「一長一短」の意味とは?四文字熟語やことわざ、反対語や使い方、例文を紹介!
「一長一短」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
これは比較的よく使われる熟語ですから、知っているという人も多いかもしれませんね。
ここではこの「一長一短」という言葉の意味と類義語や対義語について解説します。
目次
- 「一長一短」の意味とは?
- 「一長一短」と「一朝一夕」の違い
- 「一長一短」の類義語
- 「一長一短」の対義語
- 「一長一短」のシーン
- 「一長一短」の例文
「一長一短」の意味とは?
- 「一長一短」の意味
- 「一長一短」の語源
「一長一短」の意味
「一長一短」は「いっちょういったん」と読みます。
これは、長所もあり、短所もあるということを指しています。
良い面がある一方で悪い面もあるということであり、だからこそ人や物事は完璧にはなれない、一概に評価することはできない、という意味になります。
「帯に短し襷に長し」のように中途半端で役に立たないこと、とは意味が違います。
「一長一短」の語源
「一長一短」というのは中国の思想家、王充が書いた『論衡』が由来になっているとされています。
この本には龍の特徴が「一長一短である」と書かれているのです。
その時は「あるいは長く、あるいは短く」という意味でした。
しかし、日常生活において「長く、同時に短い」という表現はなかなか使わないですよね。
そこから「長所もあるが短所もある」という意味で使われるようになったのです。
これが「一長一短」の由来であると言われています。
「一長一短」と「一朝一夕」の違い
- 「一朝一夕」の意味
- 「一朝一夕」の由来
- 「一朝一夕」と「一長一短」
「一朝一夕」の意味
「一長一短」に対し、「一朝一夕」は「いっちょういっせき」と読みます。
これは「ひと朝かひと晩」「わずかな時間」という意味を持ち、極めてわずかな期間、非常に短い時間や簡単であること、お手軽であること、という意味を持っているのです。
朝も夕方も1日の中では本当に短い時間ですよね。
そこから「一朝一夕」は本当にわずかな時間を指すようになったのです。
「一朝一夕」の由来
「一朝一夕」というのは儒教の経典、古代中国の書物である『易経』に「一朝一夕」という表現が使われていることから始まっていると言われています。
「家来が君主を殺害したり、子供が親を殺害したりするような事はある日突然起こるわけではなく、長い月日を経てやがて起きてしまうという出来事なのである」と書かれているのです。
普段ありえないようなことが起こる理由は、長い時間が経っていたにもかかわらず見過ごされていたからだ、何か悪い兆しが見えたらすぐに解決しなければいけない、という教えに基づいているのです。
「一朝一夕」と「一長一短」
このように聞くと「一長一短」と「一朝一夕」は全然違う意味であることがわかります。
しかし、読み方が似ているために混乱してしまう人も多いため、気をつけなければいけません。
「一長一短」の類義語
- 「一利一害」【いちりいちがい】
- 「一得一失」【いっとくいっしつ】
- 「尺短寸長」【せきたんすんちょう】
「一利一害」【いちりいちがい】
「一利一害」というのは「いちりいちがい」と読み、良いことがある一方で悪いこともある、という意味になります。
利益がある一方で害もある、という意味です。
『元史』という書物に「一利を興すは一害を除くに如かず(1つの利益になることを始めるよりは1つの害を除いた方が良い)」と書かれていることに基づいています。
「一得一失」【いっとくいっしつ】
「一得一失」は「いっとくいっしつ」と読み、一方で利益があると他方で損失もある、という意味になります。
利益と損失が両方存在するということを表すこともあります。
また、物事には良い面もあれば悪い面もある、という意味も持ち合わせています。
「尺短寸長」【せきたんすんちょう】
「尺短寸長」は「せきたんすんちょう」と読みます。
どんな優れた人にも劣ったところがあり、どんなに劣った人であっても優れたところがある、という例えになります。
どんな人であったとしても優れたところばかりという人はいませんし、劣ったところばかりという人もいませんよね。
人間は必ず両方を持ち合わせているものなのです。
「一長一短」の対義語
- 「完全無欠」
- 「有害無益」
- 「百害あって一利なし」
- 「帯に短し襷に長し」
「完全無欠」
「一長一短」の対義語にはまず「完全無欠」が挙げられます。
「完全無欠」は「かんぜんむけつ」と読み、どこから見ても欠点や足りない部分が全然ないこと、そして完璧であること、ということを表しています。
間違いがない、という意味を表す「完全」とかけたところがないという意味を表す「無欠」を組み合わせて作られた表現であり、似た言葉を繰り返すことで強調しているのです。
「有害無益」
「有害無益」というのは街となる事はあったとしても利益になる事は全然ない、ということです。
失うものばかりで得られるものは何一つない、という意味でもあり、確かに「一長一短」の対義語とは考えにくいですが、短所しかない、という意味で捉えると対義語になりますよね。
「一長一短」というのはプラス面もマイナス面もある、という意味であり、「完全無欠」はプラス面しかない、ということです。
それに対して「有害無益」というのはマイナス面しかない、という意味になります。
「百害あって一利なし」
「百害あって一利なし」というのは「ひゃくがいあっていちりなし」と読みます。
