「やんごとなき」の意味とは?類語、使い方や例文を紹介!
普段の生活の中でも、何気なく使っている言葉があります。
その言葉の意味は、何となく分かっているつもりでも、詳しい意味を理解していることもなく、流れで使っていることもあるのではないでしょうか?
このような言葉を使う習慣がある中で、自分はあまり使わなくても、1度は聞いたことがあったり、文字を見ることがある言葉があります。
その1つに「やんごとなき」という言葉があります。
目次
- 「やんごとなき」の意味とは?
- 「やんごとなき」の類語や言い換え
- 「やんごとなき」の使い方
- 「やんごとなき」を使った例文
- 「やんごとなき」を使った言葉
- 「やんごとなき」の古文での意味
「やんごとなき」の意味とは?
1度は聞いたことがあったり、書籍やサイトで、この表現を見たことがある人も結構いるのではないかと思います。
現代の日常会話では、「やんごとなき」はめったに使われることはありません。
目にすることがある機会と言えば、映画・ドラマなどのフィクションなどで、聞いたり見かけたりすることがある程度かもしれません。
「やんごとなき」の意味は、「止める事ができない」いわゆる「放ってはおけない」というのが、もともとの意味。
この意味が転じて、「とても重要な事柄」を示す言葉となっていきました。
また、この「やんごとなき」は、2種類の用途で使われることがあります。
1つ目は、先述の意味の通り、とても重大な事情がある場合に使う「やんごとなき」です。
この時の表現は、「やんごとなき事情」などといった形で使われます。
そして、2つ目の使い方は、「やんごとなきお方」などといった具合に使われるケースです。
この時の意味は、「とても位が高く高貴な身分の人」を指す言葉として使われます。
「とても重大な事情がある」、「とても高貴な」という一見、全く異なる意味になりますが、両方とも「放ってはおけない」という意味から転じてきたのです。
- 「やんごとなき」の漢字
「やんごとなき」の漢字
「やんごとなき」を漢字で書くと「止ん事なき」となります。
「やんごとなき」の類語や言い換え
では、「やんごとなき」の同義語としては、どのような言葉が挙げられるでしょうか?
- 「尋常ではない」
- 「のっぴきならない」
- 「切羽詰まった」
「尋常ではない」
「やんごとなき」の同義語としては、「尋常ではない」があります。
「尋常」とは、「普通でありとりたてて変わったところのないこと」の意味があります。
これに物事の否定形の「〜ない」が加わることで、「尋常でない」と言った場合は、「異様だ」、「常軌を逸している」、「途方もない」といった意味になってきます。
「尋常」由来を見ていくと、「尋」、「常」は、長さの単位を表す漢字で、「尋」は「8尺」、「常」はその2倍の「1丈6尺」の意味があります。
このことから、「尋常」とは、「普通の長さの意味」から、「あたり前」という意味合いが生まれてきたのです。
「尋常ではない状況にメンバー全員が押し潰されてしまいそうだ」
「尋常でない雰囲気で、上司から叱られてしまった」
この2つの例文でも、「普通ではない」状況が理解できることでしょう。
「のっぴきならない」
「のっぴきならない」も「やんごとなき」に近い意味を持つ言葉です。
この言葉の意味としては、「引き下がることも、避けることもできない」や「進退きわまる」、「どうにもならない」があります。
この言葉の「のっぴき」とは、「退き引き(のきひき)」からきた語句で、漢字で書くと「退っ引きならない」となります。
「退く」も「引く」も避けることや逃れることを意味している文字をななり、これに否定形の「ならない」が付くことで、「避けることも退くこともできない」という意味になってきたのです。
「のっぴきならない事情で今回の会議は欠席させて頂くことにしました」
このような使い方になります。
「切羽詰まった」
「切羽詰まった」の意味は、「窮地に立たされる」ことは、「後戻りできないほどの危機的状況に陥ること」を指しています。
今ふうに言うと、「すっごくヤバイ!」ということです。
元々、「切羽」とは、柄や鞘に接する部分の日本刀の鍔の両面に添える薄い楕円形の金物のことです。
実は、この切羽が詰まると刀が抜けなくなるので、窮地に追い詰められた時に切羽が詰まると、逃げることも刀を抜くこともできなくなるために、「どうしようもなくなる」という意味になったのです。
例文としては、次のような内容になるでしょう。
「彼は切羽詰まった状況となってしまったが、何とかその状況を切り抜けることができた」
「切羽詰まった彼は、全てを諦めてその場から退散する決意をした」
「やんごとなき」の使い方
「やんごとなき事情で会議に遅刻しました」
どうしようもない理由が発生した時に、このような表現で言い訳をすることがあります。
遅刻した本当の理由を説明することなく、さりげなく謝罪したり、説明する時にでも「やんごとなき」を使えるのではないでしょうか?
