「狼狽」の意味とは?類語、使い方や例文を紹介!
日本語には、色々な言葉がありますが、時々聞いたことのある言葉でも、自分ではあまり使わないようなものもあります。
そのような類いの言葉で、「狼狽」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
「ドラマや映画で、そんなセリフを聞いたことがあるかもしれないけれど、正確な意味は詳しく知らない」
と言いたくなる人も少なくないと思います。
目次
- 「狼狽」の意味とは?
- 「狼狽」の類語や言い換え・似た言葉
- 「狼狽」の言葉の使い方
- 「狼狽」を使った例文
- 狼狽の英語
- 狼狽の語源や由来
- 狼狽を使った言葉と解釈
- 狼狽を使った四文字熟語
「狼狽」の意味とは?
「狼狽」でも、「狼狽える」という表現もあります。
この言葉は、「狼狽」の意味そのものを表している言葉です。
読み方は、「うろたえる」となるのですが、この読み方が分かると、「狼狽」の意味をもすぐに理解することができるでしょう。
そう、「狼狽」とは「慌てふためくこと」あるいは「狼狽えて(うろたえて)騒ぐこと」と意味を表している言葉なのです。
「突然の事故に狼狽する」「不意の質問に狼狽する」「狼狽気味」といったようなケースで使われます。
- 「狼狽」の読み方
「狼狽」の読み方
「狼狽」は「ろうばい」と読みます。
「狼狽」の類語や言い換え・似た言葉
「狼狽」の同義語に「周章(しゅうしょう)」という言葉があります
「周章」の語源は、中国の秦代時代末期に存在した将軍だと言われています。
「周章」は、「物事のさきがけ」の意味を持った「陳勝呉広(ちんしょうごこう)」という四字熟語の語源である同時代将軍「陳勝」という人物に仕えていたことがありました。
天下をうかがっていた「陳勝」は、函谷関(かんこくかん)というところから長安を目指して、兵を進める算段をしたのですが、敵軍の章邯(しょうかん)という将軍は、先鋒に位置していた「周章」を2回も打ち破り、敗走させてしまったのです。
その時に「慌てふためいて敗走する様子」から「周章」が「あわてふためく」意味を持つ言葉になったのです。
「狼狽」の言葉の使い方
「狼狽」は「慌てふためくさま」や「その状況」を意味しており、そのような心境を表現する時に使います。
この言葉の使い方を見てみると、「あの大火事の時に、妻はなぜかタンスから靴下だけを持ち出したです。あの時の行動そのものが狼狽というだったのです」
「財布をなくしたことに気づき、私はすごく狼狽して、冷静な状態ではありませんでした」
「捜査官の鋭い指摘に、犯人は狼狽の色を隠せなかった」というように使われています。
「狼狽」自体は名詞ですが、「する」、「した」を語尾にすることで、動詞として活用することができます。
言葉の使うシチュエーションによって、名詞、動詞として使い分けることが可能な言葉です。
「狼狽」を使った例文
では、他にどのような場合に、「狼狽」を使えるのか例文をいくつか見ていくことにしましょう。
- 「狼狽」の例文1
- 「狼狽」の例文2
- 「狼狽」の例文3
「狼狽」の例文1
「ショックな知らせを聞いて、私は狼狽する」
「ショックな知らせ」にも、色々な内容があることでしょう。
自分の肉親の突然の不幸。
思いもよらなかった想定外の出来事、
いきなりの突発的なトラブル。
実に様々なことがあります。
突然の出来事や予想外の出来事に対しては、おそらくびっくりするか、「狼狽」するかのどちらかでしょう。
「狼狽」の例文2
「不意を突かれ、狼狽しているところにとどめを刺すことで、何とか生き延びることができた」
いくら強敵であっても、不意をつくことで、相手はたじろくものです。
その時こそ、不利な状況を跳ね返して形勢逆転を狙うのです。
このようなことは、試合や戦いの中の戦術として、昔から使われている手法です。
「狼狽」の例文3
「私の兄は、あまり真剣に力を入れすぎて手紙を書いたので、自分でも何を言っているのか、訳が分からなくなり狼狽した」
文章を書く時にあまりにも、気持ちが真剣になり、何を言いたいのか頭の中が混乱していることが分かります。
狼狽の英語
「狼狽する」を英語に置き換えると“be flustered”となります。
狼狽の語源や由来
この「狼狽」という言葉に使われている漢字を見て、よく考えてみると、少し妙な気持ちにならないでしょうか?
