「沙」の意味とは?類語、使い方や例文を紹介!
沙はよく見かける常用漢字ですが、その意味を問われて答えられるでしょうか。
沙のように本来の意味を忘れられた漢字は少なくありません。
名付けに使用される事も多い字ですから、その意味をもっと詳しく知っておく必要があるでしょう。
意外な意味や使い方を発見するかもしれません。
目次
- 「沙」の意味とは?
- 「沙」の類語や言い換え・似た言葉
- 「沙」の言葉の使い方
- 「沙」を使った例文と解釈
- 「沙」を使った言葉と意味の解釈
- 砂と沙の違い
「沙」の意味とは?
沙は非常にシンプルな字体ですが、その意味は多岐に渡ります。
「すな(砂)」「砂漠」「水辺の砂」が代表的な意味となり、非常に細かい岩石やサンゴの粒である「すな」を表すものです。
他には砂糖のように細かく美味しい物の名につく文字、水で洗って適否を選り分けるという意味も持っています。
更には1億分の1という極めて小さい数の単位をも表すのです。
- 「沙」の読み方
「沙」の読み方
沙の読み方で一番ポピュラーなのは「さ」だと言えるでしょう。
女の子の名前にも「さ」の読みで非常によく使用されている漢字です。
「さ」の他に音読みでは「しゃ」という読み方もあります。
訓読みの方を見ていくと「すな」「みぎわ」「よな(げる)」という読み方があり、みぎわは水辺の砂浜、よなげるは混じりあった細かいものを水にいれて選り分けるという意味です。
沙は「さ」という読み方しか知らないという人もいますが、実は「みぎわ」や「よな(げる)」といった読み方もあります。
ただし、「さ」以外は表外読みとなり、通常はひらがなで表記されるという事も覚えておきましょう。
「沙」の類語や言い換え・似た言葉
沙はよく見かける漢字ですが、その意味までは知らない人も多かったことでしょう。
これから沙という字の類語や言い換えにあたる言葉、また意味が似ている言葉をあげていきます。
沙と似た言葉とは、字体や読みが似てるという事ではありません。
その意味が、沙と同じだったり言い換え可能な言葉ということです。
- 砂
- 砂浜
- 汀
- 真砂
- 淘
砂
沙は「すな」とも読み、このすなは「砂」と同じ意味です。
降水量が極端に少なく、乾燥して砂が広がった地域を指して砂漠と言う事は知っているでしょう。
沙は砂の類語であり、砂漠も砂という漢字の代わりに沙漠と記す事が可能です。
砂浜
沙は水辺の砂という意味もありますから、砂浜と言い換えても意味は通じるはずです。
海岸には、大きめの岩石が堆積された場所と細かな砂礫が堆積した場所があります。
サラサラとした細かな砂の集まった海岸は、砂浜もしくは砂浜海岸と呼ばれ、沙と同じ意味を持つ言葉だと言えるでしょう。
反対に岩石海岸は、砂浜でもなく沙の類語にもあたりません。
汀
汀はみぎわ、すなわち波打ち際のことです。
そして沙には、表外読みとなるものの、みぎわという読み方もある事を忘れてはいけません。
沙の表外読みであるみぎわは、その意味も汀と同じになります。
ですから、汀も沙の類語といって過言ではありません。
真砂
真砂は細かい砂の意味で、まさごと読みます。
同じ意味、同じ漢字でも真砂は「まなご」と読むことも可能です。
沙が表す砂も、通常よりも細かい砂を意味しており、真砂は似た意味を持つ言葉だと言えるでしょう。
淘
沙と同じくさんずいを持つ淘は、水で洗って良いものと悪いものを選り分けるという意味があります。
不適切なものを排除する淘汰するという熟語の意味から考えても、淘という漢字の持つ意味を想像することが出来るでしょう。
沙にも同じように水で洗って選り分けるという意味があり、淘とは似た意味の言葉だと言えます。
「沙」の言葉の使い方
沙の言葉の使い方について、これまで考えてみたことがある人は少ないでしょう。
「さ」以外の読み方は、全て表外読みであるため、一般的には使用されません。
また、砂という字を沙に置き換えても間違いではありませんが、砂漠を沙漠、砂糖を沙糖と使う事も日常の中ではないでしょう。
そのためどうしても沙の使い方としては、名付けでの使用が圧倒的に多くなってしまいます。
