「感嘆」の意味とは?類語、使い方や例文を紹介!
良いものに出会った時の喜びは言葉にできないものです。
何といっていいかわからないけれども、とにかく気持ちを出さずにはいられない。
「感嘆」はそうした状態をあらわす言葉のひとつです。
目次
- 「感嘆」の意味とは?
- 「感嘆」の類語や言い換え・似た言葉
- 「感嘆」の言葉の使い方
- 「感嘆」を使った例文
- 「感嘆」の英語
- 「感嘆」を使ったその他の言葉
「感嘆」の意味とは?
「感嘆」は大きく二つの意味を持ちます。
まずは「褒めること」。
具体的に何がどう、と言葉で説明されたものでも、意味のないつぶやきやため息でも、区別なくどんな場合でも用いることができます。
もうひとつは、「悲しみ嘆くこと」。
「嘆」の字だけで改めて考えれば、こちらの方が適切な意味にも思えますが、実際はほとんど使われることのない用法です。
- 「感嘆」の読み方
「感嘆」の読み方
「かんたん」と読みます。
感のその他の読みには感ける(かまける)があり、嘆は嘆く(なげく)と訓読みをします。
感にも嘆にも共通しているのは、「何かに触れて心が動かされる」という意味が含まれている点です。
「感嘆」の類語や言い換え・似た言葉
- 「賛嘆・嘆美・嗟嘆」【さんたん・たんび・さたん】
- 「賞玩」【しょうがん】
- 「三嘆」【さんたん】
- 「褒めちぎる」【ほめちぎる】
- 「礼賛、頌美」【らいさん、しょうび】
- 「敬服、感服」【けいふく、かんぷく】
- 「瞠目」【みはる】
「賛嘆・嘆美・嗟嘆」【さんたん・たんび・さたん】
主な意味が「対象をたたえること」である性質上、その類語は数限りなく存在します。
本項では代表的なものをいくつか列挙するに留めますが、同様の意味を持つ言葉としてはまず「賛嘆」や「嘆美」「嗟嘆」があります。
賛嘆はその字の通り賞賛すること。
嘆美は美術品や自然、芸能などの美しい対象物に限るような印象を受けますが、特にそういった縛りはなく「褒め称える」意味で用いて問題ないようです。
嗟嘆(さたん)の「嗟」は「咄嗟」などに見られる語です。
これはこのままではあまり意味をなさない「感心(ほう、うむなど)」や「嘆き(ああ、など)」「呼びかけ(おお、など)」といった発声一般を表す補助の役割を担っています。
同じような語が二つ連なっていて、一見「嘆く」の意味しかなさそうに思えますが、この一言で「感嘆」と同じ使い方ができます。
「賞玩」【しょうがん】
誉めそやし、もてはやすことに変わりはありませんが、対象が美術品などの「物」に特に限定される言葉です。
「玩」は「玩具」に代表されるように「もてあそぶ」意味を持ちますが、それとは別に「じっくりと味わう」
賞味、鑑賞などともいい、その物のよさを(時に専門知識を交えながら)感じ、楽しむ際にこういいます。
「三嘆」【さんたん】
賛嘆と読みが同じなので、会話で出てくると間違えそうな気もします。
「一唱三嘆」とすると「詩吟において、一人に合わせて、他の者もうたうこと」という意味でも用いられますが、単に「三嘆」というと「心から素晴らしいと感じ、何度も褒めること」を指します。
褒めている間にも次々と美点があらわになっていくので、二度、三度と賞賛してしまう・・・という心理を面白く表現した言葉といえます。
「褒めちぎる」【ほめちぎる】
単に褒めるだけでなく、最上級と思われる褒め方をすることを褒めちぎるといいます。
ちぎるは漢字で書けば「千切る」ですが、「手や道具でむしり、ばらばらにする」意味で一般的に認識されているこの言葉が、「褒める」と合わさると「極める」の意味になるのかについては、これといった由来が見つかりません。
現代でも「褒め倒す」などというように、「ほめてほめてほめまくる」という強調の意味にすぎないようです。
あるいは「幾千もの美辞麗句」というイメージから生まれた言葉なのかもしれません。
「礼賛、頌美」【らいさん、しょうび】
礼賛は「らいさん」と読み、考察しながらしみじみと褒めることをいいますが、元は仏語であったことから、特に対象の人、ものを「崇めたてまつる」場合にも用いられます。
谷崎潤一郎の「陰翳礼賛」は義務教育の教科書にもしばしば載るので、ここで「礼賛」の意味と読みを覚えた方も多いのではないでしょうか。
頌美(しょうび)の「頌」には(特に、功徳を)「賞する」という意味があり、この他にも「頌徳」「頌歌」「頌辞」と様々な言葉があります。