「狼狽」は「慌てふためく」という意味があるので、どうして「狼(おおかみ)」の一字が使われているのか?
この言葉に使用されている「狼」は私たちのよく知るオオカミとは別の生き物です。
ここで言う「狼」という動物は、前足が長くて後ろ足が短くなっています。
一方の「狽」はその逆となります。
前足が短くて後足が長いという想像上の動物で狼の一種とされています。
「狼」と「狽」は、中国の伝承における架空の生き物なのです。
単体では非常にアンバランスなため、狽が狼の背中に前脚をかけるようにして、この2匹は常に一対で行動します。
2匹が離れ離れになり、バランスを崩して慌てふためく状態になるために、その様子を「狼狽」と言うようになったのです。
この2匹の「狼」と「狽」は常にともに行き、離れると倒れるのであわてるというところから、「不意の出来事などにあわててうろたえること」という意味に転じていったと考えてられています。
狼狽を使った言葉と解釈
では、「狼狽」を使った言葉も見ることにしましょう。
- 「狼狽の色」
- 「狼狽を隠す」
「狼狽の色」
「狼狽」を含んだ言葉に「狼狽の色」という表現があります。
「狼狽の色」という使い方をする時の「色」とは、顔色の状態を示しています。
よく「顔色が変わる」や「驚きの色が浮かべている」というような言い方をすることがあります。
この場合の「色」も、表情のことを指しています。
したがって、「狼狽の色」を言っている時は、「慌てたような表情をしている」という意味で理解することができます。
「狼狽を隠す」
「普段は冷静な彼も狼狽を隠そうとするさまがありありと見えたのです」
どんな人でも、焦ることはあります。
普段、クールなまでに冷静なふりをしている人なら、「狼狽」の顔を見せたくないために、隠そうとするのかもしれません。
狼狽を使った四文字熟語
「狼狽」を使った四字熟語には、「周章狼狽」という言葉があります。
普段の日常会話では、めったに使うことや、耳にすることのない珍しい四字熟語かもしれないので、聞いてもこの言葉の意味が、全く理解できない人が多いのではないでしょうか。
「周章狼狽」の読み方がけっこう難しいそうに思えるのですが、「しゅうしょうろうばい」と読みます。
意味は「とても慌てていること」や、「非常にうろたえること」となります。
「周章」も「狼狽」も同じく「あわてる」という意味があります。
「周章」は、「狼狽」の同義語となることを前項で説明しましたが、同じ意味を持つ言葉を2つ並べることで、「あわてている様子」をさらに強調する効果があります。
「周章狼狽」は、本当にあわてている様子がひしひしと伝わってくる感じがしますね。
人生には、様々なことが起きています。
嬉しいこと。
悲しいこと。
悔しいこと。
時には、心のぽかんと大きな穴が開くような虚しいことさえあるでしょう。
その中で、「狼狽」するくらいにあわててしまう大きな出来事さえあります。
このような出来事に遭遇した時はできるだけ冷静になることが大切ですが、中々そのようなことは不可能かもしれません。
人は、常に冷静でいられることが望ましいのですが、そのような姿勢を保つことは、簡単そうでかなり難しいのです。
だからこそ、平常時からいざという時でも、普段通りにふるまうことができるようにしておきたいものです。
「狼狽」することで、本来の性格が活かすことができなくなってしまうからです。