また、梵語のさの音訳字として沙が使われる事も覚えておきたいものです。
「沙」を使った例文と解釈
- 「沙」の例文1
- 「沙」の例文2
- 「沙」の例文3
「沙」の例文1
「平家物語の始まりの一節に、沙羅双樹という木が登場する」
学生時代に古文で習うのが、平家物語のこの一節です。
沙羅双樹はさらそうじゅ、もしくはしゃらそうじゅと読み、インドから東南アジアに分布する常緑高木であり、日本ではとても珍しい植物になります。
「沙」の例文2
「女の子が産まれたら、沙という漢字を名前に使いたい」
沙は特に女の子の名付けとして人気の高い漢字です。
シンプルで流れるような美しい字体、爽やかさや涼し気なイメージを持つ人も多いでしょう。
「さ」がつく名前も多いため、人名では頻繁に用いられる漢字となります。
「沙」の例文3
「砂漠を沙漠と書くのは間違いではありません」
砂漠も沙漠も間違いではなく、両者が同じ意味である事に違いありません。
実のところ沙の方が砂よりも前からある漢字なのです。
しかし、現在では砂漠とするのが普通であり沙漠は間違いと認識している人も少なくないでしょう。
「沙」を使った言葉と意味の解釈
沙は名前だけに使用されている訳ではなく、他にも色々な言葉に使われています。
沙という字をあてても間違っていない言葉や、その解釈の仕方を見ていきましょう。
- 沙汰
- 毘沙門天
- 沙弥から長老にはなれぬ
- 沙雨
- 沙蚕
沙汰
沙汰とは裁定や通知、便りという意味をもつ言葉です。
また、話題に取り上げることや問題となるような事件や行為を指すこともあります。
用途も多く「正気の沙汰ではない」「取り沙汰される」「音沙汰がない」などの例文はよく見かけるでしょう。
沙汰という文字だけを見ても、その意味にピンと来ないかもしれませんが、上記のように「音沙汰がない」等の文になると理解しやすいはずです。
毘沙門天
毘沙門天は、日本でもよく知られている仏神で、日本では七福神の一神です。
びしゃもんてん、と読み元々日本の神様ではありません。
沙という漢字は梵語の音訳字としても使われますが、毘沙門天はインドヒンドゥー教の神様ですから、まさしくその使い方にあてはまります。
沙弥から長老にはなれぬ
沙弥とは仏門に入りたての僧の呼び名です。
このことわざの意味は、物事には全て順序があり、いきなり1から10にはなれないという事を表しています。
何事もひとつひとつの積み重ねにより、少しずつステップアップしていく必要があるという戒めの言葉でもあるのです。
沙雨
沙雨とは雨の種類を表す言葉のひとつです。
雨の種類を表す言葉は、なんと何百個もあることを知っていますか。
沙雨とは、河口の砂州に降る雨のことです。
沙には小さい数の単位という意味もあるので、沙雨とは細かい雨の事だと勘違いしてしまう人もいるでしょう。
しかし、実際は雨の降り方などを表すのではなく、どこに降る雨かということを指している言葉となります。
沙蚕
沙蚕の読みは特殊で、これで「ごかい」と読みます。
沙蚕は、釣りの餌として使われる、環形動物門多毛綱に属する動物の一種です。
虫と思われがちですが、沙蚕は虫に分類される生物ではありません。
沙蚕の語源は中国にあり、水辺の近くの砂に住む生き物からきていると言われています。
砂と沙の違い
砂と沙は、同じく岩石が小さくなった「すな」を意味しています。
しかし、実際のところ「すな」の意味で使われるのは、圧倒的に砂でしょう。
その字体から見ても分かるように、砂は石が小さくなったモノを表しています。
一方で沙の場合は、石ではなくさんずいが用いられている点に注目をしましょう。
沙も砂という意味ですが、もっと細かくいうなら水辺の細かいサラサラとした砂のことです。
使い分ける必要は特になく、通常「すな」の意味で使用するなら「砂」を使うのが妥当です。
ただし、沙は砂の元の漢字であり、中国では日本と違い砂ではなく沙が「すな」の漢字として使われるのが普通となります。
沙の持つ本来の意味は、現代の日本ではあまり重要視されていません。
そのイメージや響きだけで名付けに使用されていますが、その意味をよく考える事も必要です。