「思慕」の意味とは?類語、使い方や例文を紹介!
奥の深い日本語に「思慕」という言葉が存在します。
思慕は実に複雑で奥の深い人間の心の動きを、上手く表現している言葉のひとつです。
この気持ちをどんな風に表現すれば良いのか分からない、そんな時に思慕の意味を知っておくと助かる事があるかもしれません。
目次
- 「思慕」の意味とは?
- 「思慕」の類語や言い換え・似た言葉
- 「思慕」の言葉の使い方
- 「思慕」を使った例文と解釈
- 「思慕」の英語
- 「思慕」を使った言葉と意味の解釈
「思慕」の意味とは?
思慕とは誰かのことを思い慕うこと、誰かを恋しく思うという意味があります。
思慕の「慕」という漢字には、相手をしたったり、思いを寄せたり懐かしく思うといった意味も込められているものです。
そして、思という漢字には頭と心で考え感じ、深くおもうという事になります。
ですから、こうした2つの漢字から成る思慕は、相手への募る思いを深く表した言葉だと言えるのです。
- 「思慕」の読み方
「思慕」の読み方
思慕の読み方は「しぼ」と読み、どちらも音読みを組み合わせた熟語になります。
思も慕も音読みでは、それぞれ「し」と「ぼ」としか読みませんから、他の読み方と間違う事は少ないでしょう。
ただし、慕に関しては似たスタイルの漢字が多数あります。
例えば募や幕などがあり、募の場合は読み方も「ぼ」と被っていますから、読み書きの際には注意をしたいものです。
「思慕」の類語や言い換え・似た言葉
思慕は、人間として当たり前の感情である思い慕う、恋しく思うと意味です。
それと同じ意味を持っていたり、非常に近い意味の言葉は、他にもいくつか見られます。
誰かへの思いを言葉で表現する時、いくつもの言い方を知っておくとありきたりになる事がありません。
- 慕情
- 想い焦がれる
- 恋しい
- 傾慕
慕情
慕情は、相手を慕う気持ちを表すものです。
慕うという言葉の中には、家族に対する情愛だったり、尊敬の念が込められている事もあります。
しかし、慕情は相手を慕う気持ちの中でも特に「恋愛」感情を表した言葉です。
ですから異性を慕う気持ちを表したい場合に「慕情」を使用すると良いでしょう。
想い焦がれる
焦がれるとは、強く望む事や一途に恋する事などを指します。
ですから、想い焦がれるは強い憧れや恋心を表す言葉です。
焦がれるは焦げるに由来する言葉になりますから、熱情で焦げるほどの強い思いを表したい時に使用しましょう。
恋しい
目の前にいなかったり、離れている人やもの、または場所に対して心を強くひかれる事を恋しいと言います。
恋という漢字が使われている事から、恋愛感情を想像してしまいがちですが、そうとは限りません。
懐かしむ気持ちや恋愛感情抜きで慕う気持ちを表しつつ、そこには一片の切なさが含まれている複雑な心情を表す言葉なのです。
傾慕
「けいぼ」と読む傾慕は、一途にしたう事や思慕の情を寄せる事を指します。
ですから傾慕には、思慕と同じく「恋愛感情を含めて相手を慕う」「恋愛感情とは関係なく慕う」「恋しく思う」「懐かしむ」という全ての意味を表現出来るでしょう。
「思慕」の言葉の使い方
思慕は、誰かへの思いを表す名詞となります。
ですから「誰々への思慕」という様に使用したり「思慕を」「思慕が」等と副詞を合わせて使う言葉です。
ですがその他にも「する」と組あせ「思慕する」と動詞の様に使用する事も珍しくありません。
「思慕する」といった使い方になると、相手を思い慕う「気持ち」や「感情」という名詞的な意味よりも相手を思い慕うという動きに焦点があてられます。
「思慕」を使った例文と解釈
ただ相手を思う、恋しいと表すよりも思慕という熟語を使うと、その気持ちに深みが出るように思えるから不思議なものです。
もし、誰かへの気持ちを表現したいのなら、その状況に合わせて思慕を使ってみるのも良いでしょう。
ただ、どのようなシーンでも思慕が相応しいという訳ではありません。
例文で思慕の使い方や解釈を確認していきましょう。
- 「思慕」の例文1
- 「思慕」の例文2
- 「思慕」の例文3
「思慕」の例文1
「どんなに時間が経とうとも、亡くなった母への思慕は深まるばかり」
思慕はこの例文のように、亡くなった人に対しての思いを募らせ、恋しい、会いたいという気持ちを表現する際にも使われます。
