「可及的速やかに」の意味や読み方!「 簡単に言うとなるはや」?類語や英語、例文を紹介!
ビジネスシーンや行政用語、ニュース報道などで使われる言葉として、「可及的速やかに」という定型的な言葉があります。
「可及的速やかに」とは簡単に言えば、「できるだけ早く・可能な限り早く」という意味になりますが、実際にはどのような場面や状況で使うのでしょうか?
「可及的速やかに」の類語や似た言葉、英語、例文を紹介しながら、「可及的速やかに」の使い方を分かりやすく説明していきます。
目次
- 「可及的速やかに」の意味とは?
- 「可及的速やかに」の類語や似た言葉
- 「可及的速やかに」の正しい使い方
- 「可及的速やかに」の例文
- 「可及的速やかに」の英語表現
- 「可及的速やかに」と「なるはや」は同じ意味
「可及的速やかに」の意味とは?
「可及的速やかに」の意味は、「できるだけ早く・可能な限り早く・なるべく早く」という意味になります。
「可及的速やかに」という言葉は、「可及的」と「速やかに」に分けて考えることができます。
「可及的(かきゅうてき)」という言葉は、後に続く言葉にかかる「副詞」であり、直接的な意味は「及ぶべく・及ぶ限り」になります。
「及ぶべく・及ぶ限り」というのは、「できるだけ・可能な限り・なるべく」という意味合いになってきます。
「速やかに(すみやかに)」はそのまま「早く・速く・迅速に」という意味になります。
そのため、可及的と速やかにを合わせた「可及的速やかに」で、「できるだけ早く・可能な限り早く・なるべく早く」という意味を表すことになるのです。
- 「可及的速やかに」の読み方
- 「火急的速やかに」は間違った表記
「可及的速やかに」の読み方
「可及的速やかに」の読み方は、「かきゅうてきすみやかに」になります。
「火急的速やかに」は間違った表記
「火急」は名詞であり、副詞である「可及」と同じように「火急的速やかに」という使い方をすることはできません。
「可及的速やかにこの問題を解決致します」とすべき表記を、「火急的速やかにこの問題を解決致します」という表記にしている場合は、言葉の使い方が間違っていることになります。
比較的多い言葉の誤用なので気をつけましょう。
「可及的速やかに」の類語や似た言葉
「可及的速やかに」の類語や似た言葉には、以下のようなものがあります。
- 「緊急」【きんきゅう】
- 「至急」【しきゅう 】
- 「差し迫る」【さしせまる】
- 「早急」【そうきゅう】
- 「火急」【かきゅう】
「緊急」【きんきゅう】
「可及的速やかに」の類語・似た言葉として、「緊急(きんきゅう)・喫緊(きっきん)」があります。
緊急の意味は、「重大なことですぐに対応しなければならないこと・重要で即座に対処する必要がある様子や状態」になります。
喫緊の意味は、「差し迫っていて重要なこと・回避することができない重大事が迫っていること」になります。
「至急」【しきゅう 】
「可及的速やかに」の類語・似た言葉として、「至急(しきゅう)・大至急(だいしきゅう)」があります。
「至急」の意味は、「非常に急いでいる様子・大急ぎ」になります。
「大至急」というように至急に大を付けることによって、「これ以上ないくらいに最高に急ぐこと・できるだけ急いでいる状態」というニュアンスを出すことができます。
「差し迫る」【さしせまる】
「可及的速やかに」の類語・似た言葉として、「差し迫った(さしせまった)・切羽詰まった(せっぱつまった)」があります。
差し迫ったの意味は、「事態や期日などが間近に迫っていること・やらなければならないことがすぐそこに迫っている様子」になります。
切羽詰まったの意味は、「ある事態や問題が間近に迫ってどうにもならなくなること・やらなければならないことが迫って身動きが取れない状態」になります。
「切羽(せっぱ)」というのは、日本刀の鍔(つば)の両面に添える薄い楕円形の金物のことで、この部分が詰まると刀を抜けなくなることに由来しています。
切羽が詰まるということは、「何も為す術が無くなること」を意味したのです。
「早急」【そうきゅう】
「可及的速やかに」の類語・似た言葉として、「早急に(そうきゅうに)・速急に(そっきゅうに)」があります。
「早急に」の読み方は、「そうきゅうに」でも「さっきゅうに」でもどちらでもOKです。
早急にの意味は、「非常に急いでいること・とても急いでいる様子」になります。
速急にの意味も同じく「非常に急いでいること・大急ぎしている様子」になります。
「火急」【かきゅう】
「可及的速やかに」の類語・似た言葉として、「火急(かきゅう)」があります。
火急とは、「火が付いたほどに急いでいる状態・火の付いたほどに差し迫った様子(緊急)」という意味です。
火急の例文として、「火急の用事があるので、今すぐに帰ってきて下さい」「この人生の重要な選択をどうするかが火急の問題なのです」などがあります。
「可及的速やかに」の正しい使い方
「可及的速やかに」はビジネス用語・行政用語・法律的言語として使用されることが多く、「公的・堅い・丁寧な・厳格な・畏まったなどのイメージ」を持っています。
「可及的速やかに」の正しい使い方として、「自分・自社」を主語として「自分ができるだけ早くすること(=自分ができるだけ早くしなければならないと考えていること)」を修飾する形で使うということがあります。
つまり、「可及的速やかにご連絡致します」という使い方は正しいのですが、「可及的速やかに連絡して下さい」という使い方は完全な間違いではないものの、相手を圧迫して急がせるニュアンスが出るので基本的には使わない方が良いでしょう。
「可及的速やかに」は、「自分・自社ができるだけ急いで対応しなければならないこと」に対して使うというのが基本になってきます。
「可及的速やかに」は「誰かを急がせるお願い」として使うのではなく、「自分が何かを依頼された時の返事」として使うようにしましょう。
- 「可及的速やかに」は丁寧・公式な表現なので目上の人に使っても良い