「やんごとなき」を使った例文
「やんごとなき」を使った例文を見ていくことにします。
- 「やんごとなき」の例文1
- 「やんごとなき」の例文2
- 「やんごとなき」の例文3
「やんごとなき」の例文1
「あの方は、やんごとなきお方なので、めったに声をかける機会がない」
ここで言う「やんごとなきお方」は、「身分が高いお方」という意味になります。
社会的に身分が高い人に対しては、このように「やんごとなき」を使いますが、尊敬の念が込められている表現でもあります。
「やんごとなき」の例文2
「やんごとなき事情で、今回のミーティングは欠席とさせてもいらいます」
「やんごとなき事情で、今回の訪問を延期させてください」
この時の「やんごとなき事情」とは、「とても重要な軽く扱うことができない事象」のことを言っています。
ここでの「やんごとなき」は「とても重要な」という意味で使われていますが、「やんごとなき事情があって退職された」
と言った用途もあります。
この時は「なによりも優先しなければならない事情がある」といった意味で解釈することができます。
「やんごとなき」の例文3
「やんごとなき生まれ」
この場合は、「非常に良い家柄の生まれ」という意味になってくるでしょう。
ここでも「やんごとなき」の「高貴な」という意味で使われています。
この「生まれ」は「血筋」、「血統」を指しており、「やんごとなき生まれ」は「良い血筋・血統を引いている」という意味になります。
「やんごとなき」を使った言葉
「やんごとなき」を使った言葉も見ていくことにします。
- 「やんごとなき人」
- 「やんごとなき用事」
「やんごとなき人」
「やんごとなき」のもともとの意味は、「やむをえない」、「捨てておけない」、「無視できない」ということでした。
その意味から、「格別である」、「普通ではない」という意味に変化して、さらに「高貴な」、「尊い」という意味に進化してきました。
このことから、「やんごとなき人」は、「高貴な人」という意味になります。
現代で、「やんごとなき人」と言うと、おそらく皇族の方に限定されるのではないでしょうか?
「やんごとなき用事」
「やんごとなき用事」は、「どうしても避けることができない重要な用事」ということ意味になります。
「すみません。やんごとなき用事があって、会合に参加できません」
というような用法になるでしょう。
「やんごとなき」の古文での意味
「やんごとなき」は普段使うことは少ない言葉であっても、一応は現代語です。
しかし、古くから使わえれてきた言葉でもあります。
古文でも非常によく使われる言葉でした。
平安時代などに、文章を残していたのが、上層階級の貴族であったために、「高貴な」「身分が高い」という意味でこの言葉用いていたと考えられています。
古文での「やんごとなき」の意味は「高貴な」であり、現在で解釈されている「とても重要な」という使い方はされていません。
身分の高い人へのあこがれの気持ちを含んだ意味で、書かれた文章と理解されているようです。
「やんごとなき」は、「高貴な」、「重要な」という言葉に敬意の思いが込められた表現でもあります。
社会生活で敬語を使う場面で時々、使われることもあります。
敬語表現などは、学生時代に勉強しただけという人もいるでしょうが、社会に出てから、このような表現を身近に感じることがあるかもしれません。