「殊勝」の意味とは?類語、使い方や例文を紹介!
人には、色々なタイプの人がいます。
いつも偉そうな態度を取って、上目線で接してくるタイプの人。
人と話す時だけでなく、どんな時でも腰の低い姿勢で接してくる人。
実に様々なキャラクターの人が存在しています。
あまりにも低姿勢でいる人を見ていると、とてもストレスが貯まっているのではないかと思えるほどです。
そんな人の光景を見ることは人間観察の勉強になりそうなのですが、人の姿勢を見た時に出てくる言葉が「殊勝な心がけだ」ではないでしょうか?
この言葉の中には、「勝つ」という漢字が入っているので、「勝利」や「積極的」、「高武者」的な意味を持っている言葉でははないかと思われがちです。
しかし、この言葉には、全く違った意味があったのです。
目次
- 「殊勝」の意味とは?
- 「殊勝」の類語や言い換え・似た言葉
- 「殊勝」の言葉の使い方
- 「殊勝」を使った例文
- 「殊勝」を使ったその他の言葉
- 「殊勝」の語源
- 「殊勝」と「神妙」の違い
「殊勝」の意味とは?
「殊勝」という言葉には一体どのような意味があるのでしょうか?
この言葉には、いくつかの意味が含まれているのですが、最も理解されている意味としては、「健気(けなげ)なこと」や「感心なこと」や、「心がけがしっかりしていること」というものが挙げられます。
その他にも、「最もらしい様子で、神妙にしていることやさま」、「特に優れているのこと」、「心を打たれること」、「神々しいさま」、「特別に優れていること」、「とても立派なこと」、「厳かであること」と幅広い意味があります。
その中でも「最もらしく取ってつけたような様子」も、「殊勝」の意味で使われることが多い用法でしょう。
- 「殊勝」の読み方
「殊勝」の読み方
「殊勝」は、「しゅしょう」と読みます。
「殊勝」の類語や言い換え・似た言葉
では、色々な意味を持つ「殊勝」の類語としては、どのような言葉や表現があるのでしょうか?
- 「健気」
- 「優秀」
「健気」
「健気」とは、「心掛けが良くて、しっかりとしているさま」のことを言っています。
「あの子は幼いながらにも、健気に母親を助けて生活している」
よく使われる表現です。
小さい年で、母親の手助けをしている小さな女の子の姿があまりにも痛々しいのです。
このような菅田を見ていると、思わず手を差し伸べたくなることでしょう。
「優秀」
「優秀」も「殊勝」に近い意味をもっとも言葉として、挙げることができます。
意味は、「他のものより一段と優っていること」や「そのさま」を表しています。
この言葉は、普段の会話の中でも、よく使われる言葉になので、誰でも使うシーンは分かっていることと思います。
「天晴(あっぱれ)」「天晴」は、「賞賛すべきさま」、「素晴らしく見事なこと」という意味があります。
「彼の振る舞いは、とても天晴だ」
この時の意味としては、「彼の行動はしっかりしている」「立派な心がけだ」というような意味合いがあります。
時代劇で、切腹をした人に対して、敵方が「天晴だ!」というセリフを言うシーンがあります。
「天晴」の典型的な使い方かもしれません。
「殊勝」の言葉の使い方
「殊勝」は、「優れている様子」や「健気な様子」を表す言葉として用いられることが多い言葉です。
使われている漢字のイメージからは、「強い」や「勝負に勝つ」といった意味に捉えられですが、この言葉の意味を理解すると、とても謙虚で優れている様子が伺えます。
もしかすると、昔のおしとやかで、且つ芯の通った日本人らしさも、持ち合わせている言葉なので、控え目な姿勢を持っている人に対しても使われることが多いのではないかと思うのです。
「殊勝」を使った例文
では、この言葉を使った例文を見ていくことにしましょう。
- 「殊勝」の例文1
- 「殊勝」の例文2
- 「殊勝」の例文3
「殊勝」の例文1
「素直で殊勝げな表情を浮かべながらも、あの子はしらじらしく彼を欺いているのだ」
一見、控え目な印象を持つ女性ですが、内面はかなりしたたかなのです。
その殊勝な振る舞いで男性を欺く危ない女性なのです。
「殊勝」の例文2
「我が娘がそんな殊勝な態度をする時は、何か必ずおねだりをする時だ」
いつもは、めったに父親に声をかけることさえしない娘。
しかし、時々、謙虚になることがあるのですが、そのような時に限って、おねだりをしたり、わがままな相談を持ちかけてくるのです。
言わば、下心を持っている時の振る舞いですね。
年頃の娘さんを持つ父親は、このようなことを経験したことがあるのではないでしょうか?
