「媒体」の意味とは?類語、使い方や例文を紹介!
今ではすくなくなりましたが、一昔前までは、結婚式には仲人さんがいるのが当たり前でした。
仲人とは、なかだちをする人、という意味です。
このように、なにかとなにかの橋渡しをすることを、なんというでしょう。
ここでは、「媒体」ということばについてご紹介します。
目次
- 「媒体」の意味とは?
- 「媒体」の類語や言い換え・似たことば
- 「媒体」の使い方
- 「媒体」を使った例文
- 「媒介」と「媒体」の違い
- 「媒」を使ったことば
「媒体」の意味とは?
「媒体」は、なかだちをするもの、という意味があります。
わかりやすい例では、ラジオ、テレビ、ネット、新聞などのメディアがそれにあたります。
企業が自社を宣伝したいとき、メディアを通じて広告を打ち、大衆に広める、というようなときに、その広告会社や手段が「媒体」となっているわけです。
仲人のように、人がなかだちをすることもあれば、人以外がなかだちをすることもありますね。
- 「媒体」の読み方
「媒体」の読み方
「ばいたい」と読みます。
「媒」はこれ一字で「なかだち」と読ませることもあり、意味もなかだち、つまり関係をとりもつ、橋渡しをすることを表します。
溶媒、触媒など、ことばとしては聞いたことがある、という方もおられるのではないでしょうか。
「体」はほかに、「テイ」「からだ」の読みがあります。
体のことであり、身につける、かたち、おおもと、というような意味がありますが、ここではものという意味で使われています。
「媒体」と熟語になり、なかだちをするもの、という意味が浮かびあがってきますね。
「媒体」の類語や言い換え・似たことば
「媒体」がまだよくわからない、という方は、類語や言い換えのきく表現、似たことばを同時に見ておくことをおすすめします。
自分にとってわかりやすいことばに置き換えることができると、同時にいろんなことばが腑に落ちていく、ということがあります。
- 「メディア」【めでぃあ】
- 「伝達手段」【でんたつしゅだん】
- 「仲介」【ちゅうかい】
「メディア」【めでぃあ】
日本語では媒体や手段と訳すことができます。
前述しましたが、テレビ、新聞、広告などのメディアを「媒体」ということができます。
情報などを伝えたい人が、その手段として用いるものをメディアと呼びます。
そしてそれを「媒体」と言い換えることができます。
「我が社の製品を、どのようなメディアで発信していくことが利益に繋がるか、一考の余地がある」
「伝達手段」【でんたつしゅだん】
日本語で類語にするのであれば、すこしかたくなりますが、「伝達手段」ということができるでしょう。
こちらもメディアと同様、なにか伝達したい、伝えたいことを、伝えるための手段のことです。
「糸電話は、子どもが伝達手段を知る第一歩になりうる」
「仲介」【ちゅうかい】
不動産などで、「仲介」と「媒介」ということばが出てくることがありますね。
この二つ、厳密には意味が異なり、大家さんから直接物件を任されているものと、あいだに業者が入っているものとがあります。
後者を「仲介」といいます。
AとBのあいだをとりもつ、という意味ではかなり似通ったことばといえますね。
「彼が仲介してくれたことで、取引は円満に進んだ」
「媒体」の使い方
「〇〇の媒体となる」「〇〇が媒体となって」のような使い方のほか、「外部記憶媒体」や「情報媒体」などのかたちで使われています。
もっともわかりやすいかたちは、「AはBの媒体である」というもので、この構文に当てはめると、なにが、なにの媒体に当たるのか、非常にわかりやすくなり、「媒体」の意味も理解できるでしょう。
一つ例を挙げるとすると、「蚊はマラリアの媒体である」のようなもので、蚊(A)が、マラリア(B)を運んでくる、伝える、橋渡しする役目を担っている、ということになります。
「媒体」を使った例文
