「悪事千里を走る」とは?意味・読み方・類語・英語【使い方や例文】
「悪事千里を走る」という言葉がありますが、中々日常会話で使うのは難しいものです。
正しい意味を使い方を知っておきましょう。
目次
- 「悪事千里を走る」の意味とは?
- 「悪事千里を走る」の読み方
- 「悪事千里を走る」の英語(解釈)
- 「悪事千里を走る」の語源や由来
- 「悪事千里を走る」の言葉の使い方
- 「悪事千里を走る」を使った例文・短文(解釈)
- 「悪事千里を走る」の反対の意味のことわざ
- 「悪事千里を走る」の類語や類義の表現
「悪事千里を走る」の意味とは?
「悪事千里を走る」の意味と背景について紹介します。
- 「悪事千里を走る」の意味
- 「悪事千里を走る」と言われる背景
「悪事千里を走る」の意味
「悪事千里を走る」の意味は、「悪い行いはあっという間に世間に知れ渡る」ということです。
仕事でミスをしたり、恋人にフラれたりすると、人には知られたくないと思うものです。
ところが翌日には会社中、友達の全部が知っていて、何となく態度がよそよそしかったり、仲間外れにされたりすることもあるのです。
この様な状態を「悪事千里を走る」といい、悪い行動や噂はあっという間に津々浦々まで広まってしまった時に使います。
日本では「1里=約4キロ」とされていて、「千里=4千キロ」になります。
昔は当然インターネットなどなく、交通手段も限られていたので、4千キロというのは非常に遠くを意味しています。
実際に4千キロ広まるのではなく、それ位遠くまで噂が届くという意味で使われています。
「悪事千里を走る」と言われる背景
何故悪い噂は早く広まってしまうのかとうのは、元々人が他人の噂話が好きで、特に人の不幸やスキャンダルに対して関心を持つからです。
人に対して「ここだけの話」と言うと、自分が優越感を得られる気がしてつい噂話をしてしまうのです。
この諺は「悪いことをするとあっという間に知れ渡ってしまうので、そもそも悪いことをしない様に気を付けるべき」という教訓も意味しています。
「悪事千里を走る」の読み方
「悪事千里を走る」は「あくじせんりをはしる」と読みます。
「悪事千里を行く」と言う人もいますが、こちらは由来となる原文そのままで、一般的には「走る」と言います。
「悪事千里を走る」の英語(解釈)
「悪事千里を走る」の英語訳は以下の2つがあります。
- “Bad news travels fast.”
- “Ill news comes too soon.”
“Bad news travels fast.”
「悪い噂は早く伝わる」という意味で、日本語と同じ諺であり定型文として使われます。
「悪事千里を走る」の英語訳として最も良く使われています。
“Ill news comes too soon.”
「悪い知らせはすぐにやって来る」という意味で、悪い噂の受け手側から見た内容です。
「悪事千里を走る」の語源や由来
「悪事千里を走る」の由来は、中国の宋時代の書物である「北夢?言(ほくぼうさげん)」の中の一節からきています。
「好事門を出でず、悪事千里を行く」という文で、「良いことは中々世間に伝わらないが、悪い行いは千里の道のりでも超えて伝わる」という意味です。
この文が日本に伝わり、「悪事千里を走る」として使われる様になりました。
「悪事千里を走る」の言葉の使い方
「悪事千里を走る」の使い方には以下のポイントがあります。
- 定型文として使う
- 悪事の内容について
- 人に対して使わないこと
定型文として使う
「悪事千里を走る」は諺なので、普通は変化させずにそのまま使います。
余程カジュアルな文でない限りは動詞を変化させて「走らない」「走った」とは使いません。
悪事の内容について
「悪事千里を走る」を使う場合、「悪事」の具体例は以下の2つです。
ひとつ目は「道徳や法律に背いた悪い行い」であり、人をだましたり、違法な行為や非常識な行為のことです。
ふたつ目は「自分の身に振りかかった災難」で、事故や仕事上のトラブル、そして恋愛トラブルなどがあります。
ふたつ目の場合、自分が悪くなくても「悪い噂」として流れてしまいますので注意が必要です。
人に対して使わないこと
「悪事千里を走る」は、「悪い噂があっという間に広まること」ですので、噂の本人に対して使うと悪い噂が流れていると教えることになり、傷つけてしまう可能性があります。
本人のいない場所で、話すべき人かを選んで使う様にしましょう。
「悪事千里を走る」を使った例文・短文(解釈)
「悪事千里を走る」を使った例文と解釈を紹介します。
- 「悪事千里を走る」の例文1
- 「悪事千里を走る」の例文2
- 「悪事千里を走る」の例文3
「悪事千里を走る」の例文1
「彼女の不倫は悪事千里を走るで既に会社中に広まっている」
社内不倫はバレると本人達が会社に居づらくなってしまうので、絶対にバレない様にする必要があります。
ところがバレる時には早く、一人に知られると翌日には会社中に広まってしまうものです。
それだけ人のスキャンダルに対して興味を持つ人達が多いことが伝わります。
「悪事千里を走る」の例文2
「ちょっとパワハラをするとすぐに社内に広まってしまう、悪事千里を走るだ」
最近では会社もセクハラやパワハラに厳しくなっています。
軽い気持ちで「だから君はダメなんだ」などと言うと、パワハラとしてすぐに社内に噂が流れてしまいます。
管理職への抑止力になるので、部下にとっては良い意味を表しています。
「悪事千里を走る」の例文3
「政治家のスキャンダルは悪事千里を走るであっという間に広まる」
政治家がスキャンダルを起こすと何故かすぐに音声や動画が公開されて、世間中に広まってしまいます。
ネットの力は恐ろしく、世論に押されて数日中に退任する羽目になることもしばしばです。
「悪事千里を走る」の反対の意味のことわざ
「悪事千里を走る」の反対の意味の諺は「好事門を出でず(こうじもんをいでず)」です。
こちらは語源・由来の章で紹介した「北夢?言(ほくぼうさげん)」で「悪事千里を走る」の前にある文です。
意味は「よい行いはなかなか世間に伝わらない」ということです。
「好事門を出でず、悪事千里を行く」とセットで使われることもあります。
「悪事千里を走る」の類語や類義の表現
「悪事千里を走る」の類語は以下の通りです。
- 「人の口に戸は立てられぬ」【ひとのくちにとはたてられぬ】
- 「悪い知らせは翼を持つ」【わるいしらせはつばさをもつ】
- 「隠すこと千里」【かくすことせんり】
「人の口に戸は立てられぬ」【ひとのくちにとはたてられぬ】
人の噂話はすぐに広がってしまい、戸を閉める様に防ぐことはできないという意味です。
人がいかに噂話が好きで、「ここだけの話」と言いながら次々と伝えていく様子を表しています。
「悪い知らせは翼を持つ」【わるいしらせはつばさをもつ】
悪い噂や知らせは、まるで翼が生えて飛んでいく様にすぐに遠くまで広まっていくという意味です。
インターネットがない時代でもこの様に言われていました。
「隠すこと千里」【かくすことせんり】
隠し事をしようとする程遠くの人にまで知れ渡ってしまうという意味です。
ここでも非常に遠いという意味で「千里」が使われています。
「悪事千里を走る」は、悪いことをしない様にとの戒めの意味を持つ言葉です。
この言葉を思い浮かべながら暮らしていれば、思わぬ噂が広まり辛い思いをしなくて済むでしょう。