「殊勝」の例文3
「今回の起きたトラブルの件で、社長に呼び出された部長は、とても殊勝だった」
いつもは自信たっぷりの部長も大きな失敗をしたことで、社長の逆鱗に触れることに。
その時の姿勢はとても謙虚で、大きな怒りを謙虚に受けているのです。
「殊勝」を使ったその他の言葉
他にも、「殊勝」を使う言葉には、色々なものがあります。
- 「殊勝な心がけ」
- 「殊勝な態度」
「殊勝な心がけ」
「常に謙虚でかしこまった姿勢で臨む」という心境で見て取れます。
「お前の姿勢はとても殊勝な心がけだ」
何をするにしても、決してでしゃばらずに、謙虚な気持ちで相手に教えをこうひたむきさがあります。
「殊勝な態度」
この言葉にも、「心がけ」に近い意味があります。
「その殊勝な態度に免じて今回は大目に見よう」
例文でもあったように、社長の逆鱗に触れた部長も、「殊勝な態度」のおかげで何とか首になることを避けることができるかもしれません。
「殊勝」の語源
「殊勝」に使われている「殊」とは、なんと「殺す」や「断つ」、「死ぬ」という普通であれば忌み嫌われそうな意味を持っているのです。
字の起源は、「死体」と「株」が組み合わさった文字で、「真っ二つに切り殺す」という何とも物騒な漢字なのですので、驚きを隠せません。
しかし、その意味から転じて「異なるものになる」といった意味に転じたのです。
このことから「異なる」→「普通と異なる」→「特別に優れている」という意味に進化していったと考えられています。
一方の「勝」は、「勝つ」、「勝る(まさる)」、「耐える」という意味があります。
「大きな器に物を入れる」と「両手で支える農具」の字の組み合わせとなり、「大きな器に入れた宝物を両手で支えて、農具を奉る」という意味がありますが、それから「耐える」という意味になってきました。
その結果、「神意にかなう」という解釈から「勝つ」→「利を得る」と変化していったと考えられているのです。
この2つの漢字が組み合わさり「人とは異なり優れている」や「他よりも勝っている」意味を持つ言葉となったと考えられています。
「殊勝」は、仏経の言葉で「行いが優れている」という意味でも使われていましたが、仏教の観点からすると「特に優れている」という意味には、「謙虚な姿勢や心がけ」をベースに現代の「謙虚な姿勢や振る舞いが、健気で感心なこと」と解釈されるようになってきたわけです。
「殊勝」と「神妙」の違い
「殊勝」に近い言葉として、「神妙」があります。
「神妙」には、「人間の力では到底できないほどに心がけや行いが優れること」や「感心なこと」、「奇特」という意味があります。
よく使われるパターンとしては、「神妙な心がけ」という表現があります。
他に「人間の知力では到底計り知れないくらいに不思議なこと」という意味もあります。
「神妙不思議な力を持つ人」などの表現になりますが、よく使われるのは、「普段なら、ニコニコしている彼女も、今回ばかりは、神妙な顔付になって話を始めたのです」
このような形で使われることでしょう。
「神妙」も「殊勝」もかなり近い意味があるのですが、「神妙」には人の意識だけでは届かない心理状態を指しているようにも思えます。
常に謙虚な姿勢をしている人は、多くの人に感動さえ与えることが少なくもありません。
ましてや、大きな失敗をした時であれば、「殊勝な姿勢」で臨むことで、何とか窮地を脱することもできるかもしれません。
ただ、大事なことは常日頃からこのような姿勢を保ち続けることが大切だと思うのです。