「馳せ参じる」の意味とは?類語や使い方、例文を紹介!
古くに生まれてきた言葉を現代でも、日常会話や仕事の時でも使っている言葉はたくさんあります。
そんな古い言葉と言えば、「馳せ参じる」という表現するものがあります。
この「馳せ参じる」という言葉を聞いたことはあるでしょうか?
ビジネスシーンで使われることは、ほとんどない言葉なのですが、どんなにか意味があるのか興味深い言葉でもあります。
目次
- 「馳せ参じる」の意味とは?
- 「馳せ参じる」の似た言葉や類語・言い換え
- 「馳せ参じる」の使い方
- 「馳せ参じる」を使った例文
- 「馳せ参じる」を分解して解釈
- 「馳せ参じる」はビジネスで使っても大丈夫?
「馳せ参じる」の意味とは?
「馳せ参じる」という言葉は、戦国時代などで、よく使われていた言葉です。
危機的な状況に
陥った主君の元に、いち早く駆けつける時に、「馳せ参じる」という表現で言っていた言葉です。
このような意味を知ると、現代のサラリーマンが戦場で戦う武士や兵士のような存在なことから、上司や取引先の元に「馳せ参じる」ような気持ちで、仕事をしている人もいるのではないでしょうか?
「馳せ参じる」という言葉は、移動手段として、馬が使われていた時代まで言葉の発生が、遡っていく古い言葉です。
すでに、戦国時代でも用いられていた表現なのですが、家臣が主君などの元に、有無を言わず、大急ぎでかけつける場合に使われていました。
- 「馳せ参じる」の読み方
「馳せ参じる」の読み方
「誘っての馳せ参じる」は、「はせさんじる」という読み方になります。
「馳せ参じる」の似た言葉や類語・言い換え
「その場に急いで向かう」という意味がある「馳せ参じる」に近い意味を持つ言葉としては、どのようなものがあるでしょうか?
「馳せ参じる」は、現代社会で利用されることがかなり少ないので、現代用語として、使える同義語を見ていくことにしましょう。
- 「急行する」
- 「駆けつける」
「急行する」
「急行する」は、「馳せ参じる」に最も当てはまる現代における言葉でしょう。
「急行する」とは、「ある場所に速やかに急いで行く」や「すぐに向かう」という意味になります。
「今から、直ちに事故現場に急行します」
「さっき、怪我をした人がいるとの連絡が入った。すぐに急行してくれ」
このように緊急時における連絡時に出てくる言葉ですね。
刑事ドラマのワンシーンに出てくる言葉ですが、災害時でも、対策本部から隊員に指示をする時にも、実際に使われる言葉です。
電車でも、「急行電車」があるように、速やかに移動する意味も含まれています。
「駆けつける」
「駆けつける」も「馳せ参じる」に通じる言葉です。
「急行する」と同じくらいの頻度で用いられている言葉でしょう。
意味は、「走ったり乗り物を使ったりして、大急ぎで目的の場所へ行く」という意味を持っています。
「今、そちらは大変なことになっているみたいなので、すぐに駆けつけるよ」
「私1人ではどうしようもできないから、すぐに駆けつけてくれないかな?」
このような会話は、ごく普通の身近な生活シーンやビジネス上のやり取りでも、出てくることがあると思います。
「駆けつける」というと、「駆けつけ三杯」という言葉もありますね。
この時の意味は、「酒の席に遅れて来た人に、罰ルールとして、一気に続けて三杯のお酒を飲ませること」ですが、この「駆けつけ」も「駆けつける」から来ています。
但し、こんな飲み方は危ないので、絶対にやらないことです。
「馳せ参じる」の使い方
「馳せ参じる」の意味が理解できたことでしょうが、さすがに現代のビジネスシーンで使うサラリーマンはいないでしょう。
「武士が馬で大急ぎで駆けつける」という意味を持っている「馳せ参じる」の典型的な使われ方として挙げられるケースは、「戦況が芳しくなく、家臣を引き連れて主君の元へ馳せ参じた次第です」
や「危機的な状況と知り、直ちに馳せ参じました」
