「二律背反」とは?意味や使い方!例文や解釈
「二律背反」とは、「同等の妥当性を持っているのに両立できない矛盾する二つの命題間の関係・アンチノミー」を意味する論理学の言葉です。
「二律背反」の「意味・読み方・分解した解釈・使い方・類語(シソーラス)や言い換え・例文と解釈・英語と解釈」などについて、詳しく説明していきます。
目次
- 「二律背反」とは?
- 「二律背反」の表現の使い方
- 「二律背反」の類語や類似表現や言い換え
- 「二律背反」を使った例文や短文など(意味を解釈)
- 「二律背反」の具体的な例の解釈
- 「二律背反」の英語と解釈
「二律背反」とは?
「二律背反」という哲学・論理学で使われる言葉は、「同等の妥当性・根拠を持っているのに両立できない矛盾する二つの命題間の関係」を意味しています。
「二律背反」は、「アンチノミー(antinomy)」と呼ばれることもあります。
「二律背反」というのは、「相互に矛盾したり対立したりする二つの命題・その二つの命題の矛盾した対立関係」を意味しているカント哲学や論理学で使われてきた言葉なのです。
「二律背反する二つの命題・主張」のことを、「テーゼ(命題・定立)」と「アンチテーゼ(反命題・反定立)」といいますが、二律背反しているそれぞれの命題にはどちらにも妥当性(有効な根拠・基礎づけ)があるため、どちらかの命題だけが正しいとは言えないのです。
- 「二律背反」の読み方
- 「二律背反」を分解して解釈
「二律背反」の読み方
「二律背反」の読み方は、「にりつはいはん」になります。
「二律背反」を分解して解釈
「二律背反」という言葉を「二律」と「背反」に分解して、それぞれの意味を解釈していきます。
「二律」という言葉は、「二つの命題(論理的に意味のある二つの文章)・二つの主張」を意味しています。
「背反」という言葉は、「二つのものが相容れず両立しないこと・食い違うこと」や「守るべきものに背いて反していること」を意味しています。
「背反」は、哲学・論理学では「二つの命題が理論的に両立しないこと」を意味します。
「二律+背反=二律背反」で、「二つの命題・主張(考え方)が相容れずに矛盾・対立していること」や「二つの命題・物事が論理的にも事実的にも両立しないこと」を意味しているのです。
「二律背反」の表現の使い方
「二律背反」の表現の使い方は、「二つの命題(論理的に意味のある文章)があって、矛盾・対立している場合」に使うという使い方になります。
「二律背反」というのは、「同等の妥当性・根拠(基礎づけ)を持っているのに両立できない矛盾(対立)する二つの命題間の関係」を意味して使われる言葉ですが、「両立することのできない二つの物事・事柄・関係」といった日常的な意味でも使われています。
例えば、「就職してすぐにお金を稼ぐこと、進学してより良い就職先を得る可能性をつかむことは、私にとって二律背反の迷いになっていました」といった文章において、「二律背反」の言葉を正しく使用することができるのです。
「二律背反」の類語や類似表現や言い換え
「二律背反」の類語・類似表現・言い換えについて、分かりやすく解説していきます。
- 「アンチノミー」
- 「トレードオフ」
- 「辻褄が合わない・矛盾している」
「アンチノミー」
「二律背反」の類語・言い換えとして、“antinomy”(アンチノミー)があります。
「二律背反」というのは、「哲学・論理学において相互に矛盾・対立している二つの命題の関係を示すアンチノミー」を意味しています。
そのため、「二律背反」という哲学・論理学の用語を語源とする表現は、そのまま「アンチノミー」という専門的な表現に言い換えられるのです。
「トレードオフ」
「二律背反」の類似表現・言い換えとして、「トレードオフ」があります。
「トレードオフ」という言葉は、「一つの物事(対象)を選べば、もう一つの物事(対象)を選ぶことはできないという二つの物事の両立不可能性」を意味しています。
その意味合いから、相互に矛盾・対立する二つの命題を意味する「二律背反」と良く似た意味を持つ類似表現として、「トレードオフ」の表現を指摘できるのです。
「辻褄が合わない・矛盾している」
「二律背反」の類語・言い換えとして、「辻褄が合わない(つじつまがあわない)・矛盾している」があります。
「二律背反」というのは、「二つの命題・物事が矛盾していて辻褄が合わないこと」を意味しています。
「辻褄が合わない」という言葉は、「前後の話が矛盾していること・二つの物事が折り合わないこと」を意味しています。
それらの意味合いから、「二律背反」の表現は「辻褄が合わない・矛盾している」という表現に言い換えることが可能なのです。
「二律背反」を使った例文や短文など(意味を解釈)
「二律背反」を使った例文・短文などを紹介して、その意味を解釈していきます。
- 「二律背反」を使った例文1
- 「二律背反」を使った例文2
「二律背反」を使った例文1
「仕事を選ぶべきか彼との結婚を選ぶべきか、私は二律背反の苦悩に陥ってしまい、なかなか選択ができずにいました。」
この「二律背反」を使った例文は、「仕事を選ぶべきか彼との結婚を選ぶべきか、私は矛盾(対立)する二つの選択肢・命題の間で苦悩に陥ってしまい、なかなか選択ができずにいた」ということを意味しています。
「二律背反」を使った例文2
「論理学において二律背反は人間の理性の限界として注目されてきましたが、実際の生活・人間関係でも二律背反の事象はよく起こるのです。」
この「二律背反」を使った例文は、「論理学において論理的に矛盾・対立する二つの命題が存在することは、人間の理性の限界として注目されてきたが、実際の生活・人間関係でも相容れることのない(どちらか一方を選ぶしかない)矛盾・対立した二つの事象はよく起こる」ということを意味しています。
「二律背反」の具体的な例の解釈
「二律背反」の具体的な例は、カント哲学では「人間の理性」が「経験の限界」を超えて無制約者を求める時に生じるとされました。
例えば、「世界(宇宙)は有限である」と「世界(宇宙)は無限である」はそれぞれの命題に妥当性がありますが、経験の限界を超えた両立しない二律背反になっています。
「神(超越者)は存在する-神(超越者)は存在しない」や「自由意思は存在する-すべては必然(運命)である」も代表的な哲学上の二律背反になります。
もっと日常的な二律背反としては、「堅実な生活のために正社員で働くべき」と「夢を実現する時間が欲しいので今はバイト(短時間労働)にすべき」、「犯罪をした友人を警察に通報すべき」と「犯罪をしても友人は守るべき」なども二律背反の事例と言えるでしょう。
「二律背反」の英語と解釈
「二律背反」の英語は、“antinomy”(二律背反)や“trade-off”(トレードオフ・あるものを手に入れるために別のものを犠牲にする必要があり両立しないこと)で書き表すことができます。
- “Antinomy was originally a logic term.”
“Antinomy was originally a logic term.”
この「二律背反」を用いた英語の例文は、「二律背反は、元々は論理学の用語でした」ということを意味しています。
「二律背反」という言葉について徹底的に解説しましたが、「二律背反」には「同等の妥当性を持っているのに両立できない矛盾する二つの命題間の関係・アンチノミー」などの意味があります。
「二律背反」の類語(シソーラス)・言い換えとしては、「アンチノミー」「トレードオフ」「辻褄が合わない・矛盾している」などがあります。
「二律背反」という言葉について詳しく調べたい時は、この記事を参考にしてみて下さい。