「一義的」の意味とは?類語、使い方や例文を紹介!
生まれてから一度も海外に出たことがない、という日本人でも、日本語を操るのはむずかしいですね。
ここでは「一義的」ということばを紹介しますが、「一義的」なんて聞いたことがない、聞いたことはあるが、意味がわからない、という方も多いでしょう。
この機会にぜひ、自分の語彙のひとつにしていってくださいね。
目次
- 「一義的」の意味とは?
- 「一義的」の類語や言い換え・似たことば
- 「一義的」の使い方
- 「一義的」を使った例文
- 「一義的」の対義語
- 「一義的」の誤用
「一義的」の意味とは?
「一義的」には、二つの意味があります。
一つ目は、ただ一つの意味であり、それ以外に意味や解釈が考えられないようす。
二つ目は、もっとも重要な意味を持っていること、根本的なこと。
これら二つの意味がありますので、文脈からどちらの意味で使われる「一義的」なのかを判断する必要があります。
- 「一義的」の読み方
「一義的」の読み方
「いちぎてき」と読みます。
「義」という字は、意義や字義ということばにも使われるように、意味やわけ、といった意味を持ちます。
「一」という字が、ある一つの、や、もっともすぐれた、という意味があるのはおわかりでしょう。
このように、漢字一つ一つの意味から熟語を考えると、意味が通りやすくなるということはよくあります。
わからないことば、知らない単語に出会ったとき、一度ばらばらにして考えてみる、という方法はとてもおすすめです。
「一義的」の類語や言い換え・似たことば
二つの意味を持つことがわかった「一義的」ですが、ほかにどのようなことばに言い換えできるでしょう。
類語表現や似たことばを知っておくことで、より語彙が広がります。
ここでは、「一義的」の二つの意味の、どちらの意味に対する類語かもあわせて覚えておきましょう。
- 「一意」【いちい】
- 「第一義的」【だいいちぎてき】
「一意」【いちい】
「一意」にも二つの意味がありますが、ここでは、意味や値が一つに確定していること、という意味が、「一義的」と似ているといえるでしょう。
これは「一義的」の一つ目の意味である、ただ一つの意味であり、それ以外の意味や解釈が考えられないようす、の類語表現にあたります。
「第一義的」【だいいちぎてき】
ほとんど「一義的」と同じではないか、と思われる方もいらっしゃるでしょうが、「一義的」と「第一義的」は異なることばです。
「第一義的」とは、もっとも重要で根本的な意味、もしくは価値、という意味を持っています。
これは「一義的」の二つ目の意味の類語表現にあたります。
しかし、ただ一つの意味、それ以外に解釈できない、という意味で「第一義的」ということばを使うことはできませんので、気をつけましょう。
「一義的」の使い方
ここまで見てきたように、「一義的」には二つの意味があることがわかっていますので、文章や会話のなかで使うときにも、そのどちらの意味で使うのか、また使われているのか、がポイントになります。
なれれば深く考える必要はありませんが、間違ったまま覚えるとあとで直すのは大変ですから、最初にきっちりと覚えてしまいましょう。
「一義的」を使った例文
それでは、例文のなかで「一義的」がどのように使われているか、見ていきましょう。
繰りかえしになりますが、例文を見るなかで、「一義的」がどちらの意味で使われているのかをしっかりと見ておいてください。
気づくと考えるまでもなく「一義的」がすらすら使えるようになっているでしょう。
- 「一義的」の例文1
- 「一義的」の例文2
- 「一義的」の例文3
「一義的」の例文1
「親に一義的な責任があるといわれては、返すことばがない」
「一義的な責任」というフレーズは覚えておいて損はありません。
「〇〇に一義的な責任がある」という場合、〇〇以外に責任があるとは解釈できない。〇〇にだけ責任があるといえるだろう。という意味になります。
強い断定、という印象を持つことばになりますので、曖昧さを残しておきたい場合には使わず、これだけは断言したい、という場合に使うといいでしょう。
