「有情非情」とは?意味や使い方!例文や解釈
「有情非情」とは、「感情・意識などの心の働きを持つ動物(生き物)と心の働きを持たないもの」を意味する仏教用語です。
「有情非情」の「意味・読み方・分解した解釈・使い方・類語(シソーラス)や言い換え・例文と解釈・英語と解釈」などについて、詳しく説明していきます。
目次
- 「有情非情」とは?
- 「有情非情」の表現の使い方
- 「有情非情」の類語や類似表現や言い換え
- 「有情非情」を使った例文や短文など(意味を解釈)
- 仏教用語としての「有情非情」と「山川草木悉皆成仏」の説明
- 「有情非情」の英語と解釈
「有情非情」とは?
「有情非情」という言葉は、「感情・意識などの心の働きを持つ動物(生き物)と心の働きを持たないもの」や「心(感情)があるものと心(感情)がないものを合わせた全ての存在」を意味する仏教用語です。
「有情非情」とは、厳密には「有情=生き物+非情=非生物」を意味しているわけではなく、「心・感情を持たないとされる植物は有情には含まれない」という仏教用語における定義があります。
心(感情)がないとされる「草木(植物)・山川・土地(国土)」などは、「有情」ではなく「非情」に分類されることに注意して下さい。
- 「有情非情」の読み方
- 「有情非情」を分解して解釈
「有情非情」の読み方
「有情非情」の読み方は、「うじょうひじょう」になります。
「有情非情」を分解して解釈
「有情非情」という言葉を「有情」と「非情」に分解して、それぞれの意味を解釈していきます。
「有情」という言葉は、「心(感情・意識)を持つもの。
主に人間や鳥獣」を意味しています。
「有情」は“sattva”(サットヴァ)というサンスクリット語を漢訳した言葉です。
「非情」という言葉は、「心(感情・意識)を持たないもの」を意味しています。
具体的には、「山川・草木・大地・土石」などが「非情」の意味する心を持たない存在になります。
「非情」には、「人間らしい感情を持たず心が冷たいこと」の意味があります。
「有情+非情=有情非情」で、「心のあるものと心がないもの・それらを合わせた全ての存在」を意味しています。
「有情非情」の表現の使い方
「有情非情」の表現の使い方は、現在では実際の話し言葉・書き言葉として使用されることは稀ですが、仏教思想・哲学研究と関係する論文・レジュメなどで「心(感情)があるものと心(感情)がないものを合わせた全ての存在」という意味で使うという使い方になります。
特に仏教思想に関連する文脈では、「心(感情)を持つ動物も心(感情)を持たないものも成仏できる、成仏につながる尊い仏性(ぶっしょう)を備えている」という意味合いで使われることが多くなっています。
例えば、「有情非情のあらゆる存在にいずれは仏陀・菩薩になるべき仏性が宿っています」といった文章で、この言葉を使用することができるのです。
「有情非情」の類語や類似表現や言い換え
「有情非情」の類語・類似表現・言い換えについて、分かりやすく解説していきます。
- 「生物と非生物・全ての存在」
- 「有象無象・有相無相」
- 「森羅万象」
「生物と非生物・全ての存在」
「有情非情」の類語・言い換えとして、「生物と非生物・全ての存在」があります。
「有情非情」という言葉は、「心(感情)がある動物と心(感情)がないもの」を意味していて、その分類は大まかには「生物と非生物を合わせた全ての存在」ということになります。
その意味から、「有情非情」の表現は、「生物と非生物・全ての存在」という表現に言い換えられます。
厳密には、仏教用語の「有情非情」の「非情」には「植物・草木」も含まれるので、「有情非情」と「生物と非生物」には若干のニュアンスの違いはあります。
「有象無象・有相無相」
「有情非情」の類似表現・言い換えとして、「有象無象(うぞうむぞう)・有相無相(うそうむそう)」があります。
「有象無象」とは「取るに足らない大勢の人たちの集まり」を意味していて、「有相無相」という言葉は「姿・形をもっている存在と、姿・形によって現された存在の本性。
真理と現象」を意味しています。
それらの意味合いから、「有情非情」に良く似た意味を持つ類語(シソーラス)として、「有象無象・有相無相」という言葉を指摘することができます。
「森羅万象」
「有情非情」の類語・言い換えとして、「森羅万象(しんらばんしょう)」があります。
「森羅万象」という言葉は、「この世界に存在するありとあらゆるもの・全ての存在と事象」を意味しています。
この意味から、心があるものと心がないものを合わせた全てを意味する「有情非情」の表現は、「森羅万象」という表現に言い換えることができるのです。
「有情非情」を使った例文や短文など(意味を解釈)
「有情非情」を使った例文・短文などを紹介して、その意味を解釈していきます。
- 「有情非情」を使った例文1
- 「有情非情」を使った例文2
「有情非情」を使った例文1
「有情非情の全存在を包み込む慈悲・愛情を持つことが、伝統的な宗教では悟り・救いとされてきました」
この「有情非情」を使った例文は、「心を持つものと心を持たないものの全存在を包み込む慈悲・愛情を持つことが、伝統的な宗教では悟り・救いとされてきた」ということを意味しています。
「有情非情」を使った例文2
「仏教の有情非情では、心(感情)を持つ動物と心を持たない山川・草木・大地を区別して概念を整理しています」
この「有情非情」を使った例文は、「仏教の心あるものと心なきものを示す有情非情では、心(感情)を持つ動物と心を持たない山川・草木・大地を区別することで存在物を示すコンセプト(概念)を整理している」ということを意味しています。
仏教用語としての「有情非情」と「山川草木悉皆成仏」の説明
仏教用語としての「有情非情」は「心(感情)がある動物と心(感情)がないもの」を意味する概念ですが、仏教教義では「心を持つ有情」だけではなく「心を持たない非情」も発心して悟りを開き成仏(じょうぶつ)したり極楽往生したりすることができるという考え方があります。
そのありとあらゆるものが成仏できたり極楽往生できたりすることを意味する概念が、浄土真宗などに見られる「山川草木悉皆成仏(さんせんそうもくしっかいじょうぶつ)=山川・草木の非情も含めてすべての存在は成仏できる」という概念になります。
「有情非情」の英語と解釈
「有情非情」の英語は、“organisms and non-organisms”(生物と非生物)や“everything”(全てのもの)、“thing with heart and thing without heart”(心を持つものと心を持たないもの)という英語で表現することができます。
- “Everything(Thing with heart and thing without heart) can become a Buddha.”
“Everything(Thing with heart and thing without heart) can become a Buddha.”
この英語の例文は、「有情無情のすべての存在は、成仏することができます」ということを意味しています。
「有情非情」という言葉について徹底的に解説しましたが、「有情非情」には「感情・意識などの心の働きを持つ動物(生き物)と心の働きを持たないもの」などの意味があります。
「有情非情」の類語(シソーラス)・言い換えとしては、「生物と非生物・全ての存在」「有象無象・有相無相」「森羅万象」などがあります。
「有情非情」という言葉について詳しく調べたい時は、この記事を参考にしてみて下さい。