「意に介さない」の意味とは?類語、使い方や例文を紹介!
頑張ってやったつもりの仕事が批判を受けると落ち込んだりしますよね。
これ以上ないくらいのできだと思っていればいるほど、ダメージは大きいもの。
ですがそんなときでも、批判なんてどこ吹く風、というように、飄々としている人もいます。
ここでは「意に介さない」ということばについて紹介していきます。
「意に介さない」でいたい、と思うことがある方も、まずは「意に介さない」とはなんなのか、知ることからはじめてみましょう。
目次
- 「意に介さない」の意味とは?
- 「意に介さない」の類語や言い換え
- 「意に介さない」の使い方
- 「意に介さない」を使った例文
- 「意に介さない」を分解して解釈
「意に介さない」の意味とは?
嫌なできごとや批判があっても、それを気にしない、相手にしない、ということを意味しています。
嫌なできごと、批判が実際にある、という点では同じなのに、それを気にするかしないかで、ずいぶんと心持ちが変わってきますね。
芸能人のエゴサーチなどその最たる例ではないでしょうか。
- 「意に介さない」の読み方
「意に介さない」の読み方
「い(に)かい(さない)」と読みます。
ここでは「意」とは、心の動きや心に思うこと、考え、考えていること、気持ちを意味しています。
「介」は、なかだちをする、仲を取りもつ、間におく、という意味で使われています。
介さない、ということは取りもたない、なかだちをしない、ということなので、「意に介さない」は、人から下された判断や批判、嫌なできごとなどを、気にしない、ということになります。
「意に介さない」の類語や言い換え
ほかにどんなことばで、「意に介さない」ことを表すことができるでしょう。
まだ「意に介さない」がどんなことばかよくわからない、という方も、類語や言い換えを知ることで腑に落ちる、ということもあります。
知っていることばから連想することもできますし、語彙を増やすという面からも、類語、言い換えのきくことばを知っておくと幅が広がります。
- 「しれっとする」
- 「無頓着」
- 「鈍感力」
「しれっとする」
博多弁として紹介されることもありますが、全国的に使われていることばになります。
場合によっては厚かましく感じられるほど、なにごともなかったかのように平然としているさまをいいます。
また、なにごともないような顔をしていながら、攻撃的なことを言う、という場合にも使われます。
「万引きがばれたというのに、彼女はどこまでもしれっとしている」
しらを切る、にも似ていますね。
「意に介さない」には、しらを切る、つまり知っているが知らないふりをする、といった意味あいはありませんが、どんな状況でも平然としている、というところは似ているといえます。
「無頓着」
まったく気にかけないでいても平気なこと、ものごとにこだわらないこと、という意味があります。
「無関心」というと、そのことについてなんの興味も示さない、という意味になりますが、「無頓着」は、細部にこだわりがない、という意味です。
「服装に無頓着だ」などと使われることがよくあります。
平然としている点や、ある種の器の大きさのようなものを感じさせる点は、「意に介さない」に似ているといえます。
「鈍感力」
2007年には流行語トップテンにもなりました。
鈍感、というとその感度の鈍さから、マイナスのイメージがあるかもしれません。
ですが、なにかよくないできごとがあったときにも、さほど傷つかず、傷が浅いために立ち直りが早く、どんなときでもくよくよとせず、前向きに進んでいける力、というと、鈍感力はあったほうがいいのかも、と思わせられますね。
仕事上で批判されても、鈍感力ゆえに気にせずにいられるのであれば、つぎのチャンスを活かすこともできるかもしれません。
周囲の声や状況に左右されない、という点で「意に介さない」に似たことばですね。
「意に介さない」の使い方
「〇〇(人)は△△を意に介さない」というかたちが基本になります。
〇〇が省略されていたりする場合もありますので、あくまで基本の型と捉えてください。
また、「意に介さないような〇〇」と比喩的に使われる場合もありますが、この場合も基本のかたちに則ったものですので、堅苦しく考える必要はないでしょう。
「意に介さない」を使った例文
基本のかたち、変形、比喩的な使われ方を、それぞれ例文で具体的に見ていきます。
技術を身につけるときに必要なのは、理屈+実践といわれています。
どちらもバランスよくやっていくことで能力が身についていきます。
また、例文を見ることも実践ではありますが、もっともいいのは自分で例文をつくってみたり、だれかに対してそのことばを使ってみることです。
日々、積み重ねていくうちに、知らずしらず、知っていることばが増えていくでしょう。
- 「祖母は元来、頑固で、父がどれだけなだめようと、まったく意に介さないでいる」
- 「先生はいつまでも怒っているが、意に介さない」
- 「彼は、どう思われても意に介さないような、遠い目をして話を聞いている」
「祖母は元来、頑固で、父がどれだけなだめようと、まったく意に介さないでいる」
基本の、〇〇(人)は、△△を意に介さない、のかたちです。
「社畜だといわれてもまったく意に介さず、愚直に働きつづけられるというのは、彼の強みだ」
複雑なようですが、これも基本のかたちです。
〇〇(人)である「彼」が後ろに来ているのでわかりにくくなっています。
「先生はいつまでも怒っているが、意に介さない」
意に介さないのがだれか、一見してわからなくなっています。
この場合、直前などの文脈から、だれが意に介さないのかを推察する必要があります。
意を介さないのはわたしなのか、あなたなのか、だれかなのか、人称もしくは具体的な人物名が明かされているはずです。
「ぼくはそんなこと、意に介さないよ」
△△の部分が指示語になっています。
この場合もやはり、どこか別の場所にヒントや正解そのものが書かれているはずです。
「彼は、どう思われても意に介さないような、遠い目をして話を聞いている」
比喩的に使われる「意に介さない」の例文です。
本当に意に介さないでいるかどうかは、本人以外、あずかり知ることのないところですが、他人から見てそのように見える、という使い方になります。
小説など、表現の場でも使われることがあるでしょう。
「意に介さない」を分解して解釈
「意に介さない」ということばを紹介してきましたが、そもそも「意」とはどういう意味なのか、「介す」とはどういうことなのか、もうすこし詳しく見ていきましょう。
「意に介さない」で使われる意味だけでなく、ことば本来の意味まで説明していきます。
- 意に
- 介さない
意に
「意」とは、心の動きや心に思うこと、考え、考えていること、気持ちのことを意味することばだと先述しました。
「意に介さない」に関しては、この意味から使われています。
また、「意」には、ものごとに込められている内容や、わけという意味があります。
「意味」「大意」などで使われる「意」はこちらの意味になります。
「意に介さない」に戻ると、「意に」とは、心に、気持ちに、という意味になります。
介さない
「介」とは、間にはさまること、間でとりもつことという、「意に介さない」で使われる意味のほかに、たすける、という意味があります。
「急病人が出たので介抱する」というようなときに使われる「介」になります。
「介する」は、なかだちをする、という意味でしたが、「意に介する」というかたちになると、心にとめ、心配すること、気にかけること、という意味になります。
これは「意に介さない」の対義語ということになりますね。
意に介するが、気にかけること。
意に介さないが、気にかけないこと。
紛らわしいようですが、ことばの意味を理解していれば、間違えることもなくなるでしょう。
「意に介さない」は、人の意見や批判、嫌なできごとがあっても、気にしないで平然としていることでした。
生きていればやきもきしたり、腹が立ったりとさまざまな苦汁をなめることがありますが、「意に介さ」ず、いつもフラットな気持ちでいられると、多くのことを成せるのかもしれません。