「独壇場」の意味とは?類語、使い方や例文を紹介!
日本語には、色々な言葉がありますが、その中にはとても難しい言葉もあります。
例えば、四字熟語や故事は、昔の慣習や思想を元にして作られたものが多いのですが、さらに難しいのは、似たような漢字を使っている言葉かもしれません。
その中に「独壇場」という言葉があるのですが、「独壇場」の意味は何となく知っている人も結構多いことでしょう。
しかし、ややこしいのは、見た目も意味を他にかなり似通っている他の言葉がいくつかある言葉なのです。
では、この言葉はどのような意味があり、どのような経緯で生まれた言葉なのかを見ていくことにしましょう。
目次
- 「独壇場」の意味とは?
- 「独壇場」の類語や言い換え・似た言葉
- 「独壇場」の言葉の使い方
- 「独壇場」を使った例文
- 「独壇場」の英語
- 「独壇場」の語源
- 「独擅場・土壇場・独壇場」を意味の違いを解釈
「独壇場」の意味とは?
「独壇場」という言葉を聞いたり、自分で使うことも少なくない言葉だと思うのですが、詳しい意味を理解すると、この「独壇場」から他の言葉のつながりも見えてきて、少し興味深くなる言葉かもしれません。
「独壇場」の意味は、「1人が思い通りに振舞うことができる場面や分野」のことを指しており、単純に「1人(ひとり)舞台」と表現することもできる言葉です。
この言葉が使われるシーンとしては、特定の場面で圧倒的な力を発揮している人が目立っている場合や、団体のスポーツで1人のプレーヤーがチーム全体を引っ張り、ゲームの流れをコントロールしているような時に使われています。
- 「独壇場」の読み方
- 誤りから生まれてきた言葉
「独壇場」の読み方
「独壇場」の読み方は「どくだんじょう」となります。
誤りから生まれてきた言葉
驚くことに「独壇場」という言葉は、実は誤った使われ方をしていました。
「独壇場」の意味である「ひとり舞台」という解釈は他の言葉でもあるのですが、類語ではなく、「独擅場(どくせんじょう)」という言葉になります。
「えっ、読み方が違うの?」と思われるかもしれませんが、この2つの言葉を注意して見てみると、「独壇場(どくだんじょう)」と「独擅場(どくせんじょう)」では、見分けにくいですが、「手偏」を使っている「擅」と「土偏」を使っている壇になっています。
元々は、「土偏」を使っている「壇」の言葉が使われていたのが、偏が似ていることから何時からか間違って使われるようになってしまいました。
非常に区別がつきにくく混同してしまったのですが、現在では、誤用の「独壇場」が一般的な言葉として広まっており、「独壇場」を使っても間違いではないのです。
「独壇場」の類語や言い換え・似た言葉
では、「独壇場」に近い意味を持つ類語では、どのような言葉があるでしょうか?
- 「総なめ」
- 「独り勝ち」
「総なめ」
「総なめ」という言葉が独壇場の類語として挙げられると思うのですが、元来の意味は、「火が広範囲に広がり一帯を隈なく焼くことから、それによって甚大な火災被害をもたらす」というような内容を言っていました。
その意味が転じて、「対戦相手をことごとく打ち負かして勝利する」という意味になっていきました。
「彼は今年のタイトルを総なめにした」
このような使い方で聞いたことがあるのではないでしょうか?
