「わびしい」の意味とは?類語、使い方や例文、反対語を紹介!
日本語ならではの表現「わびしい」という言葉を使いこなせるでしょうか。
「わびしい」という言葉の意味や使い方を覚えて、情緒豊かな人と言われる様になりましょう。
目次
- 「わびしい」の意味とは?
- 「わびしい」の類語や言い換え
- 「わびしい」の使い方
- 「わびしい」を使った例文
- 「わびしい」を使った言葉を解釈
- 「わびしい」の対義語や似た対義語
「わびしい」の意味とは?
「わびしい」と言うと、イメージ的に「静かで物悲しい」情景が思い浮かびます。
しかし「わびしい」は日本独特の言葉であり「わび・さび」の概念に繋がります。
- 「わびしい」の漢字
- 「わびしい」の意味「心細い様子」
- 「わびしい」の意味「やるせない気持ち」
- 「わびしい」の意味「貧相でみすぼらしい」
- 「わびしい」の意味「物寂しい様子」
- 「わびしい」の意味「面白味がない」
- 「わびしい」の意味「心に葛藤が生じている」
- 「わびしい」の意味「心の不幸を感じている」
「わびしい」の漢字
「わびしい」は漢字では「侘しい」と書きます。
「わび・さび」は「詫・寂」と表します。
「わびしい」の意味「心細い様子」
現在落ち込み気味の心が慰められない状態を表します。
寂しさと心細さが一緒になり、明るい気持ちになれないのです。
寂しいというよりももっと複雑で、誰かに助けてもらえるとは思わない、けれどもこのままではポジティブになれないという複雑な心境です。
「わびしい」の意味「やるせない気持ち」
一生懸命頑張ったのに、誰も認めてくれなかったり、想定外のことが起きて失敗してしまうことがあります。
今迄の努力が全て水の泡になってしまうと、「悲しい・辛い」を通り越して「やるせない気持ち」になるでしょう。
最初のうちはまだ感情的になっているので愚痴や文句を言ったりして気を紛らわせていますが、そのうちに話す相手もいなくなってきます。
そうなると一人ポツンと取り残された様で、どこにも感情のやり場がない状態になります。
その悲しさと孤独が入り混じったやるせない気持ちを「侘しい」と言い表すのです。
「わびしい」の意味「貧相でみすぼらしい」
この意味は、普段あまり使われることはないでしょう。
「みすぼらしい」というと汚いイメージがありますが、殺風景で物寂しい雰囲気の空間という意味があります。
明らかにお金をかけていないのが分かる様なさびれた状態を「わびしい」と言い表すのです。
その人が金持ちか貧乏かということに関わらず、貧相でみすぼらしい様子で、あくまでイメージ的な言葉です。
「わびしい」の意味「物寂しい様子」
「わびしい」という言葉は「寂しい」と似たような言葉として使われます。
ただ寂しいのではなく、「わびしい」にはよりネガティブなイメージがあります。
周囲の環境だけではなく、自分の気の持ち様で寂しさを作り出してしまっているのです。
他の人から見て静かでもの寂しそうな雰囲気が付いて回る人に対して「わびしい」と表現します。
あまり良い意味ではないので、面と向かって「何だかわびしいですね」というのは避けた方が良いでしょう。
「わびしい」の意味「面白味がない」
わびしいと感じる時には自分が一歩冷めた状態にいます。
楽しいと思うことはなく、その状態でいてもつまらないと感じてしまうのです。
周囲は楽しそうにしているのだけれども、自分だけ興味が持てないこともあります。
ものごとに対して面白味を感じない時に、ふと自分を顧みて「わびしい」と思うのです。
「わびしい」の意味「心に葛藤が生じている」
何か納得できない状態のままものごとが進められてしまうと、自分という存在が非常に軽く思えてきます。
自分の力など何の役に立つのか、そう思ってしまうでしょう。
それでも毎日生きていく為には仕事をしていかなければならず、現実を受け入れて流されるところは流されていかねければなりません。
自分の存在価値を考えて心に葛藤が生じている時に人は「わびしい」と思うのです。
寂しいというストレートな言い回しよりも、自分の周辺にある不条理な状態も含めた表現です。
「わびしい」の意味「心の不幸を感じている」
不幸と言うと、貧乏で毎日の生活に困ったり、厄災に見舞われて立ち直れない状態の人を意味します。
しかし「わびしい」の場合、同じ不幸でも心が弱っている状態を意味します。
本人はお金持ちで何ひとつ不自由のない暮らしをしていても、自分でやりたいことが決められずに周囲の言いなりになっていたりします。
或いは本当に好きな人には好かれずに、恋愛感情を持てない異性から次々と告白される人もいるでしょう。
