「禁じ得ない」の意味とは?類語、使い方や例文を紹介!
日本語で物事や状況を否定することがあります。
コミュニケーションでは、相手との意志疎通を図ることを目的としたり、状況を把握するために、相手の考えを聞いて確認することがあります。
しかし、そのプロセスにおいては、相手の主張を肯定するだけでなく、否定しなければならない場合もあるでしょう。
認めていただけでは、こちらの思惑に逢わないということもあるからです。
否定したり認めたり、協議を重ねながら、行うのです。
そのようなコミュニケーションの中で、「禁じ得ない」という表現があります。
普段の生活の中での会話表現としては、あまり使われることがないかもしれません。
では、どのような意味を持ち、どんな場面で使うことができるのでしょうか?
目次
- 「禁じ得ない」の意味とは?
- 「禁じ得ない」の類語や言い換え・似た言葉
- 「禁じ得ない」の言葉の使い方
- 「禁じ得ない」を使った例文
- 「禁じ得ない」の対義語
- 「禁じ得ない」を使った言葉
「禁じ得ない」の意味とは?
「禁じ得ない」という言葉は、かなり固いイメージがある言葉です。
ビジネスにおける会話の中や、オフィシャルな公式コメントを出す時に使われそうな言葉です。
「禁じ得ない」とは、「(ある感情を)抑えることができない」という意味を持っています。
「彼の不遇の人生には、同情の念を禁じ得ない」
というように相手の辛い不幸とも言える様を見て、同情してしまう気持ちを抑えることができない。
まさにその時の感情を否定することができないということになるでしょう。
このような表現を使う場面は、後の項で見ていくことにしますが、やはり日常生活の中で使うことはほとんどないと思います。
- 「禁じ得ない」の読み方
「禁じ得ない」の読み方
「禁じ得ない」は、「きんじえない」と読みます。
特別に難しく特殊な読み方をする必要はありません。
「禁じ得ない」の類語や言い換え・似た言葉
では、「禁じ得ない」を他の言葉で置き換えるなら、どのような言葉が挙げられるのかを見ていくことにします。
- 「抑制できない」
- 「止めることができない」
「抑制できない」
「禁じ得ない」の同義語・類義語として挙げられる言葉の1つに「抑制できない」という表現があります。
「抑制」とは、「暴れ出さないように押さえ止めること」という意味があります。
「抑制」の後に「できない」という否定形の言葉が付け足されるために、「抑えることができない」という意味になります。
「あいつの暴言を聞いて、どうしても怒りの念を抑制することができないのです」
このような使い方をすることができます。
「止めることができない」
「止めることができない」も「禁じ得ない」の類義語として置き換えることができます。
「止める」は、「動きや続きを止めること」という意味ですが、あまりに平易な言葉なので、詳しく説明するまでもないでしょう。
「止めることができない」は、「禁じ得ない」と比べても、日常的的なレベルの言葉なので、身近な場面でよく使われていることと思います。
「彼女の健気な姿勢に、溢れる涙を止めることができない」
「第一希望の大学に合格できて、嬉しい気持ちを止めることができない」
このような使い方は、よくあることですね。
「禁じ得ない」の言葉の使い方
「禁じ得ない」は、前述の通り、かなり固い言い方なので、日常的な場面ではあまり使われることがありません。
説明文や所感的なコメントなどで使われることが多いのですが、使用するシチュエーションとしては、怒りなどのネガティブな感情を持った時になります。
その一方で、ポジティブな感情が起こる時でも使うことができる言葉でもあります。
物事を肯定する時の使い方としては、
「やっと実現できたことに、感動の涙を禁じ得ません」
「自らの身体を張って、体現されたことに尊敬の念を禁じ得ません」
「先生の素晴らしいお考えに、共感を禁じ得ないのです」
