「延伸」の意味とは?類語、使い方や例文、対義語を紹介!
工事現場や駅などで、「延伸工事」についての看板やけ掲示板の貼り紙を見かけることがありますが、延伸って、日頃使わないことばですよね。
ですが、よく見渡してみると意外に身近なところで使われていることばでもあります。
ここでは「延伸」の意味や類語、使い方などを紹介しています。
これまで何気なく知ったり知らなかったことばでも、理解が深まると、これまでよりも積極的に日本語の機微を考えるようになりますよ。
目次
- 「延伸」の意味とは?
- 「延伸」の類語や言い換え
- 「延伸」の使い方
- 「延伸」を使った例文
- 「延伸」を使った言葉の解説
- 「延伸」の対義語
- ユーモアとしての延伸
「延伸」の意味とは?
延伸は、のばすこと、のびることを意味します。
具体的にのばすものは、時間や距離についてです。
なにかの時間や距離についてのばしたい、という場合には、「延伸」を使うことができます。
私鉄の線路が広がるときなどに、「線路の延伸を行う」という使い方ができる、ということになります。
これは、距離についてのばしたいときの例文になります。
- 「延伸」の読み方
「延伸」の読み方
延伸は、「えんしん」と読みます。
延には、長くすること、引きのばすこと、また期日に遅れること、といった意味があります。
伸には、屈んでいる、縮んでいる状態から引きのばすこと、のびること、という意味があります。
どちらものばすことを意味することばを重ね、強調したことばが延伸、ということになります。
「延伸」の類語や言い換え
「延伸」は馴染みがないので、ほかの言葉に言い換えたいということもあるでしょう。
ここでは、延伸の類語と、その類語が、どういう意味の場合に使えるものなのかを見ていきます。
どれも似ていますがすこしずつ異なりますので、用法をよく見ていきましょう。
- 「延長」【えんちょう】
- 「延期」【えんき】
- 「順延」【じゅんえん】
- 「伸展」【しんてん】
「延長」【えんちょう】
延伸は、時間や距離についてのばす、のびることだと示しました。
さて、延長も同様に、期間について使うことができます。
「なかなか決着が着かないので試合が延長している」というような場合、期間がのびるという意味で延長が使われています。
この例では延伸との言い換えが可能になります。
しかし延長には、哲学的な意味を持つものがあり、その場合には延伸との言い換えは不可能になります。
「延期」【えんき】
延期とは、「決めている予定、物事を先に延ばす」「期間や期日を先に延ばすこと」を言います。
「延長」では、たとえば1日から5日までだったものが、5日を過ぎても終わらず、7日までかかる、という場合ののびる、になります。
「5日でセールは終わりだと思っていたら、7日まで延長していた」というような場合です。
延期を使うと、1日に行うつもりにしていたが、繰り越して5日になった、という場合ののびる、になります。
「1日のテニスの試合は台風で5日に延期になった」という使い方ですね。
「順延」【じゅんえん】
順延は、順繰りにのばす、ということを言います。
上記の例を使用すると、「1日のテニスの試合は台風で順延になった」となり、これは1日がだめになったので、2日に、それがだめなら3日に、というのばし方になります。
もっとも「延伸」の意味に近いのは「延長」かと思いますが、「どんなのばし方をするのか」で、使われることばが変わってきます。
「伸展」【しんてん】
こちらも、意味合いとしては、「のばし広げること」などを意味しますので、延伸の類義語と言えるでしょう。
ただ、伸展に関しては、その広げる範囲が、勢いや勢力の及ぶ範囲、というものになる点が、延伸と異なる点と言えます。
事業が軌道に乗り、勢力が大きくなっていくことを、「事業が伸展する」というわけです。
こちらは時間や距離をのばすわけではありませんので、「事業が延伸する」とはなりませんね。
「延伸」の使い方
延伸は、「延伸」にするを組みあわせた、「延伸する」のかたちで使われるほか、「延伸工事」などのように、ほかの名詞との組みあわせで使用する場合もあります。
以下にもいくつか紹介していますので参考になさってください。
「延伸」を使った例文
「あのフィルムを延伸したことにより、機械性能は抜群によくなった」これは距離つまりものの長さをのばす、という意味で使われる「延伸」になります。
工業用語としてはかなり多用されています。
「延伸」イコールのびる、だとわかっていると、ものの形状など認識しやすい場合もありますね。
また、「二年だと聞いていた単身赴任の任期が延伸することが決まった」など時間の長さについても使われます。
「延伸」を使った言葉の解説
なかなか普段遣いにはむずかしそうだ、という延伸ですが、身近に使われているものもあります。
特殊なときに使うことば、とレッテルを貼らず、自分の知っている語彙の一つのバリエーションとして覚えておくと、ぴったりのタイミングで使うことができるでしょう。
- 「延伸工事」
- 「延伸期間」
「延伸工事」
「A駅から延伸工事がされることで、私鉄のF駅と繋がるという構想があるという」
これは、工事期間がのびる、という時間ののびではなく、工事をすることで線路の距離がのびる、という意味で使われています。
新幹線の総距離がのびたり、新しい自動車道ができたり、いろんなところで「延伸工事」が行われます。
「延伸期間」
たとえば、「契約期間二年で職に就いたときに、二年後に更新試験を受け、受かればさらに二年まで働くことができます」
という条件があったとします。
あとに二年のほうを、「延伸期間」と言います。
始まったとき(起点)からひとつづきになって、当初の終わりよりも先に終点がある場合、あとの期間のことを言うことになります。
「延伸」の対義語
「延伸」がのばすこと、のびること、だとすると、対義語はどうなるのでしょう。
のびる、のばすの反対は、縮む、縮めるという意味を持つことば、ということになります。
反対の意味を知ることで、もとのことばの理解が深まりますね。
- 「短縮」
- 「縮小」
「短縮」
短く縮まること、縮めること、という意味があります。
「今日は短縮授業で昼までで帰宅する」なんてこと、学生時代に経験があるのではないでしょうか。
ふだんよりも学校にいる時間が短く、縮まることを言います。
逆に延伸授業、となると、ふだんでいう放課後まで残って、学校で学ぶことになります。
「縮小」
こちらは、小さく縮めること、また、縮まることを言います。
小規模にすることや、そうなることも意味しています。
こちらものびる、のばすという意味を持つ延伸とは真逆の意味になりますので、対義語と言っていいでしょう。
縮小コピー、などとよく言います。
ここでは縮小の対義語として、拡大、という語が使われますね。
拡大は、のびる、というよりも広げて大きくする、というような意味合いが強いことばになります。
広義では拡大も、延伸の類義語と言えるかもしれませんね。
ユーモアとしての延伸
大学を卒業したものの、社会に出ていくだけの気概が持てず、大学院に入るなどして猶予期間をつくることを比喩的に「モラトリアム期間」などということがあります。
これを日本語で言えば、ちょうど「延伸」を使うことができるかと思います。
社会に出るのは不安ですが、あまり延伸しすぎると、爪弾きにされそうでもあります。
延伸もほどほどにしなければいけないときもありそうですね。
延伸はのばすこと、のびることを意味するのだとわかりましたね。
また、延期や延長、順延など、似ているけれどすこしずつ異なる意味を持ったことばがあることもわかりました。
一口に「のびる」と言っても、いろんな「のびる」があるということです。
どれも知ってはいるけれど、違いを説明するとなると閉口する人が多いでしょう。
正しい日本語の理解の一助となれたなら、幸いです!