「苦情」の意味とは「苦情」と「要望」「文句」の違い・類語・英語・対義語
この「苦情」は、似た言葉と意味を間違えられることが多いので、その点に注意して使って欲しい言葉です。
目次
- 「苦情」の意味とは?
- 「苦情」の読み方?
- 「苦情」の英語(解釈)
- 「苦情」と「要望」の違い
- 「苦情」の言葉の使い方
- 「苦情」を使った言葉・慣用句や熟語・関連(意味・解釈)
- 「苦情」を使った例文や短文など(意味を解釈)
- 「苦情」の類語や類義表現(シソーラス)
- 「苦情」と「文句」の違い
「苦情」の意味とは?
苦情とは、「被った不利益を表に出す」ことです。
原則的に、自分側にはその理由や原因がない(と思っている)時に使う言葉で、そうではない時には、下記で挙げるそれらの場合に相当する類語の方を使ってください。
はっきりと「苦情」だと言える場合には、自信をもってそう伝えるべきでしょう。
ただし、あまり行き過ぎてしまうと「言い掛かり」だと思われてしまうこともあるので、下手な誇張はやめておきましょう。
「苦情」の読み方?
「苦情」は、「くじょう」と読んでください。
不利益によって「苦」しいことを、「情」報として表すと考えると、言葉としての意味が見えてきます。
読み方として特に問題のある言葉ではないので、初めて見ても、その場できちんと発音できるでしょう。
「苦情」の英語(解釈)
苦情は、英語では“complaint”とするのが近い表現です。
“claim”(クレーム)ではないかと思われているかも知れませんが、英語でその“claim”は、「強く伝える」という意味になり、カタカナ語として使う時とは意味が違うので注意してください。
この「クレーム」については、類語として後で詳しく解説します。
そして、この“complaint”は「苦情」というだけでなく、その「クレーム」という意味でも使える言葉で、日本語の「苦情」にそのまま相当する言葉ではありません。
しかし、「苦情」そのものの意味の言葉が英語には存在しないので、“complaint”で代用すると考えておきましょう。
よって、「苦情」の意味で使うには、前後の文脈が大切になります。
「苦情」と「要望」の違い
「要望」とは、要は「お願い」のことです。
特に不利益を被ったという訳ではなくても使える言葉なので、そこが「苦情」との一番の違いです。
「お願い」を堅い表現にしたものがこの「要望」だと考えてください。
「苦情」は、被った何らかの不利益に対し、その内容を伝える為に使う言葉です。
「苦情」の言葉の使い方
「苦情」と使うのは、自分側に非はない(少なくとも相手よりはそれが少ないと考えている)状態で、受けた不利益への何らかの対応を求める時です。
明らかに自分側に非があると思う時に使う言葉ではなく、その可能性があると思う時にも使わない方が無難です。
「苦情」は、本来の意味の通り、正当な主張だと思う場合にのみ使ってください。
「苦情」を使った言葉・慣用句や熟語・関連(意味・解釈)
苦情の色々での形での表現です。
それぞれ「苦情」を伝える「度合い」が違うと考えていいでしょう。
- 「苦情を訴える」
- 「苦情を入れる」
- 「苦情を申し立てる」
「苦情を訴える」
大々的に「苦情」を伝えたい時に用いられる表現です。
「施工会社にマンションの欠陥の苦情を訴える」といった形になり、比較的大きな不利益があった時に使うことが多いと考えてください。
大勢で同じ「苦情」を伝えるという場合にもよく使われます。
「苦情を入れる」
「苦情」をその理由や原因となった相手に伝える時に使う形です。
大騒ぎするようなこともなく、ごく普通に伝えることだと考えてください。
少し勢い(強く)よく伝える時には、上の「苦情を訴える」という表現の方が合っています。
ただし、強く伝えればいいというものでもないので(それによって、相手が逆に対応してくれなくなることも考えられるので)、そこは難しいところです。
「苦情を申し立てる」
正式に「苦情」を提出することだと考えてください。
主に文章によって提出する時に使う表現で、場合によっては訴訟をして起こすような時にも使える表現です。
上の「苦情を訴える」と比較すると、表現こそおとなしめですが、内容的には一番凄みがあると考えていいでしょう。
「苦情」を使った例文や短文など(意味を解釈)
苦情を使った例文や短文です。
これに対してどのような対応がされるかは、残念ながら相手次第なところが大きいと言えるでしょう。
- 「苦情」を使った例文1
- 「苦情」を使った例文2
「苦情」を使った例文1
「あれだけ苦情を入れたのに、全く対応する気がないようだ」
「苦情」は、それが誰が見ても正しい内容だったとしても、それに対して対応がなされるかどうかは相手次第です。
どのような対応になるかどうかも相手次第なので、その点では先の「要望」と似た点があるかも知れませんが、正当にこの「苦情」と言える内容を伝えているのであれば、決して泣き寝入りする必要はありません。
「苦情」を使った例文2
「苦情への素早い対応こそ、顧客へのサービスにおいて一番大切だ」
正当な「苦情」であれば、それに何らかの対応をするのはもちろんのことで、その内容もそうですが、何より対応の「早さ」が求められます。
顧客満足度の高い企業は、特にこれに優れていることがほとんどです。
「苦情」の類語や類義表現(シソーラス)
苦情と似た意味の言葉や表現です。
自分には非がない時に使う「苦情」との違いを覚えておきましょう。
- 「クレーム」【くれーむ】
- 「陳情」【ちんじょう】
「クレーム」【くれーむ】
「苦情」とこの「クレーム」は似たようなもの、または同じものだと考えられていることが少なくありませんが、実はかなり意味の違う言葉です(あくまで、カタカナ語としての解釈です)。
「クレーム」とは、「理不尽な内容の苦情」を指して使う言葉で、伝えた側が悪いという場合がほとんどです。
その為、自ら「クレームを入れた」などと使ってしまうのは間違いで、それが正当なものであるなら「苦情」と使うべきです。
この「クレーム」は、それを伝えられた側が、明らかに理不尽な内容だ(相手の方が悪い)と判断した場合に、「クレームが入った」などと使う言葉です。
尚、最初から理不尽な内容だと分かって伝える場合はこの限りではありません。
「陳情」【ちんじょう】
この「陳情」とは、上で挙げた「要望」に近い意味の言葉です。
主に「困っていることを表に出して伝える」時に使う言葉で、使う相手は基本的に自分側より立場が上の人や団体、組織などになります。
例として、「地元の政治家に空き家の危険性を陳情した」などといった使い方になります。
「苦情」と「文句」の違い
「文句」は、自分側に非がある(と分かっている)時にも使う言葉です。
上の「クレーム」に近い表現で、「苦情」の代わりに使えなくもありませんが、正当な申し出だと思うのであれば、やはり「苦情」の方がいいでしょう。
また、特に不利益を受けたという場合でなくても使える言葉で、そのようなものはただの「言い掛かり」と同じです。
広く使える言葉ですが、あまりいい印象はなく、「苦情」と使える時にはそちらを使った方がいいのは言うまでもありません。
苦情は、「クレーム」や「文句」とは違い、正当な意見や要望です。
堂々とそれだと言えるのであれば、これを伝えるのに何も遠慮することはありません。