このように使うことができます。
しかし、改めて見ると、やはり軽い会話の中では、似合わない表現だということが分かります。
「禁じ得ない」を使った例文
「禁じ得ない」を使った例文を見ていくことにします。
- 「禁じ得ない」の例文1
- 「禁じ得ない」の例文2
- 「禁じ得ない」の例文3
「禁じ得ない」の例文1
「いきなりのまとめ役に指名されたのですが、戸惑いを禁じ得ません」
どんなまとめ役に指名されたのかは分かりませんが、何の前触れもなく根回しもなく、突然の指名に戸惑ってしまうことは当然のことでしょう。
「先に教えておいてよ」
と文句の一言も言いたくなるのですが、多くの人の前では、決してそのようなことを言うことができないのかもしれません。
「禁じ得ない」の例文2
「あの厳格な教授でも、寝相に笑いを禁じ得ません」
大学でお世話になっている教授。
性格的にも学問を追求する姿勢もストイックなまでに厳しい姿勢を貫く人物。
しかし、意外にもちょっとした睡魔に教われて居眠りをしてしまった教授の寝顔は、あまりにも無邪気で可笑しくなってしまうでしょう。
普段とのギャップが大きいのでした。
「禁じ得ない」の例文3
「あまりにも、レベルの低く過ぎる発言には、君の頭の中を思うと、涙を禁じ得ません」
このようなことを言われてしまったなら、かなり頭に来るかもしれませんね。
このように思われていることを反省しなくてはならないのか、それとも上目線でしか人を評価することができない相手に人格的な問題があるのかは分かりませんが、何れにしても、このような言い方は失礼でしょう。
しかし、これは事実なのであれば、言われた方も自分のあり方を考え直す必要があるでしょう。
「禁じ得ない」の対義語
「禁じ得ない」の対義語としては、「抑制する」という言葉になるでしょう。
同義語で挙げた「抑制できない」の肯定形の表現です。
「暴れ出さないように押さえ止めること」という意味を持つことも前出しの通りです。
「今の悪い流れを抑制しなくてはなりません。
そうしないと事態はさらに悪化していきます」
このようなケースで使います。
「禁じ得ない」を使った言葉
また、「禁じ得ない」を使った言葉には、どのような表現があるでしょうか?
- 「怒りを禁じ得ない」
- 「憤りを禁じ得ない」
- 「嫌悪感を禁じ得ない」
「怒りを禁じ得ない」
「国の原子力政策に怒りを禁じ得ません」
あの東北大震災以降、大きく存在意義が疑問視されてきた原子力政策。
エネルギー政策を根本的に見直す必要があるにもが関わらず、すぐに再稼働を行おうとしていることに怒りの声が上がっているのです。
「憤りを禁じ得ない」
「今の政権の政策や国会での姿勢は、若い世代としては憤りを禁じ得ません」
このように、時の政権に対する不平不満は少なからずあるものです。
長らく政権が続いていると、歪みが出てきたり驕り高ぶりも出てきて、国民の実情と乖離した政策しか打ち出せなくなってしまいます。
そのような時に、大きな反対のうねりが生まれてくる可能性があります。
それが若い世代の人達の動きであれば、なおさら、真剣さが増してくることでしょう。
「嫌悪感を禁じ得ない」
「あのテレビ番組の一方的な報道には一言言いたいのですが、それにも増して、あなたそれにすぐに同調してしまうことにも嫌悪感を禁じ得ません」
人の軽い行動を見て嫌悪感を抱いてしまうことは、よくあるものです。
あまりにも醜い姿勢に「嫌悪感を禁じ得ない」という表現を使うこともあります。
「禁じ得ない」という表現は、日常的な生活の中では使う場面があっても、平易に用いることがありません。
かなり固い表現なので、例文で説明したような場面で使うことになります。
ただ、この言葉は否定的なケースだけではなく、肯定的なケースでも使うことができる言葉なので、色々な状況で当てはめることができる便利な表現です。
せっかくの言葉なので、できればポジティブな場合で使えるようにしたいものです。