というような使います。
もし、「馳せ参じる」を仕事で使うとしたなら、中々イメージすることが難しいです。
「馳せ参じる」を使った例文
現代の生活の中でも会話や、仕事に関することでも、「馳せ参じる」を使うことがありません。
それだけに例文としても、古い言葉の使われ方を見ることになってきます。
- 「馳せ参じる」の例文1
- 「馳せ参じる」の例文2
- 「馳せ参じる」の例文3
「馳せ参じる」の例文1
「ここに葉山家の嫡男が、こちらに馳せ参じたことは、うれしい限りである」
この言葉には、家臣である葉山家という家臣の嫡男が、危機に瀕している主君のために、自らの意思で、駆けつけたのでしょう。
そのことが、とてもうれしくなった主君なのです。
「馳せ参じる」の例文2
「関東の諸将が兵を率いて馳せ参じた今、攻める好機と考えられます」
これは敵将を攻めるタイミングを主君に教えることや、そのために自軍を引き連れて、主(あるじ)の元に訪れたことを言っています。
「馳せ参じる」の例文3
「合戦をしたいばかりに各地から馳はせ参さんじた牢人たちは、それぞれ言葉には出さないが思いは同じであった」
このシーンは、大阪の陣となる豊臣と徳川の戦いで、大坂城に集まる武士達の光景を連想させてしまいます。
「馳せ参じる」を分解して解釈
では、「馳せ参じる」を「馳せ」と「参じる」に分けて、それぞれの意味を見ていくことにします。
- 「馳せ」
- 「参じる」
「馳せ」
「馳せ」という言葉の、もともとの意味には、「走ること」の意味を表しています。
地位の高い人自体が走る状態や、家臣が主君の元へ駆けつける時に使われていた言葉にです。
「馳せる」は、「走る」ことを、昔の言葉で丁寧に表現している言葉なので、現代の言葉で言い換えるなら、「急いで行く」という意味になってきます。
「参じる」
「参じる」という言葉を現代の言葉で訳すると、「現れる」と同じ意味になります。
この言葉は、かしこまった場に行って「現れる」時の謙譲語になります。
主君に向かって使われる言葉となるので、「馳せ参じる」という言葉は、相手を敬った表現の言葉なのです。
現代の会話シーンでは使うことがない言葉になりますが、仕事上で使う機会があったなら、謙譲語としての表現だということを知っておくことです。
「馳せ参じる」はビジネスで使っても大丈夫?
「馳せ参じる」という言葉が、現代ではほとんど使われない言葉であることは前述の通りです。
ビジネス用語としても使える場面が全くと言ってもいいくらいに必要のない言葉でしょう。
昔ながらの昭和の香りを残している古き良き文化をモットーにしているような会社でも、「馳せる」、「参上する」、「馳せ参じる」と言った表現をすることはありません。
もし、プライベートな環境で、内々の仲間や友人の間で使う場合は、仲の良い仲間で使わないと怪しい雰囲気で伝わってしまい、あらぬ誤解を受けてしまいます。
今の時代で「馳せ参じる」という言葉を使っても、「訳が分からない。こいつ何を言おうとしているんだ?」というふうに変な人に思われてしまうかもしれません。
「馳せ参じる」という言葉は、ビジネスで使われることなく、私生活でも、よほどフランクな関係の人との会話で、少し冗談めいた時に、たまに使われるかどうかではないでしょうか?
古い言葉の意味を知ると、とても面白いなと思ってしまうのが、「馳せ参じる」かもしれません。
「主君の元に駆けつける」という行動は、今の時代でもあるからです。
今では、ビジネスの世界では、個々の独自性を大いに引き伸ばして、活躍できる時代です。
ともすれば、そのような考え方は、個人主義とも捉えられかねないこともあります。
しかし、昔のように会社への忠誠心という考え方を見つめ直す機会になるのではないかと思うのです。
良い慣習は残し、捨てるべき文化は無くして行く。
このような考え方の下で、社会人としてのあり方を考えて見ることもいいのではないでしょうか?