「感謝の念」の意味とは?漢字、類語や使い方、例文を紹介!
感謝の念という言葉をご存知でしょうか。
特に、ビジネスで対クライアントに使うシーンが多い言葉です。
よく聞く言葉ではありますが、誤用により失礼な意味になったり、恥ずかしい思いをすることもあります。
今回は感謝の念という言葉の意味と使い方、定型文などをご紹介します。
目次
- 「感謝の念」の意味とは?
- 「感謝の念」の似た言葉や類語・言い換え
- 「感謝の念」の使い方
- 「感謝の念」を使った例文
- 「感謝の念」を分解して解釈
- 「感謝の念」の正規表現
「感謝の念」の意味とは?
「感謝の念」とは、ありがたく思う心、感謝したいと思う気持ちのことを言います。
素直に言えば「とても感謝している」ということではありますが、それを格式ばった言い方で使いたいときに使用すると良い言葉です。
そのため、プライベートではなく、ビジネスや式典、冠婚葬祭などで使うと良いでしょう。
- 「感謝の念」の読み方
「感謝の念」の読み方
「感謝の念」とは、「かんしゃのねん」と読みます。
感謝は普段から使う言葉ですし、念という字も通常は「ねん」と読むので間違うことはあまり無いと思います。
なお普段使いはしませんが、「念」はほかに「おもう」「むね」と読む読み方も存在します。
「感謝の念」の似た言葉や類語・言い換え
感謝の念とは、ビジネスなどの形式ばった場、いわば固いシーンでよく使います。
この場合にふさわしく、かつ「感謝の念」に近い言葉を2つ挙げます。
- 「謝恩」【しゃおん】
- 「礼賛」【らいさん】
「謝恩」【しゃおん】
感謝という言葉にフォーカスして似た言葉と言えるのが「謝恩」です。
「しゃおん」と読みます。
謝恩とは受けた恩に対し、感謝の気持ちを表すことです。
あるいはその感謝の気持ちそのものを言う場合もあります。
最近はあまりなくなりましたが、過去には謝恩会という集まりがたびたびありました。
これは、自分たちが学んだ学校の先生を囲んだ集まりのことで、先生を含む同窓会のようなものです。
教えてくれた先生に対しての感謝の気持ちの会ということで、謝恩会という呼び名だったのです。
「礼賛」【らいさん】
感謝の気持ちを捧げるという、「感謝の念」トータルの意味と近いのが「礼賛」です。
「らいさん」と読み、「れいさん」と読むのは誤りなので注意しましょう。
礼賛とは崇め、たたえることを示します。
対象は特に人に対してで、どちらかと言えば目上の人に使う言葉です。
そもそも礼賛とは仏教用語であり、仏教の開祖である仏、仏の作った法、それを守り広める僧(仏法僧)をたたえることを言いましたが、現在では立派な人を崇める時にも使われるようになりました。
「感謝の念」の使い方
感謝の念とは、ありがとうという気持ちを文学表現として表した言葉です。
そのため、深みのある文章にはなりますが相手にストレートに気持ちを伝えることもまた少し難しい言葉です。
しかし、その複雑さを利用して、「ありがとう」と真逆の意味をスムーズに伝えることもできます。
「感謝の念」を使った例文
平易ではない言葉を使うのは、ビジネスシーンなどかしこまった場に限定されます。
そのようなとき、普段だったらとても感謝のできないシーンでもストレートに発言することはできません。
定型文として「感謝の念」の使い方を覚え、自らをへりくだり相手を崇める言い方を覚えるとスマートなやりとりができます。
使いどころを含めた3つの例を挙げます。
- 「感謝の念」の例文1
- 「感謝の念」の例文2
- 「感謝の念」の例文3
「感謝の念」の例文1
「きめ細やかなお心遣いに感謝の念に堪えません」
こまごまとした丁寧な気配りをしてもらえば、誰しも嬉しいものです。
それを固めの文章で表すと「きめ細やかなお心遣いに感謝の念に堪えません」となります。
固い文章ですから、友人への連絡には適していません。
例えば、義理の両親など、目上の方へ感謝の気持ちを伝えたいときなどに使えば喜ばれるでしょう。
あまり堅苦しすぎると慇懃無礼で嫌味のようになってしまうためメールなどの普段のコミュニケーションでは使用を控え、お礼の手紙など、少し改まったツールで使うのが効果的です。
少し世話を焼かれ過ぎと感じ、おせっかいだと思う時にもお礼として使える言葉です。