「一義的」の例文2
「面接試験でかならず聞くのは、教育の一義的な目的は、というものだが、毎年さまざまな意見が出るので興味深い」
根本的な、という意味の「一義的」ですね。
「〇〇の一義的な目的」というフレーズも覚えておくといいでしょう。
仕事上でも使えるシーンがありそうですね。
いろんな場面で、一度原点に立ちかえりたい、というようなときに問い直すとよさそうです。
「一義的」の例文3
「すでに一義的な結論の出ている分野でも、疑問を持つことで覆る可能性がある」
ここでは「一義的な結論」というフレーズが出てきました。
これ以外考えられないような結論、ということですね。
こちらも知っておくと便利なことばです。
しかし、例文のとおり、「一義的な結論」が出ていたはずが、研究が進むにつれ覆るようなことも現実には多々あるようです。
「一義的」の対義語
「一義的」には二つの意味がありますので、対義語は二つに分かれます。
それぞれの意味に対応する対義語を紹介していきますので、どちらの意味の対義語になるのかを見ておいてください。
対義語同士にあたることばまで知ることで、幅広いことばを使えるようになっていきますよ。
- 「多義的」【たぎてき】
- 「二義的」【にぎてき】
「多義的」【たぎてき】
「たぎてき」と読み、一つのことばが二つ以上の意味を持っている、という意味のことばです。
これは、意味が一つに確定している、という意味での「一義的」の対義語にあたります。
「数学の世界では一義的であることが求められるが、芸事の世界では多義的であることが喜ばれる」
ひとつの絵画が、見るものによってさまざまな解釈を与えられたりする芸術の世界などでは、「一義的」でなく、「多義的」であることが求められ、より多くの意味を含有することのできるものが、奥行きのある、器の大きな作品として喜ばれることも多くあるようですね。
「二義的」【にぎてき】
「にぎてき」と読み、根本的、本質的ではないさま、という意味を持ちます。
それほど重要でないさま、という意味で書かれた辞書もあります。
これは、重要で根本的な意味を持っていること、という意味で使われる「一義的」の対義語にあたります。
「職探しするうえでポイントとなるのは、なにが自分にとって一義的な条件であり、なにが二義的な問題であるかを整理しておくことだ」
給料の高さ、残業の短さ、はたまた家からの近さなどの条件のなかで、自分にとってもっとも重要なものと、それ以外に分けることは、「一義的」か、「二義的」かを考えること、と言い換えられます。
「一義的」の誤用
「一義的」に対して、知っている漢字ばかりなのに、なんとなく意味がわからない、という印象を持っている方も多いのではないでしょうか。
果敢に使ってみたが、なんとなくしっくりこない、使っている人がいるが、違和感がある、という場合には、誤用の可能性があります。
- 「一時的」という意味はない
- 「はじめに」「まず一番に」の意味もない
「一時的」という意味はない
「担当の者が離れておりますので、私が一義的に対応します」
一時的に、という意味で「一義的」が使われることはまずありません。
このような使い方は誤用になりますので、使ったことがあるかも、と思い当たる方は、今後やめておきましょう。
「はじめに」「まず一番に」の意味もない
「一義的にはこちらの問題を取りあげたく思います」
まずはこの問題を、というように、一番目に、の意味で使われることもありません。
日本語には、誤用とされていたが、それがあまりに周知されてしまい、その意味でもまかり通るようになった、ということばも多々ありますが、「一義的」に関しては、今のところそのような事実はありません。
「一義的」は、これ以外の意味や解釈が考えられない、また、重要で根本的な意味、という二つの意味を持つことばとわかりました。
知らないことばだからと使わないよりも、調べて使ってみると、語彙が広がり、話すことが楽しくなります。
また、正しい日本語を身に着けていれば、どこへ行っても臆さずに自分を表現できるようになりそうですね。