「敬服、感服」【けいふく、かんぷく】
相手を賞賛する際に、特におそれうやまう気持ちが強いのであればこれらの言葉が適切です。
「服」には「受け入れる」という意味がありますので「敬い受け入れる」「感心して受け入れる」という言葉だとわかります。
「瞠目」【みはる】
目を瞠る(みはる)というその字の通り、あまりの素晴らしさに目が離せないといった場合に「瞠目(どうもく)する」といいます。
感嘆が主に、人間の器官の喉によっているのに対し、瞠目は目にもとづいた言葉です。
「感嘆」の言葉の使い方
「嘆」の字が含まれるとはいえ、やはり日常では「賞賛」の意味で使う場合がほとんどでしょう。
美しい風景や、高所からの見晴らしに圧倒される。
スポーツ選手の素晴らしい動きに感心する。
そういったものを目の当たりにし、思わず声が漏れるのを「感嘆する」といいます。
但し、「褒める」行為自体が相手を下に見ている、という向きも若干ありますので、目上の相手にはへりくだって「感服いたしました」「敬服いたします」などと言い換えた方が無難です。
「感嘆」を使った例文
- 「感嘆」の例文1
- 「感嘆」の例文2
- 「感嘆」の例文3
「感嘆」の例文1
「現代はあらゆる分野で技術が発展しているはずだが、それでも一朝一夕では身に付かない匠の世界、例えば江戸時代の刀工の手になる銘刀などは、目の当たりにすれば感嘆の声を漏らさずにはいられない」
「感嘆」の例文2
「天才と呼ばれたあの数学者は、幼ない頃から面倒な計算式を一瞬で解く方法を編み出し周囲を感嘆させたなど、逸話に事欠かない」
「感嘆」の例文3
「観戦している客でさえ諦めるような点差でも懸命に走り続け、遂に逆転に成功したチームに対し、球場全体に敵味方関係ない感嘆のどよめきが響き渡った」
「感嘆」の英語
直接の対訳としては“admiration”(“admirable”の名詞形)があります。
主な意味は「殊勝なもの、賞賛に値するもの、素敵なもの」といったもので、“haveadmiration”などとすることで「賞賛する」となります。
その他、日本でもよく知られた「驚嘆」を意味する外来語「アメージング」の動詞形“amaze”も、似たような使い方ができます。
「感嘆」を使ったその他の言葉
- 感嘆詞
- 感嘆符
- 感嘆の声、感嘆のため息
- 感嘆のまなざし
- 感嘆の渦
感嘆詞
一語で感情その他を表すことのできる言葉で、活用をせず修飾語がつくこともありません。
「やあ凄い」の「やあ」など、褒める意味だけでなく、「おーい」「いざ」などの
呼びかけ、「おう」「うむ」などの応答、「よいしょ」などの掛け声なども感嘆詞に含まれ、これらは一般に「間投詞」とも呼ばれます。
感嘆符
「!」(エクスクラメーション・マーク)のことを日本ではこう呼びます。
ほぼ万国共通で、使い方に多少の差異はあるものの、同じ意味として読み取ることができます。
日本においては、「?」などと同様、この言葉が文末に来る場合は句点が不要になります(「これはすごい催し物だ!」など)。
感嘆の声、感嘆のため息
感嘆は「これはこの部分がすごい」などと具体的な言葉を使わなくとも、「わー」とか「ほー」など口から自然に漏れ出る音でも成り立つことは、感嘆詞の項で述べた通りです。
むしろ、意味を成さないそれらの方が、言葉にならない感動でうっとりとしている様子を表すのにはふさわしいともいえます。
感嘆のまなざし
感嘆は声に出さずとも、敬意をはらんだ目線を送る際にも使われます。
元の漢字の意味に関わらず、この一語で「感心する、感じ入る」ことを表せるので、いわば相手に伝わる仕草であれば、何でも「感嘆している」といってよいということです。
感嘆の渦
スポーツの試合中、劇場での公演中など、大多数の者が同じものに感動している時、目には見えない巨大な意思の力がまるで渦を巻いているかのように感じることがあり、テレビや録音にはないいわゆる「ライブ」の醍醐味の一つになっています。
似たような言い回しに、興奮の坩堝(るつぼ)といったものもあります。
非常に多彩な表現、言い換えのできる言葉ですので、たくさん覚えておけば通り一遍倒の褒め方から脱却でき、相手からの印象も良くなるのではないでしょうか。
甘やかすのも考え物ですが、文化においては基本的に、欠点をあげつらうよりは美点を取り上げた方がより発展につながり、人の心も豊かになります。
同時に素直に喜び、楽しめるような心を常に持っておきたいものです。