「融通無碍」の意味とは?類語、使い方や例文、反対語を紹介!
日本語では、ことわざや熟語を使いながら会話をすることがあります。
その中で、「融通無碍」という熟語があります。
普段の会話の中でも、「融通(ゆうづう)」と言う言葉を、使う機会は結構多いものです。
「融通」というと、「ちょっと、融通きかせてくれませんか?」といったような使い方をするのが、一般的な用法ではないでしょうか?
「ねえ、融通をきかせてもいいんじゃない?」と言えば、こちらの都合に合わせてもうらえるようにお願いをする時に使われる感じがします。
この「融通」を含む「融通無碍」とは、どのような言葉なのでしょうか?
目次
- 「融通無碍」の意味とは?
- 「融通無碍」の類語や言い換え
- 「融通無碍」の使い方
- 「融通無碍」を使った例文
- 「融通無碍」を使った言葉を解釈
- 「融通無碍」の対義語や似た対義語
「融通無碍」の意味とは?
「融通無碍」とは、元来、仏教が由来の言葉で仏教専門用語でした。
現代的な日常会話でも使れていますが、この熟語に含まれている「融通」という言葉の意味を見ると、「都合に合わせる」という意味合いを含んでいます。
あるいは、「滞らずに通ずること」という解釈もでき、「融通」は「金銭をやりくりする」というような意味合いを持つこともあります。
かなり、限定的な用途で、直接的な表現でもありますが、
「金銭を自分都合でやりくりする」や「自分都合に合わせてもらう金銭のやり取りすること」という意味が、日常会話的な「融通」の使われ方でもあります。
しかし、「融通」の本来の意味からすると、「柔軟に対応する」というニュアンスが一般的なイメージかもしれません。
これに「無碍」が加わり、「融通無碍」は、「全てに行きわたって通じて少しの停滞や渋滞をしないこと」と訳すことができます。
良い用法としての言葉で置き換えるなら、「臨機応変」といったところでしょうか。
融通という言葉の世界観は、「華厳経」の思想である「融通無碍(ゆうづうむげ)」が由来の言葉であるとも言われております。
「融(とける)+通(かよう)」という言葉の組み合わせの「融通」から、「融解しそのうち、通じ合う」という意味合いを感じることができます。
そのことから、「溶け合い通じ合い、両方が相まっている」という意味になってきて、仏教用語の観点から「調和を意味している」ということになるのかもしれません。
その結果、「融通無碍」は「さまたげる物事がなく、溶け合い通い合っている」という意味で解釈されるようになったとも思われるのです。
- 「融通無碍」の読み方
「融通無碍」の読み方
「融通無碍」は「ゆうづうむげ」と読むことになります。
「融通無碍」の類語や言い換え
「融通無碍」の類義語としては、次のような表現で置き換えることができます。
- 「自由自在」
- 「杓子定規」
「自由自在」
「自由自在」とは、「どのような状態でも思うままにすること、できること」を指しています。
この熟語の使い方では、「全てのことを心で思うように、自分の考える方法で行つ」時に使うことになります。
例文としては、次のような例が挙げられます。
「最近のPCは、コンパクトながらにみ、動画編集やコンテンツ制作でも自由自在にこなせるようになっている」
「以前は、話すことができなかった英会話が、留学してから以降、必死に英語を勉強したおかげで、今では自由自在に話せるようになっています」
「杓子定規」
「融通無碍」の同義語としては、「杓子定規」(しゃくしじょうぎ)もあります。
「いつも一つの基準や規則にとらわれて、応用・融通が利かないこと」
この熟語の意味は、「一つの決まりにこだわって応用や融通が利かないこと」となります。
日常会話の中では、「融通無碍」より、「杓子定規」の方が、よく使われているかもしれません。
具体的な使い方としては、次のように用いることができるでしょう。
