「城砦」の意味とは?類語、使い方や例文を紹介!
雑誌やテレビ、映画などで「城砦」という言葉を目にする事、ありませんか?
日本の小説では1966年に井上靖が「城砦」を執筆。
1969~1971年には司馬遼太郎が、大坂城を舞台にした歴史小説「城塞」を、週刊新潮に連載しました。
1938年製作のイギリス映画、「城砦」は、当時アカデミー賞候補にもなりました(原題「TheCitadel」)。
目次
- 「城砦」の意味とは?
- 「城砦」の類語や言い換え
- 「城砦」の使い方
- 「城砦」を使った例文と解釈
- 現代、日常における例文
- 「城砦都市」の意味
- 「城砦」「城塞」の違い
- 「城砦」の英語
「城砦」の意味とは?
最近では、ゲームなどでも「城砦」や「城塞」をテーマにしたものが数々あります。
しかしながら、「城砦」と「城塞」、どう違うのか、明確に説明出来る人はあまりいないかもしれません。
では、「城砦」とは、具体的にどういうものなのでしょう。
詳しくみていきたいと思います。
- 「城砦」の読み方
「城砦」の読み方
「城砦」は、「じょうさい」と読みます。
「城(しろ)」と「砦(とりで)」の事です。
古代から存在するもので、その土地の支配者が居住する場所(城)を取り囲む「柵」を意味する場合や、本城の外部に設けた小規模な「出城」を意味する事もあります。
中心部を城とするなら、それを包囲し守る意味を備えたものです。
「城砦」の類語や言い換え
「城砦」の類語は大きく分けて二つあります。
- 軍隊などを配備し、より攻撃的要素のあるもの
- 防御する構造の意味が強いもの
軍隊などを配備し、より攻撃的要素のあるもの
「城塞(じょうさい)」「要塞(ようさい)」「山砦(さんさい)」「砲塁(ほうるい)」「城塁(じょうるい)」「塁砦(るいさい)」など。
防御する構造の意味が強いもの
「城廓(じょうかく)」「防塞(ぼうさい)」「本塁(ほんるい)」「堅塁(けんるい)」「出丸(でまる)」「塁壁(るいへき)」などです。
「城砦」の使い方
「城砦」を、日常会話でたとえとして使う事は、あまりないかもしれません。
あえて使うとしたら、「最後の砦(とりで)」の「砦」の部分を言い換える事は出来るでしょう。
手垢の付いた言葉ではなく「城砦」を使う事で、相手に「博学そう」「歴史に強そう」など、好印象を与える事が出来るかもしれません。
「城砦」を使った例文と解釈
- 「城砦」の例文1
- 「城砦」の例文2
- 「城砦」の例文3
「城砦」の例文1
「城砦が陥落(じょうさいがかんらく)」
中心部(城主になぞられたリーダー)を守っていたもの(人)が、撃ち落とされ敗北したさま。
無防備で危険にさらされている状態。
「城砦」の例文2
「城砦を固める(じょうさいをかためる)」
中心部に対し、守りを強める意味。
結束力。
「城砦」の例文3
「イギリス人の家は城砦だ」
英語のことわざ。
イギリス人は個人主義の傾向が強い人が多く、プライバシーを大切にしているので、なかなか親しく踏み込めないという意味が有ります。
現代、日常における例文
- 「私たちのチームが社長の最後の城砦だ」
- 「愛犬の為に城砦を作る」
- 「城砦を華やかにする」
「私たちのチームが社長の最後の城砦だ」
窮地に追い込まれたリーダーを守るべく、ある部署が、覚悟を決めて仕事に打ち込むようなシチュエーション。
「愛犬の為に城砦を作る」
犬小屋を城に見立て、可愛い愛犬の為に柵を作る事。
「城砦を華やかにする」
自分の家を城に見立て、周りに植栽コーナーなどを設け、草花を植えたり手入れする事。
「城砦都市」の意味
- 「城砦都市」は、主に「城塞都市」を指す
- 「堀」、「城壁」、「塔」の役割
- 最古の「城砦都市」と中世ヨーロッパ
- まず土塁から
- 都市文明の発達と共に
- 人口増加が問題に
- 現存する有名な「城砦(塞)都市」
「城砦都市」は、主に「城塞都市」を指す
他民族や他国からの攻撃を防ぎ、そこで暮らす人々を守るために、周囲に堀を巡らせ城壁を築いたのが、「城砦都市」です。
構成要素としては、「堀」、「城壁」、「塔」があります。
「堀」、「城壁」、「塔」の役割
