵抗する彼の姿があるのかもしれません。
「手負いの獣」の英語
「手負いの獣」を英訳すると、「Beast of wounded」ということになるでしょう。
「手負いの獣」が危険な理由
「手負いの獣」は、とても危険な状態に置かれていることを理解しておくことが大切です。
放っておいても、このような状態の動物は何れ力尽きておそらく死ぬこととなるでしょうが、万が一、回復した場合は、深手を負わせた人間を敵と見なして、逃げずに最後まで襲って来る機能性も否定することができません。
最近のヒグマなどは、とても賢く頭のいい動物なので、かなり現実性を帯びて来ます。
どんな獣でも「手負いの獣」化した動物は大変危険なものですし、死を覚悟で捨て身の覚悟で攻撃を仕掛けてきます。
また、「手負いの獣」は、前述の通り、動物だけでなく人間でさえ同じような行動をしてきますので、動物より深刻な被害をだしてしまうかもしれません。
それだけに「手負いの獣」を不必要に追い込むことは避けるべきなのです。
「手負い」を使った言葉と意味を解釈
では、「手負い」を使った言葉を見ていくことにします。
- 「手負いの兵士」
- 「手負いの獸が生き残る」
- 「手負いの獣のような目付き」
「手負いの兵士」
「彼は手負いの兵士の一面をあらわにして、この厳しい局面に対して身構えていた」
「手負いの獣」ならぬ「手負いの兵士」。
これこそ、追い詰められた人間なので、動物以上に厄介な存在と言えるでしょう。
かなり昔の映画ですが、シルベスター・スタローン主演の「ランボー」という作品がありました。
この映画のストーリーは、ベトナム戦争帰りの兵士のランボーが、片田舎の町に立ち寄って言われなきことで、警察官から暴力を振るわれて、山林に逃げ込むのです。
しかも、さらに彼を追い詰める警察とランボーの戦いが始まるのですが、その時の彼の姿が、まさに「手負いの兵士」でした。
「手負いの獸が生き残る」
「手負いの獣が生き残るために必死になったことで、結果か大きく変わってきたのだす」
この時の「手負いの獣」が生き残るためにしたことは、ありとあらゆる手段を講じて、反撃に出たのではないでしょうか?
普通なら考えも付かないようなことを、平然とやってのけて、活路を見出だしたのかもしれません。
必死に反撃したからこそ、奇跡が起きようとしているのです。
「手負いの獣のような目付き」
「彼女は手負いの獣のような切羽詰まった危険な目つきで、彼を睨んだ」
この時の彼女の目付きは、「手負いの獣」ごとき鋭い目付きで相手を睨んでいるのでしょう。
その目の奥には、切羽詰まった心境だけてなく、恨みや怒り、憎悪まで含んだ恐ろしいまでの強い反抗の意志が込められているような気がしてなりません。
おそらく彼女に睨まれた彼は逃げることができずに最後を遂げてしまう恐れもあります。
「手負いの獣」という言葉は、とても恐ろしいイメージを相手に植え付けてしまう言葉のような感じがします。
冒頭でも言ったように人でも動物デモ追い詰められると、信じられないくらいの力で反撃してきますので、攻め込む立場にいる人間もよくよくそのことを考えて行動擦ることが必要です。
ビジネスでも普段の生活でも、時には相手を攻め立てなければならないこともあるでしょう。
しかし、余計に追いかけることで、逆にこちらが大怪我をしてしまうこともあるので、慎重に行動しなくてはならないのです。