「感謝の念」の例文2
「ご尽力いただき、感謝の気持ちがやみません」
助けてもらったり、参加してもらったりして手を尽くしてもらったことに対して感謝の気持ちを述べる言葉が「ご尽力いただき、感謝の気持ちがやみません」という定型文です。
最大限の感謝の気持ちを表しているので、失礼にあたることがありません。
そしてこの言葉は、今後取引をしない業者などにも使うことができます。
感謝の気持ちがやまないということは、ありがとうと言う気持ちが継続することを意味し、新たな他の依頼をすることは無いニュアンスを含んでいます。
もちろん、「ご尽力いただき、感謝の気持ちがやみません」という定型文だけで契約を打ち切ることにはなりませんが、この言葉の後に契約の終了や打ち切りを伝えれば、相手に失礼なく意思を理解してもらえるでしょう。
「感謝の念」の例文3
「激励のお言葉を賜り、感謝の念を抱いております」
励ましてもらったり、叱咤してもらうことは社会人になって日が浅いうちは大変勉強になることです。
それに対して感謝を述べるという形の定型文です。
しかし、使うシーンとしてはビジネスの場で「先方から怒り、クレームなどをもらった」ときなどに、返信のなかの一文として使うことができます。
素直な表現をしてしまえば「怒られ、クレームを付けられた」という状態ですが、今後も付き合いをするクライアントに向けてそのような平易な表現をすることはできません。
あくまでこちらがへりくだり、相手を持ち上げる形で言葉を選ぶことを意識して「激励されたことに感謝の念を抱く」という表現を使うと効果的です。
「感謝の念」を分解して解釈
感謝の念という言葉をひとつひとつの単語に切り分けて解説します。
- 「感謝」
- 「念」
「感謝」
感謝とは、ありありがたく思うこと。
また、そのお礼を言うことを言います。
「念」
念とは、想いや気持ちそのものを言います。
他の意味としては気を付けることであったり、ずっと抱いていた望みのことを指す場合もあります。
「感謝の念」の正規表現
感謝の念を使う時は、かしこまった場であることが前提です。
そのため、誤用には細心の注意を払いましょう。
よく使われる表現を3つ挙げます。
- 「感謝の念を抱く」
- 「感謝の念を禁じ得ない」
- 「感謝の念に堪えない」
「感謝の念を抱く」
ある考えを持つ、あるいは感情を持つということを「抱く」と表現することがあります。
「感想を抱く」などと使われることが多いです。
これを「感謝の念」と組み合わせることにより、平坦過ぎない表現方法になり、特に式典などで謝辞を表す時などに重宝します。
堅苦しい言葉になるので、プライベートで使用することはまずないでしょう。
「感謝の念を禁じ得ない」
否定表現としての使うことにより、更に「感謝の念」を引き立たせるという深みのある日本語表現を使いたいときに使用します。
「禁じ得ない」とは、他に「驚きを禁じ得ない」「喜びを禁じ得ない」とも使います。
自分が禁じることもできないほどにその感情を強く持ってしまうということ、自制も効かないほどの強い感情であるということを文学的に表現する言葉です。
日本語の玄妙な使い方で大変アカデミックではありますが、口語で使うと相手を混乱させてしまう可能性もありますので、やはり式典や冠婚葬祭などで使うにとどめた方が無難です。
「感謝の念に堪えない」
「堪えない」も、「禁じ得ない」同様感情を抑えることができない、これ以上の想いを持つことができないほどの最大級の想いを持っていますという意味です。
「感謝の念」と組み合わせる言葉としては、ビジネスや式典でいちばんよく使われる言葉です。
注意したいのが、「堪えない」という漢字です。
「タエナイ」は、ほかに「耐えない」「絶えない」などがあり、意味が少々異なってきます。
「堪えない」は、こらえられないという意味ですが、「耐えない」ですと苦痛などが我慢できないというネガティブな使い方で使われることが多くあります。
また「絶えない」は途絶えない、続いていくという意味になりますので、「感謝の念」と組み合わせるには意味がややおかしくなってきます。
かしこまったシーンでお礼を言う際には、やはり最大の敬意を払いたいものです。
「感謝の念」の使い方をマスターし、相手に喜ばれるお礼の仕方を身につけましょう。