「系譜を継ぐ」の意味とは?類語、使い方や例文を紹介!
核家族化が進み、家族の繋がりが希薄になっていると叫ばれる昨今ですが、実際に自分の家の家系図を見たことがない、という方も多いのではないでしょうか。
一代で大成された方でも、ご先祖様がいてこそ、今の自分があるということは忘れてはなりません。
ここでは、「系譜を継ぐ」ということばについてご紹介します。
目次
- 「系譜を継ぐ」の意味とは?
- 「系譜を継ぐ」の類語や言い換え・似たことば
- 「系譜を継ぐ」の使い方
- 「系譜を継ぐ」を使った例文
- 「系譜を継ぐ」を分解して解釈
「系譜を継ぐ」の意味とは?
「系譜を継ぐ」とは、先祖から子孫へと一族が繋がっていくことや、師弟関係において、その一派が途絶えないよう、師匠から弟子へと継がれていくことを意味することばです。
芸事の世界ではとくに重きを置かれていますが、そのほかのどんな分野でもやはり、同様に人から人へと伝わり、そのなかで時代時代にあったものと、伝統と、どちらもをよい状態で保存していくことは大事なのではないでしょうか。
- 「系譜を継ぐ」の読み方
「系譜を継ぐ」の読み方
「けいふ(を)つ(ぐ)」と読みます。
「系」はほかに、「つな-ぐ」「すじ」という読み方があります。
「譜」はほかに、「しる-す」「つづ-く」という読み方があります。
また、「継」はほかに、「ケイ」「まま」という読み方があります。
「系譜を継ぐ」の類語や言い換え・似たことば
まだ「系譜を継ぐ」がよくわからない、という方も多いでしょう。
それでは、「系譜を継ぐ」の類語表現や言い換えのきくことば、似たことばを見ていきましょう。
よく似た表現を知ることで、理解が深まることがありますよ。
また、ほかにどのような表現があるかも考えてみてください。
- 「受け継ぐ」【うけつぐ】
- 「後を継ぐ」【あとをつぐ】
- 「継承する」【けいしょうする】
「受け継ぐ」【うけつぐ】
前の人が残したものを引き継ぐことをいいます。
残すものは、仕事以外にも、性質や志などが挙げられます。
さらによく似たことばに「引き継ぐ」がありますが、「引き継ぐ」は仕事上でのことを、「受け継ぐ」は伝統や芸能などをいうことが多いです。
「師匠は私に刀鍛冶の伝統技法を受け継がせようとしており、それを望んでの入門ではあったから、尻込みしてはいけないと自分を叱咤した」
「後を継ぐ」【あとをつぐ】
「後継」という熟語もありますが、どちらも先人に代わり、地位・身分・役職などを引き継ぐことをいいます。
家業を持っている親が、子どもにその店や生業を譲ったり、だれかの志や役職を代わりにつとめることですね。
「長男坊として生まれていながらその気はなかったが、父の急病により、父の後を継ぐことを意識するようになった」
「継承する」【けいしょうする】
だれかの持っている財産や仕事、身分、役職を引き継ぐことのほか、世代を超えて慣習や遺産が伝えられていくことをも意味することばです。
伝統の継承、王位の継承など、重々しい印象を与えることもあります。
「平安時代から同じ手法で描かれているといわれるこの流派の画法はかならず継承されつづけなければならない」
「系譜を継ぐ」の使い方
「〇〇の系譜を継ぐ」というかたちで使われることが多くあります。
〇〇には、人物名が入ることもあれば、人以外の事物が入ることもよくあるでしょう。
「系譜」ということからも、たとえそれが個人名であっても、大きな流れのようなものがあり、その流れをつくった祖となる人物や、その流れを今まで維持してきた直近の人物である可能性が高くなります。
「系譜を継ぐ」を使った例文
では具体的に、「系譜を継ぐ」がどのように使われることばなのか、例文のなかで見ていきましょう。
「〇〇の系譜を継ぐ」の〇〇にはどのようなものが入っているのかに着目してみてください。
自分だったらどのようなものの「系譜を継ぐ」可能性があるか、考えてみるのもいいでしょう。