「有害無益」とよく似ていて、害となる事はあっても利益となる事は無い、という意味になります。
「百害あって一利なし」とはタバコがよく例にあがります。
高いお金をかけて購入しなければならず、タバコを吸う人の健康も害してしまいます。
さらにタバコを吸っている周りの人にも受動喫煙という形で害を与えてしまいます。
悪い事しかないのに良い事は1つもありません。
強いて言えばタバコ会社を潤しているだけでしょうか。
わざわざ病気をお金で買っているようなものですよね。
しかし、タバコを吸っている人はタバコを止めることができず、これは精神安定剤のようなものがとさえいう人がいます。
そのような人にとってはタバコは「一長一短」と言えるでしょう。
「帯に短し襷に長し」
「帯に短し襷に長し」というのは「おびにみじかしたすきにながし」と呼びます。
最初の方で少し触れましたが、これは帯にするには短すぎ、襷にするには長すぎる、つまりちょうど良い長さではなく、中途半端で何の役にも立たないという意味になります。
「一長一短」は何事においても良いことと悪いことがある、長所と短所の情報がある、という意味ですから、「帯に短し襷に長し」のように中途半端で使えない、意味がない、という言葉も対義語だと言えるでしょう。
「一長一短」のシーン
- 効果はあるが胃に良くない鎮痛剤
- 新幹線は早いけれど高い
- スマホは便利だがお金がかかる
効果はあるが胃に良くない鎮痛剤
鎮痛剤などを飲むと、どうしても胃を痛めてしまう可能性があるから胃腸薬も一緒に飲んだほうがよい、などということを聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。
鎮痛剤はそのようなことも考慮されていることが多いですが、やはり効果がありすぎる鎮痛剤などを飲むと逆に胃を痛めてしまう可能性があります。
効果はあるけれど胃に優しくない、という意味で「一長一短」だと言えますね。
新幹線は早いけれど高い
多くの人は新幹線に乗った経験を持つのではないでしょうか。
しかし、新幹線は時間も正確だし、早く目的地に着くことができるという一方で値段が高いという短所がありますよね。
どうしても値段が高いため時間がかかっても夜行バスを利用する、という経験を持つ人もいるでしょう。
確かに新幹線は時間に正確で早くつける、という利点がありながら値段が高いという問題点もあるのです。
だからこそ、新幹線も「一長一短」だといえます。
スマホは便利だがお金がかかる
最近は格安スマホなども出てきましたから、スマホにお金をかけないで利用するという人も多くなったのではないでしょうか。
しかし、一時はスマホはとても高いものでしたよね。
様々な機能がつき、カメラも性能が良くなりました。
しかしその一方でスマホの毎月の金額が高い、毎月10,000円を超えていてとてもじゃないけどやっていけなかった、という経験を持つ人もいるでしょう。
非常に便利なスマホではありますがお金がかかります。
そういう意味でスマホも「一長一短」だといえます。
お金がかかるからという理由でガラケーにしていた人もいるかもしれませんね。
「一長一短」の例文
- 「一長一短」の例文1
- 「一長一短」の例文2
- 「一長一短」の例文3
「一長一短」の例文1
「あの先生は美人だけどきついよ、まさに一長一短だ」
小学生や中学生の時、どんな先生が自分の担任になるのかワクワクした経験を持つ人もいるでしょう。
きれいな先生がいい、かっこいい先生がいい、優しい先生がいいなど、いろいろな希望を持ちますよね。
特に男子生徒の場合、美人の先生がいい、かわいい先生がいい、などと思った人もいるのではないでしょうか。
しかし、どれだけ美人の先生であっても性格がきつかったり、評価が厳しかったりすると担任の先生としては持ちたくないかもしれません。
美人であっても性格がきつい、という場合、「あの先生は一長一短だよ」という言い方ができます。
「一長一短」の例文2
「外食はおいしいけれど体に良くない。一長一短だね」
健康を気にして食事管理をしていると、やはり外食にも気を使うのではないでしょうか。
外食はおいしいですよね。
レストランで食事をするとそれだけでもいつも食べているものと同じメニューが美味しく感じたりするものです。
しかし、レストランでの食事は塩分や油分が多く、だからこそ美味しく感じるということがあります。
お金を出して食事をするにもかかわらず、その食事は多くの場合、決して健康的とは言えません。
もちろん外食は大切ですが、体に良いとは言い切れないという意味で「外食は一長一短」と言えるでしょう。
「一長一短」の例文3
「あの車は性能が良く見た目もかっこいいけれど燃費が悪い、まさに一長一短だ」
新車は常にかっこよく見えるものです。
最近では特に様々な機能がつき、見た目にもこだわった車というものが出来上がりました。
しかし、どれだけ良いクルマであっても燃費が悪いと経済的に負担がありますよね。
どれだけ素晴らしい車だったとしても、やはり燃費は気になるものです。
もしも燃費が悪い場合、「あの車は一長一短」と言われてしまうかもしれません。
いかがでしょうか。
「一長一短」と「一朝一夕」の読み間違いには注意が必要です。
似ているような言葉ですが、意味は全然違います。
四字熟語はビジネスの場でもよく使われますので、意味をしっかりと把握した上で日常的に使えると良いでしょう。
身の回りには「一長一短」のものがたくさんありますから、ぜひこの言葉を利用してみてください。
合わせて「一長一短」の類義語や対義語も使用できると知的に見えますよ。