その様に、傍目からは計り知れない様な心の不幸を感じている状態を「わびしい」といいます。
あくまで価値観の問題ですが、精神的に満たされていない人に当てはまります。
「わびしい」の類語や言い換え
- 「心細い」【こころぼそい】
- 「切ない」【せつない】
- 「さびしい」【さびしい】
- 「寂寥」【せきりょう】
- 「物憂い」【ものうい】
「心細い」【こころぼそい】
一人で寂しくて、誰かに頼りたいけれども頼れる存在が見つからない状態です。
「わびしい」は一人で孤独や寂しさを味わう状態も含まれているのですが、「心細い」は人に対してSOSを出している状態です。
「切ない」【せつない】
「わびしい」にかなり近い意味で、悲しさの中に相手やものごとに対する未練・憧れなどの気持ちが残っています。
辛いならばスッパリと忘れてしまえば良いのですが、全く無関係になれず、心惹かれる状態です。
「さびしい」【さびしい】
「わびしい」と「さびしい」は混同されがちな言葉です。
「わび・さび」とセットで使われるので無理はありません。
この2つの言葉の違いは、「わびしい」が悲しみの中でもどうにもならない状態なのに対し、「さびしい」は悲しんでいても何らかの希望や解決策がある場合です。
「さびしい」はよりシンプルな言葉と言えます。
「寂寥」【せきりょう】
心が満ち足りず寂しい状態です。
わびしいよりもより孤独感が強く、頼るものが何もない時に使われます。
「物憂い」【ものうい】
何となく心がふさぎ込んでいて、自分から行動を起こすのが面倒な状態です。
特に原因が特定できずに様々なことが積み重なって起きる心の状態で、わびしいよりも行動範囲が狭められるイメージです。
「わびしい」の使い方
「わびしい」は、気持ちが萎えているだけではなく、みすぼらしい状態も含んでいます。
「わびしい」を使うのは、あくまで自分自身の内面を表現する時や、古くからある建物や風景を言い表す時のみです。
上手に使うと日本人として非常に風流な人、というイメージになります。
他人に対して使うとその人の身なりも含めて貧相だという意味になるので注意しましょう。
「わびしい」を使った例文
- 自分の状態を謙遜して言い表す時
- 気の置けない友人に対して
- 歴史的な場所や建築物を見て
自分の状態を謙遜して言い表す時
「毎日一人ぼっちでわびしい食事が続いている」
気の置けない友人に対して
「彼はわびしい様に見えるが、実はリア充している」
歴史的な場所や建築物を見て
「かつては栄えたが、今ではわびしいお寺になっている」
「わびしい」を使った言葉を解釈
- 自分の状態を言い表す時
- 人に対して使う時
- 情景描写をする時
自分の状態を言い表す時
「わびしい」を自分に対して使う時には、「悲しい」という意味よりも「一人で寂しい」という意味に解釈します。
恋人と別れたり、独身で一人暮らしが長い人が使うことが多い言葉なのです。
但し、身なりが貧しいということはあまりなく、どちらかと言えばお金はあってもファッションに興味がなく、センスがない人が多くなります。
人に対して使う時
「彼はわびしい生活をしている」など、人に対して使う場合には、その人と余程親しい関係であると解釈します。
「わびしい」は普通「みすぼらしい」という意味も兼ねているので、他人に対して使う言葉ではありません。
人に対して使う時には、お互いに信頼関係があり、何を言われてもポジティブに受け取ってくれる関係の時です。
より親しみをこめて「わびしいヤツだ」と言っていると思って良いでしょう。
情景描写をする時
「わびしい」を観光スポットや歴史的建造物に対して使う時には、かつては栄えていたけれども今は衰退してしまっていると解釈します。
その場所に関して深い知識や思い入れがあり、人に対して由緒ある場所であることを伝えたいのでしょう。
過去の栄光について知っておくと、より「わびしさ」を理解できます。
「わびしい」の対義語や似た対義語
- 「活気に満ちている」
- 「にぎやか」
「活気に満ちている」
人の出入りが多く、華やかな雰囲気の状態に使われます。
明るくて賑やかな場所で、悲しいという感情は感じません。
「にぎやか」
ひたすら騒がしい様子を表します。
人が多くいるところには「陰の気」は寄り付きにくく、雑踏の中では個人の寂しさや貧しさなどは感じられません。
わびしいという気持も一蹴されます。
「わびしい」は非常に風情のある言葉ですが、普段の会話ではあまり耳にしません。
それでも日本人ならば、積極的に「わび・さび」の心を理解したいものです。
旅行で歴史的な価値のあるところに行った時に、雰囲気を読みながら「わびしいね」とつぶやいてみましょう。