では具体的な例文をもうすこし見ておきましょう。
ことばはぶつ切りに覚えるよりも、文脈のなかで覚えたほうが身につくものです。
単語として知っていても、文章や会話のなかで使えないのではもったいないですね。
ぜひ例文を見ていくなかで「媒体」を理解し、語彙の一つとして使えるようにしていってください。
- 「媒体」の例文1
- 「媒体」の例文2
- 「媒体」の例文3
「媒体」の例文1
「SNSを媒体として情報発信する方法は今や必須事項といえるだろう」
SNS(A)は、情報(B)の「媒体」である、ということですね。
情報を発信したい個人や団体、企業がいて、それを、情報を欲している個人や団体、企業に向けて発信する手段=SNSのことを、ここでは媒体といっています。
「媒体」の例文2
「広告会社にとられる媒体手数料は決して安いものではないが、ケチるところでもない」
ここでは、広告会社が出している広告に対する手数料についての例文になっています。
自社で告知宣伝をすべてまかなえるのであれば必要ありませんが、媒体として別の業者をあいだにはさむことで、手数料が発生する、という仕組みですね。
逆に広告会社は、この手数料が利益になるのですね。
「媒体」の例文3
「電子媒体の書籍や雑誌、漫画が増えたせいで、紙媒体のものを読む人がすくなるなることが、出版業界では懸念されている」
教科書ですら電子書籍になろうという時代です。
情報を伝える手段として、紙を媒体にしたものから、紙以外を媒体にしたものが増えていますね。
新聞でなくネットニュースを見ることが増えたり、手紙でなくメールをすることが増えたり、媒体のかたちも変化してきているといえるでしょう。
「媒介」と「媒体」の違い
よく似たことばに、「媒介(ばいかい)」というものがありますが、この二つはどう違うのか、わかりますか。
「媒介」とは、なかだちをする働き、をいいます。
「媒体」は、なかだちをするもの、をいいます。
「媒介する」とはいいますが、「媒体」はするものではありません。
上述の例ですと、「蚊はマラリアを媒介する」「蚊はマラリアの媒体だ」となります。
「媒」を使ったことば
なかだち、という意味をもつ「媒」ですが、ほかにどのようなことばに使われているのか、いくつか挙げておきます。
「媒」がどんな場面で使われることばなのかわかることで、「媒体」の輪郭が見えてくる、ということもあるでしょう。
- 「媒材」
- 「光触媒」
- 「水媒花」
「媒材」
「ばいざい」と読みます。
美術の用語で、展色剤や溶剤のことをいいます。
もっともわかりやすいものですと、絵の具をとくための水も、「媒材」にあたります。
油絵の具では、専用の油でとかしますので、その油が「媒材」ということになります。
「光触媒」
「ひかりしょくばい」と読み、太陽光など、光を媒体に変化し、なんらかの働きをするもののことをいいます。
植物などがいい例で、葉緑素が「媒体」となり、太陽光によって、二酸化炭素と水が、酸素とデンプンになります。
「光合成」という名前で知られていますが、これも「光触媒」の一つといえます。
「水媒花」
「すいばいか」と読みます。
水を媒体として受粉するような植物のことをいいます。
おもに水生植物に見られ、水中で開花し、花粉が水のなかに広がることで、周りの雌花の柱頭に受粉するような花などがあります。
クロモ、セキショウモ、キンギョモなどが「水媒花」に当たります。
植物の受粉のしかたにはほかに、「風媒」「虫媒」「鳥媒」などがあり、どれも、なにかになかだちをしてもらうことで受粉する、という方法になります。
「媒体」とは、なかだちをするもの、という意味でしたね、
植物が風や虫、鳥などを「媒体」とするように、人間もさまざまな人の縁で出会うものです。
同性異性に関わらず、よいめぐりあいができるよう、さまざまな人やものを「媒体」として、素敵な日々を過ごしたいものですね。