「堀」には水を張り、橋は外敵の侵入を防ぐため、使用する時に架けられました。
映画などで目にする、外敵が襲って来た時に跳ね上がる橋のイメージです。
「城壁」は時代を追うごとに高く造られ、攻撃に使用できるような小窓を取り付けたり、外部を監視できる役割を持たせたものもありました。
城砦都市と外界をつなぐ扉は、門番が監視し、常時守られていました。
「塔」は外界を監視する意味合いと、中でも特別なものは城主の居住スペースであったり、貴族や住民の社交の場、食糧の備蓄庫、または、囚人の投獄場所など、地域や時代によって、多種多様な使われ方をしました。
最古の「城砦都市」と中世ヨーロッパ
「城砦(塞)都市」の最も古いものは、紀元前7500年頃、パレスティナの都市イェリコが挙げられます。
すでに外界と街を壁で隔てて暮らしていたそうです。
中世になると、ヨーロッパ各地で多くの城砦都市が生まれました。
さらに防御だけでなく、応戦的、攻撃的意味合いを強めたものが、「城塞都市」と言えるでしょう。
「じょうさいとし」と言う場合、「城塞都市」を指す事が多いです。
中世ヨーロッパが舞台の映画で登場する、高い塀に守られた街と人々…というシーンは、よく目にしますが、外界から遮断されている閉鎖的な風景が「城砦都市」です。
「城砦都市」は古代エジプト、メソポタミア文明、インダス文明、中国、ギリシアなど、世界各地に存在しています。
起源は旧石器時代まで遡り、農耕で富を得て、外敵から「守るべきもの」が発生した所から、徐々に進化を遂げて行きます。
まず土塁から
まずは居住スペースの周囲に堀を作り、土を盛り上げ土塁を作ります。
土塁には柵が設けられ、外敵からの脅威が強まるほど、その柵は強固なものへとさく造り変えられます。
やがて石や煉瓦の壁で周囲を覆います。
都市文明の発達と共に
やがて「個」の争いから「集団」での争いに規模が大きくなると、城砦もより強く高いものとなり、都市全体を取り囲むようになります。
「城砦都市」から「城塞都市」への意味合いが強くなって行きます。
このように、部族・民族間の争いが多かった地域で、「城砦(塞)都市」は、いちじるしい飛躍的な発展を遂げました。
人口増加が問題に
外界と自由に行き来出来ず、守られた生活を送る中で、内部の人口増加が著しくなり、居住環境の悪化を招くことがありました。
そのため、ギリシアでは別の土地に城砦都市を作り、数を増やしていきました。
また、ローマは内部の居住スペースを細かくし、積み上げるマンション構造にして、しのいでいました。
それぞれの地域の解釈で、人口問題に取り組んだ結果、独自の進化を遂げていきました。
現存する有名な「城砦(塞)都市」
フランスのカルカッソンヌ、ギリシアのロドス、クロアチアのトロギール、ドイツのネルトリンゲンなどが有名です。
中世の街並みが残る美しい風景が、人気の観光スポットとなっています。
「城砦」「城塞」の違い
歴史的にみると、「城塞」より「城砦」の方が古く、「守る」という意味合いが大きいです。
時代が進み、武器の発達で「とりで」が守りきれなくなった頃、「城塞」に変わっていったと考えられます。
さらに進むと「要塞」になっていきます。
最初は簡易な盛り土程度のとりでが、時代と共に、石積みや煉瓦になり、より堅牢で攻撃的、軍事的要素を含むものへと変わっていきました。
投石や弓矢などの武器から、大砲など大規模な武器になり、とりででは守りきれなくなったため、「城塞」へと進化していったのです。
「城砦」の英語
“Citadel”です。
「城砦を固める」の場合は、“fortify the fort [citadel]”となります。
いかがでしたか。
「城砦」は当時、外敵からの攻撃や侵入を防ぐ目的で、必要に迫られ造られました。
その結果、頑丈に守られ遮断されることで、独自の文化や街づくりが発展していったのです。
「城砦」は、古代文明や中世ヨーロッパの時代の街並みを守り、当時の美しい風景を遺し、現代に伝える役割を担っています。
観光地となった城砦都市は、タイムスリップしたかのような素晴らしい景色、ファンタジーの世界が広がっています。
歴史の重みを噛みしめつつ、魅力的な城砦都市へ、冒険しに行ってみてはいかがでしょう。