また「思慕が深まる」とは、より相手を慕い恋しく思う気持ちが強くなっていくという事です。
「思慕」の例文2
「都会の生活に慣れず、故郷を思慕して涙する」
思慕するという動詞的活用をした使い方の例文です。
この例文からも分かりますが、思慕という気持ちは人に対してだけ抱くものではなく、故郷などを懐かしむといった意味も含まれています。
「思慕」の例文3
「先生への尊敬がいつの間にか思慕へと変わった」
思慕のしたう、恋しく思うという感情は、異性に対しての恋愛感情を表すケースもあります。
まさに上記の例文では、先生への人間としての尊敬の気持ちが、いつの間にか恋愛感情へと発展したという事です。
思慕は必ずしも恋愛感情を示す訳ではありませんが、例文のような使用もポピュラーな方法となります。
「思慕」の英語
思慕を英語で表現すると、どのように英訳する事が出来るでしょうか。
「思慕する」と英訳するなら“I miss”といった使い方も適しています。
“I miss you”はよく目にする英文ですが、その意味は「あなたが恋しい」「あなたに会いたい」「あなたに会えずに(離れるのが)寂しい」といったニュアンスの言葉です。
他にも“longing”も思慕の英訳として使われるケースがあります。
“longing for”で何々に対する思慕を表したり、限定用法として“longing”を形容詞として使う方法もあるのです。
「思慕」を使った言葉と意味の解釈
誰でもこれまでに思慕の感情を抱いた事が、一度くらいはあるでしょう。
ですが、そういった気持ちを感じた事はあっても、普段は「思慕」という言葉を頻繁に使うことはないはずです。
身近な言葉とは言えないかもしれませんが、これから上手く使いこなす為にも「思慕」を使用した言葉の意味や解釈を見ていきましょう。
- 「思慕の念を抱く」
- 「思慕を寄せる」
- 「思慕が募る」
- 「思慕的人」
- 「思慕の情」
「思慕の念を抱く」
思慕は「思慕の念を抱く」といった使い方をするケースがあります。
通常、感情はコロコロと形を変えるものです。
そして、念とは常に心を往来する感情や考えの事を指します。
「思慕の念を抱く」とは、相手を慕ったり恋しく思う気持ちが、心の中に浮かんだり消えたりをずっと繰り返している情態を表せるのです。
つまり、消えたように見えてもいつも心の奥深くには、思慕の感情が眠っている、忘れらないという事でもあります。
「思慕を寄せる」
寄せるという言葉を単体で見ると、物を片側に移動させるといった意味にとれます。
しかし、寄せるにはそれだけではなく、他者に対して何らかの気持ちを持つという意味もあるのです。
ですから、思慕を寄せるとは「相手を慕ったり、恋しい気持ちを誰かに持つ」という事になります。
「思慕が募る」
次第に勢いが激しくなったり、前よりもいっそう強くなる事を募ると言います。
誰かに寄せる思いというのは、常に一定なものではありません。
時間と共に感情が冷めてしまう事もあるでしょうし、逆に思いがより強くなる事もあります。
思慕が募るはその後者にあたり、人物やモノ、場所に対して慕い恋しい気持ちが強く大きくなる時に使用する言葉なのです。
「思慕的人」
思慕的人とは中国語で恋しい人や愛しい人という意味にあたる言葉です。
ですから、日本語としては、ほとんど使われる事はないでしょう。
ただ思慕という言葉の意味を分かっていれば、思慕的人が恋しい人、愛しい人という意味になるのは想像に容易いと言えます。
「思慕の情」
情という漢字は、たった一文字で多くの意味を表します。
人に備わっている心の動き、感情を表すだけではなく、他者に対する情けや思いやり、特定の人に対する愛情までも示せるのです。
「思慕の情」は、思い慕う「感情」を強調した言葉であり、また思慕が特定の対象に限定された気持ちである事を意味すると考える事が出来ます。
何かを慕い強く思う気持ちや恋しく思う感情をたった2文字で表現出来るのが、思慕という言葉です。
シンプルに恋しい、愛しい、懐かしいと表現するのも良いですが、思慕には一辺倒にはいかない様々な感情が複雑に絡み合っています。
亡くなった人への募る思いだったり、故郷に対する哀愁を帯びた懐かしさ、そして異性への恋心と幅広い感情を伝えられるでしょう。