「独り勝ち」
「独り勝ち」も同じ意味を持っており、「他の人はみな負けて、1人だけが勝つこと」となりますが、「今回の賭けは、アイツの独り勝ちだな」という表現で使われることがありますね。
「独壇場」の言葉の使い方
「独壇場」という言葉は、多くの人達を含むゲームや試合の中で、群を抜いて頭1つ分出し抜いて勝つような場面で使われていますが、人物だけでなく企業間の競争でも使われることがあります。
「今年の電気業界は、A社の独壇場だった」
このようなタイトルで経済記事の見出しを飾ることもあるでしょう。
「独壇場」を使った例文
「独壇場」の例文も見ていくことにしましょう。
- 「独壇場」の例文1
- 「独壇場」の例文2
- 「独壇場」の例文3
「独壇場」の例文1
「ひとたび話題が株のことになると、まさに彼の独壇場だ」
誰でも、自分の得意分野というものがありますが、友人や仲間内の会話で、特異なジャンルの話題になった時に、このような表現ができます。
特に仕事や趣味の話題になった時は、他の人が口を挟むことができないようなペースでまくしたてるようにしゃべっているのではないでしょうか。
「独壇場」の例文2
「IT分野においては彼の右に出るものはない。この分野は彼の独壇場と言えるだろう」
これも例文1と同じ使い方になりますが、会話術が上手な人は、普段の会話でも、意識的に自分の特異な土俵に持っていき、話題の中心になることにたけています。
「独壇場」の例文3
「ラスト10分からの猛攻は、まさに彼の独壇場で、誰もついていくことができなかったのです」
この場面は、ゲームや団体スポーツの光景を連想しますが、勢いづいた彼の動きを誰も止めることができないといったニュアンスになるでしょう。
「独壇場」の英語
「独壇場」を英語で例えるなら、“exclusive territory”という言葉で表現することができます。
「独壇場」の語源
「独壇場」の語源を調べてみると、通常の言葉の語源とは大きくかけ離れているような感じがします。
それは、「独擅場(どくせんじょう)」という言葉があるからです。
「独壇場」と「独擅場」は、始めから同じ意味で使われていた言葉ではなく、「独壇場」の由来を調べてみると、「壇」は「土を高く盛って作った台や場所」を意味しており、昔地祭り、王族の会合、将軍や宰相の任命などを、この台の上で行っていました。
「ひとり」、「ひとり者」を意味する「独」と広く平らにした場所の「場」が合わさり、「独壇場」は「1人が上がいる一段高い場所」を表すようになりました。
一方の「独擅場」の「擅」は、「欲しいままにする」、「1人じめにする」という意味から、「自由勝手な行い」というニュアンスがあります。
これに「独」、「場」が加わり「独擅場」は「1人が思うまま気ままに振る舞っている場所」を表すようになったのです。
しかし、元々は、「独擅場」が正しかったのが、前述の通り、「欲しいままにする」の意味である「擅」が戦後の当用漢字や常用漢字表にないことから、この漢字の認知度も低く、「壇」という漢字で誤用されてしまったと考えてられているのです。
これが「独壇場」の語源と言われていることから、非常に稀有な事例かもしれません。
「独擅場・土壇場・独壇場」を意味の違いを解釈
「独壇場」には、「独擅場」の他に見分けが難しい「土壇場」をあるのですが、それぞれの意味の違いを見ていくことにします。
- 「独擅場」
- 「独壇場」
- 「土壇場」
「独擅場」
「独擅場」は「どくせんじょう」と読み、「自分の思いのままにする」、「欲しいまま」という意味があります。
「独壇場」
「独壇場」の意味を改めて整理すると、「その人ひとりだけで、思いのとおりの振る舞いができるような場面や分野」のことで、「ひとり舞台」を一言で例えることもできます。
但し、「独擅場(どくせんじょう)」と全く同じ意味を持つ言葉と理解しても差し支えはありません。
「壇」自体には、「一段と高く作られた所や設備」、「土を盛ったりして高くした祭りや儀式を行う場所」という意味があるので、「擅」とは意味がかなり異なっています。
「土壇場」
「ドタンバでひっくり返れされたな」
こんな会話をすることがよくあると思うのですが、「ドタンバ」には、「ギリギリのところで」というイメージがありますね。
じつは、この「ドタンバ」こそが、「土壇場」で、直訳すると、「土で作った檀のある場所」という解釈になるのですが、昔、打ち首の刑を執行する時に、土で作った檀を刑場としたことから、「土壇場」=「刑場」という由来があります。
そこから転じて「切羽詰まった場所」、「最後の場面」などの意味になり、「土壇場(ドタンバ)」と使われるようになっていきました。
処刑場の意味とは、かなり不気味な感じがするものですが、「独壇場」と見た目はかなり似ているものの、意味が全く違うことに驚きです。
このように「独壇場」という言葉の意味や使い方、由来を理解していくと、日本語の生い立ちに深い興味が湧いてきます。
日常的に使う言葉でもあるので、正しい用法を正確に理解しておくことが大切です。