「規則をしっかりと順守することは大切なことですが、1つの例外も認めない杓子定規な対応や姿勢は、多くの人の反発を買うことになる」
「昔から担任の先生は杓子定規な性格だから、レポートの提出期限を過ぎうと、その後は、全く受け付けてくれない」
「融通無碍」の使い方
「融通無碍」が「全てに行きわたり、少しの停滞や渋滞をしないこと」という意味Tからすると、この言葉の使い方としては、色々な物事に取り組み時に、自由な発想で縛られない姿勢や観点から対応していく場面で使うことができるしょう。
「融通無碍」を使った例文
「融通無碍」はどのような場面で使うことができるのは、見ていくことにします。
- 「融通無碍」の例文1
- 「融通無碍」の例文2
「融通無碍」の例文1
「何事にもとらわれずに、融通無碍な気持ちで生活することが、人生を豊かにする秘訣と言えるでしょう」
人は、生きていく上で、どうしても様々な慣習・しきたり・規則の中で生活をしたり、生きていくことが少なくありません。
しかし、「融通無碍」な気持ちを持つことで、柔軟な発想で行動することができるはずです。
「融通無碍」の例文2
「A君の仕事ぶりは、融通無碍な姿勢で取り組んでいることから、周りから頼られることが多いのです」
このように「融通無碍」の気持ちで仕事をするAさんは、変な偏見や凝り固まった考えを持たないことから、多くの人から信頼されるのかもしれません。
「融通無碍」を使った言葉を解釈
「融通無碍」を使うケースから、どのような意味合いが読み取れるでしょうか?
- 「融通無碍なやり方」
- 「融通無碍の境地」
- 「融通無碍にことに当たる」
「融通無碍なやり方」
「常識に縛られない彼の融通無碍なやり方は、見ていても痛快な気持ちにさせてくれる」
何事にも縛られず、自分の思うままに、行動できる行動姿勢は、見ている人の心を気持ちよくさせてくれるものです。
「融通無碍の境地」
「紆余曲折を経て多くの経験を積んだ人は、他人の目や常識にとらわれない融通無碍の境地になるのかもしれない」
人生は、山あり谷ありで、決して平たんな道のりではないでしょう。
多くの経験を積むことで、「融通無碍の境地」に達することができれば、本当に怖いものはなくなるのかもしれませんね。
「融通無碍にことに当たる」
「彼女は、変に物事にこだわらない性格で、融通無碍にことに当たってくれる」
このような言い方もあるでしょう。
柔軟な発想ができる人は、そんな状態でも臨機応変に対応することができるものです。
「融通無碍」の対義語や似た対義語
「融通無碍」の対義語としては、「四角四面」や「杓子定規」があります。
「四角四面」(しかくしめん)とは、「ものごとを何でも堅苦しく考えて融通のきかない様子」や「何ごとも決め事(規則や規定)をベースに例外を認めようとしない性格」のことを指しています。
言葉の使い方としては、「四角四面な」で形容詞としてなりたっていますので、例えば「四角四面な役人」とか「四角四面な頑固者」といったような使い方があります。
しかし、日常会話では、「杓子定規」の方が多く使われていることが多いでしょう。
「杓子定規」(しゃくしじょうぎ)とは、「曲がっている杓子を定規代わりにすることと」や「正しくない定規で図ること」から「全てのことを一つの標準や規則に当てはめて処置しようとする、融通のきかないやり方や姿勢」と意味しています。
「あの人は杓子定規な考え方でしか物事を見れない」
「どんなことでも、杓子定規に扱う不器用な人間」
といったような使われ方になるでしょう。
「融通無碍」という言葉の意味を知ると、
「自分の人生もこのようでありたい」
と感じる人もたくさんいるのではないでしょうか?
現代社会は、何かと忙しくバタバタとあわただしく生活を送っている人ばかりだと思うです。
だからこそ、このように「融通無碍」的な境地で、生活すること、働くことを念頭に置いておきたいものです。