- 目上の人に「可及的速やかに」を使う時には「敬語表現」を加えると印象がアップします
「可及的速やかに」は丁寧・公式な表現なので目上の人に使っても良い
「可及的速やかに」は丁寧なニュアンスのある公式な表現なので、「目上の人・顧客(取引先)」に使用しても問題ありません。
「可及的速やかに」は「できるだけ急いで・なるべく早く・できるだけ早く」などの丁寧な言い方なのですが、「相手のすること」ではなく「自分のすること」に対して使うというのが正しい使い方の基本になってきます。
特に、目上の人に対して用いる場合には、「可及的速やかに連絡して下さい」「可及的速やかに対処して下さい」というような目上の人を急がせて圧迫するようなニュアンスの使い方はやめておいた方が無難でしょう。
「可及的速やかに対処(解決)して下さい」というような使い方をすると、間接的に目上の人に対して指示・命令を出しているような感じで解釈される恐れもあります。
目上の人に「可及的速やかに」を使う時には「敬語表現」を加えると印象がアップします
目上の人に対して「可及的速やかに」を使う時には、「可及的速やかに連絡します」よりも「可及的速やかに連絡させて頂きます」という表現にした方が、目上の人に対する敬意・尊重の気持ちを伝えやすくなります。
目上の人に「可及的速やかに」を使う時には、「〜させて頂きますの敬語表現」を加えることで、相手に与える印象(信頼感・好感度)がアップするということを覚えておきましょう。
「可及的速やかに」の例文
「可及的速やかに」の正しい使い方を踏まえた例文としては以下のようなものがあります。
- 「可及的速やかに」の例文1
- 「可及的速やかに」の例文2
- 「可及的速やかに」の例文3
「可及的速やかに」の例文1
「可及的速やかに」の例文として、「社内の意見がまとまり次第、可及的速やかにご連絡を差し上げます」という例文があります。
「可及的速やかに」の正しい使い方としては、「自分・自社」を主語にする必要があります。
「可及的速やかにご連絡を差し上げます(可及的速やかにご連絡致します)」というのは、ビジネス用語・行政用語としてもっともポピュラーな言い回しの一つになっています。
「可及的速やかに」の例文2
「可及的速やかに」の例文として、「先日話し合った案件については、可及的速やかに処理致します」という例文を上げることができます。
「可及的速やかに」の正しい使い方としては、「相手・他社」を無理に急がせるのではなく、「自分・自社」を主語にして自分が急ぐという意味合いにする必要があります。
「可及的速やかに処理致します」という言い回しは、もっとも自然な使いやすい言い回しの一つと言えるでしょう。
「可及的速やかに」の例文3
「可及的速やかに」の例文として、「直接会ってお話したい内容がございますので、可及的速やかに訪問させて頂きます」という例文を上げることができます。
「可及的速やかに」の正しい使い方では「自分・自社」を主語にして、自分のほうができる限り急ぐという意味合いを出す必要があります。
「可及的速やかに訪問させて頂きます」という言い回しを使うことによって、自分(自社)の側が「相手のためにできるだけ急いでいる+他社のために可能な限り急いでいる」という誠実さ・真剣さをアピールしやすくなります。
「可及的速やかに」の英語表現
「可及的速やか」のもっともポピュラーな英語表現は、“as soon as possible”(できるだけ早く・可能な限り早く)になります。
“as soon as possible”を省略した表記である“ASAP”も、一般的な日常のビジネスメールなどでよく使われている英語表現になります。
より公式性の強い畏まった感じの英語の契約書では、“as promptly as possible、as soon as practicable、as expeditiously as practicable”といった難しい単語を用いた英語表現が使われることが多くなってきます。
“as promptly as possible、as soon as practicable、as expeditiously as practicable”は英単語こそ難易度が高いのですが、“as soon as possible”(できるだけ早く・可能な限り早く)と同じ意味を持つ英文として解釈できます。
“promptly”は「敏速に・即座に」、“expeditiously”は「迅速に・素早い」、“practicable”は「実行(実践)することができる」という意味を持っていて、“soon”(早く)よりもやや畏まった公的なニュアンスのある英単語になっています。
「可及的速やかに」と「なるはや」は同じ意味
「可及的速やかに」とほぼ同じ意味を持っている言葉として「なるはや(なる早)」があります。
「なるはや(なる早)」は「なるべく早く」を略した俗語であり、社内の近しい同僚とのビジネスメールなどで使うことがあります。
しかし、公式の畏まった丁寧な印象はないので「他社の人・目上の人・顧客・取引先」には使わないほうが無難でしょう。
「なるはや」には軽い感じ、柔らかいニュアンスがあるので、社内で上司が部下に指示を出すメールで、「この書類をなるはやで仕上げてね」と書くのはOKなのです。
一方、他社の相手に対して「この契約者をなるはやで裁可して下さい」と書くのは、表現が砕けすぎていて失礼な言い回しとして受け取られてしまう恐れがあります。
「可及的速やかに」の読み方は「かきゅうてきすみやかに」で、その意味は「できるだけ早く・可能な限り早く・なるべく早く」になります。
「可及的速やかに」は畏まった感じがあるビジネス用語・行政用語として使われることの多い言葉ですが、「自分・自社」を主語にして相手を急がせないというのが、失礼のない正しい使い方とされています。
「可及的速やかに」の類語・似た言葉として、「緊急・喫緊・至急・早急に・速急に・差し迫った・切羽詰まった・火急」を紹介しました。
「可及的速やかに」の言葉について、詳しく調べたい時にはこの記事を参考にしてみて下さい。