「踏襲」の意味とは?類語、使い方や例文を紹介!
「踏襲」という言葉はどこかで耳にしている人が多いでしょう。
歌舞伎や落語の世界では「襲名」という文化があり、かなり近い意味を持つことを知っている人もいるかもしれません。
ですが、普段なかなか使わない言葉ですし、読み方も難しいですね。
ここでは「踏襲」という言葉について深く考えていきましょう。
目次
- 「踏襲」の意味とは?
- 「踏襲」の類語や言い換え・似た言葉
- 「踏襲」の言葉の使い方
- 「踏襲」を使った例文と解釈
- 「踏襲」の由来や語源
- 「踏襲」と「継承」の違い
- 「踏襲」を使用した言葉の解釈
「踏襲」の意味とは?
この言葉が持つ意味は、「先人のやり方、説などをそのまま受け継ぐ」ということです。
「そのまま」ということは、手を加えたりやり方を変えたりすることなく、元の姿で続けるということです。
あくまでもやり方や説などについて使う言葉であり、財産などを受け継ぐ際には使わないので注意しましょう。
- 「踏襲」の読み方
「踏襲」の読み方
どちらも音読みで「とうしゅう」と読みます。
先の「襲名」は「しゅうめい」ですね。
読みにくい熟語であるため、間違えやすいので気をつけましょう。
「ふんしゅう」あるいは「ふしゅう」というのは間違った読み方の代表格です。
大人でも間違えて読んでいる人もいますので、正しい読み方を覚えておいてください。
「踏襲」の類語や言い換え・似た言葉
日常でよく使う言葉では「引き継ぐ」「従う」が近い意味を持ちます。
他にも「準ずる」「則る」「倣う」という言葉で言い換えることもできます。
要は先人の築いたものをそのまま繋ぐという意味なので、類語はたくさんあります。
ですが、ニュアンスが微妙に異なってくるので、上手に言葉を選びましょう。
「踏襲」の言葉の使い方
先にも述べましたが、「そのまま受け継ぐ」という意味があるため、悪い意味で使われることもあります。
変革が必要な場面で「先人のやり方を踏襲している」と言うと批判的な意味が込められますね。
逆に伝統を重んじる場面では、同じ言葉でも肯定的に聞こえます。
「そのまま」という意味をどう捉えるか、ということを考えながら使うと良いでしょう。
「踏襲」を使った例文と解釈
それでは、「踏襲」という言葉を使った例文を3つ見てみましょう。
難しそうな言葉ではありますが、意外と周りでも使われているかもしれません。
正しい使い方を知っていればビジネスシーンなどで活用できる言葉ですよ。
- 「踏襲」の例文1
- 「踏襲」の例文2
- 「踏襲」の例文3
「踏襲」の例文1
「今回は従来の方針を踏襲しません」
いかにもビジネスシーンで使われそうな文ですね。
この言葉からは、それまで同じ方針を繰り返してきたこと、今回はそれを変えようとしていることが分かります。
ビジネスでは変革が必要な場面も多いので、「踏襲しない」という言い方が使われることも出てきます。
「踏襲」の例文2
「今作は前作を踏襲した設定になっている」
映画や小説などについて語るときに使える言い回しです。
言いたいことは「前回の作品と同じ設定だ」ということですが、「踏襲した設定」と言うことで単に同じなのではなく、「前回の流れを引き継いでいる」という印象を与えることができます。
「踏襲」の例文3
「デザイン面は踏襲し、機能面は改良した」
言い換えると「デザイン面はそのままで、機能面は改良した」となります。
ですが、「そのまま」だと「何もしていない」と同じように聞こえてしまう恐れがありますが、「踏襲」という言葉を使うことによって、「引き継いだ」という意味が付加されます。
「踏襲」の由来や語源
「踏」は「雑踏」などに使われる漢字であり、「足踏みする」という意味を持ちます。
一方で「襲」は「襲撃」「襲来」という熟語のイメージから「襲う」という意味が浮かびがちですが、「襲名」「世襲」というように「あとを引き継ぐ」という意味も持っています。
そのため、語源のイメージとしては「先人の足跡をなぞっていく」ということになります。
「踏襲」と「継承」の違い
「継承」も似た意味の言葉ではありますが、引き継ぐ対象が全く別物で、こちらは「先人の身分や仕事、財産などを受け継ぐこと」という意味です。
「王位継承」という言葉を聞いたことがある人もいるでしょうが、「王位踏襲」とは言いません。
「踏襲」は「やり方や説」を、「継承」は「身分や仕事、財産」を、それぞれ引き継ぐという意味なので、使い分けに注意しましょう。
「踏襲」を使用した言葉の解釈
ここまでで「踏襲」という言葉についての理解が深まってきたのではないでしょうか。
最後に「踏襲」を使った言葉を3つ確認します。
慣用句としてよく使われるものもありますので、参考にしてください。
- 前例踏襲主義
- 伝統の踏襲
- Aの制度を踏襲したB
前例踏襲主義
「前例踏襲」だけで使うこともあります。
意味はそのままで「前例をそのまま引き継ぐ主義」を指しますが、この言い方をする場合はあまり良い意味で使われません。
「前例に問題があっても改良・改善を先送りする」「前例にないやり方はすべて退ける」といったニュアンスが含まれます。
伝統の踏襲
こちらは良い意味に聞こえるのではないでしょうか。
伝統は基本的に改良を加えるものではなく、そのまま受け継ぐものとされているため、これは「それまでのやり方をきちんと守っている」というポジティブな使い方の例となります。
Aの制度を踏襲したB
A・Bには人名・団体名などが入ります。
もちろん制度だけでなくルールや設定など様々なものが対象となります。
基本的な使い方はこのパターンになるでしょう。
Aが何かを作り上げ、それをBがそのまま引き継いでいるということですね。
この言葉だけではその善し悪しを読み取ることはできません。
「踏襲」について語源から使い方まで、例文を交えて確認しました。
繰り返し述べたように、「そのまま引き継ぐ」というのが大きなポイントです。
踏襲するのが良い場面・悪い場面がありますが、その時々で上手くこの言葉を使っていきましょう。