ことばは知っているだけでなく、使うことで身につきますので、自分の身の回りにある「系譜を継ぐ」ようなできごと、ものごとを思い浮かべてみてください。
- 「系譜を継ぐ」の例文1
- 「系譜を継ぐ」の例文2
- 「系譜を継ぐ」の例文3
「系譜を継ぐ」の例文1
「王家に男子が生まれなかったため、長女であるルナのところに婿入りをさせた。彼は自分が王家の系譜を継ぐ重要人物とみなされていることに、身の引き締まる思いであった」
ここでは〇〇に、王家が入りますが、一般家庭においても「系譜を継ぐ」ということばは使っても構いません。
重みのあることばにはなりますので、飲みの席などよりも、重要なセレモニーなどのときに使うことばとはいえるでしょう。
「系譜を継ぐ」の例文2
「今の時代、自然派の系譜を継ぐ作家は表れたとしても、あまり迎合されないのかもしれない。それでも彼女は自分を救ってくれた作家の遺志を継ぎたいと思う」
ここでは〇〇に、自然派が入ります。
文学史の歴史のなかで、時代に即してさまざまな系統がありましたが、そのうちの一つになります。
文学のように、先人の教えを作品から汲み取り、つぎへとつないでいくことのできるものと、口承などでしか伝わっておらず、最後の一人が途絶えてしまうとそれで系統が一つ消えてしまうものとがあります。
「系譜を継ぐ」の例文3
「彼らの楽曲は現代ポップスのかたちを成してはいるものの、明らかにアイヌの系譜を継いだものだと、聞く人が聞けばすぐにわかるものになっている」
ここでは〇〇に、アイヌが入ります。
民族音楽にも、それぞれの民族の流れがあり、それは一つの系譜として、継がれていくものといえるでしょう。
これらの例文からも、〇〇に入るものは、人間と、人間のつくりあげてきた文化や慣習によるものである、ということがわかります。
「系譜を継ぐ」を分解して解釈
「系譜を継ぐ」は、「系譜」と「継ぐ」という二つのことばから成っています。
そういうことばの場合、それぞれの要素に分解し、一つずつ解釈していくことで、さらに理解が深まるということがよくあります。
ここでも、「系譜」と「継ぐ」についてそれぞれご説明していますので、参考にしてみてください。
- 「系譜」
- 「継ぐ」
「系譜」
「系譜」とは、系図のことをいいます。
つまり、血縁関係を簡潔に図に示したもののことや、芸術や学問の分野でとくに、師弟関係など影響を受けてきたつながりのこと、似たような性質・要素を受け継いでいる物事のつながりをいいます。
例文として、家系のことをいう系譜と、学問や芸術の上での系譜とを一つずつ挙げておきます。
「どうも我が家の系譜をたどると、足利一族に使えていた武士の家系にあたるようだ」
「日本美術の系譜を知ることで、これまで絵画に求められてきたものがわかる。
そのなかで、これからも求められつづけるものを描くことは、画家の活路であるといえるだろう」
「継ぐ」
「継ぐ」とは、ばらばらになっているものを結んだり足したりして、ひとつづきのものにすることや、後を受けてつづけること、相続することを意味することばです。
伝統や家系などが途絶えてしまわないためにも、「継ぐ」という概念はとても重視されてきました。
子どもが生まれるということ、それ自体が、血縁が途絶えないよう、「継いで」いくことにあたります。
「子どものころは実家がタバコ屋なのをずいぶんからかわれたが、継ぐような家業があることを今は誇りに思っている」
「系譜を継ぐ」とは、家系を途絶えさせずつないでいくことだけでなく、文化や慣習、学問や芸術に対してもいうことばだとわかりました。
人間は周囲にあるさまざまなものと、生かし生かされするなかで、家族や文化をつないできたのですね。
残っていくものがあれば、淘汰されていくものもありますが、大切に思うものをきちんと大切にしていくことが、なにより大事なことなのでしょう。