「一概には言えない」とは?意味と使い方!例文や論文での使い方
「一概には言えない」という表現を使った経験はあるでしょうか。
それならば、この言葉はどのような意味を持っているのでしょうか。
目次
- 「一概には言えない」とは?
- 「一概には言えない」の敬語での使い方・言い換え
- 「一概には言えない」の類語や類義語・言い換え
- 「一概には言えない」を使った例文や短文など(意味を解釈)
- 「一概には言えない」を徹底解釈
- 「一概には言えない」の英語(解釈)
「一概には言えない」とは?
この表現は、細かい違いを度外視できない、という意味になります。
例えば、アメリカに旅行したとしましょう。
アメリカには50の州がありますが、地域によって様々な違いがあります。
また、人種や民族によっても考え方が異なりますし、そもそも自分が見た光景ばかりがアメリカの全てとは言えませんね。
しかし、もしもアメリカに3日間滞在した人が「アメリカではね」と話をすれば、周りから「アメリカがどこもそうだとは限らないでしょう」と言われてしまうこともあります。
これはまさに、「一概には言えない」ということになります。
- 読み方
読み方
「一概には言えない」という表現は「いちがいにはいえない」になります。
日常的にも使える表現ですし、とても大切な言い回しでもありますのでぜひ覚えておきたいものです。
「一概には言えない」の敬語での使い方・言い換え
「一概には言えない」という表現を正式な場所で使うとしたら、一体どのように使ったら良いのでしょうか。
- 論文に使っても大丈夫?論文での使い方
- 「一概には言えない」と「一概に言えない」の意味の違いは?
論文に使っても大丈夫?論文での使い方
論文を書く場合、とにかく客観性を維持しなければいけません。
例えば、アンケート結果であったとしても研究においてはそれを鵜呑みにできません。
例えばインターネットでアンケート調査が行われたとしましょう。
いくら結果が出たとしても、それは国民の全員が答えたわけではありませんから、結果を国民の意見として結論づける事は適切ではありません。
また、インターネットで海外をする人々という事はインターネットを使う世代が答えているということもあり、年配の人がそこに含まれていない可能性もあります。
そのようなことを踏まえ、論文では「一概には言えないが」と前置きをする必要があります。
論文はです・ます調ではなく、だ・である調で書くことが多いですから、それに合わせて表現すると良いでしょう。
「一概には言えない」と「一概に言えない」の意味の違いは?
「一概には言えない」という表現もあれば一概に言えないという表現もあります。
一概に、という言葉には細かな違いを気にしないで一様に扱う様子、という意味を持ちます。
そこから、打ち消しの言葉を伴って「全て同じようには扱えない」という意味を持つことになります。
一概に言えない、というのは全てが同じだとは限らない、という意味になりますが、「一概には言えない」という表現にすると「全てが同じだとは限らないんだけどね、と言った、補足としての意味合いが強くなります。
どちらも正しい日本語として使われます。
「一概には言えない」の類語や類義語・言い換え
ここではこの表現の類義語を紹介します。
- 「一般化はできない」
- 「必ずしもそうとは限らない」
- 「言い切れない」
「一般化はできない」
一般化はできない、という表現は物事を1つの概念にまとめられない、という意味になります。
例えば、アメリカのカリフォルニアに行ったからといってアメリカの全てを1つの概念にまとめる事は不可能です。
一般化できない、一般化するべきではない、という表現は研究でもよく使われ、論文においても使用される表現です。
「必ずしもそうとは限らない」
必ずしもそうとは限らない、という表現の場合、必ずしも、という表現が重要です。
必ずしも、という言葉は「し」が副助詞、「も」が係助詞となっており、打ち消しの表現を伴って「必ず?いうわけではない」「?とは限らない」という気持ちを表しています。
では、カリフォルニアがこうだったからといってアメリカの全てがこうだ、とは限らないのです。
「言い切れない」
言い切れない、という表現は、必ずそうなるとは言えない、という意味になります。
例えば、「まだ調査が進んでいる最中であり、必ずしも彼が犯人とは言い切れない」などという表現があります。
必ずしも、という表現がなくても構いませんが、必ずしも、という表現と合わせて使われることも多くあります。
「一概には言えない」を使った例文や短文など(意味を解釈)
ここではこの表現の例文を紹介します。
- 「一概には言えない」を使った例文1
- 「一概には言えない」を使った例文2
- 「一概には言えない」を使った例文3
「一概には言えない」を使った例文1
「フランスがそうであったとしても、ヨーロッパがそうだと一概には言えない」
ヨーロッパと言えばEUの影響があり、どこの国も同じような感じだと思っている人もいるのではないでしょうか。
しかし、確かにEU圏内であったとしても、ヨーロッパは国によって大きな違いがあります。
そのため、フランスがどう、ドイツがどう、スペインがどう、などということも言い切れませんし、その結果、ヨーロッパがどう、と言い切ることもできないのです。
ヨーロッパは国ごとに物価なども違いますので、ひとまとめにしてはいけません。
「一概には言えない」を使った例文2
「アンケート結果がどうであったとしても、一概には言えないよ」
コミュニケーションにおいては、全体の7割の意見が聞けないのであれば、全体の意見として結論付けることは不可能です。
つまり、インターネットや雑誌などが行ったアンケート結果は全体の意見とみなせません。
特に何人に聞いたのかわからない、などというアンケート調査には信憑性がないといえます。
また、どのような人々が回答するのか、ということも念頭に置いておかなければいけません。
例えば、バレンタインデーに関するアンケートに誰かが回答しならば、それは少なからずバレンタインデーに関心を持っている人ということになりますので、バレンタインデーに関心を持っていない人は回答していない可能性も高まります。
そうなれば、さらにそのアンケート調査にはバイアスがあると言えるのです。
「一概には言えない」を使った例文3
「たとえ高校生がスマホ依存症だと言われていても、一概には言えないよ」
中高生はスマホに依存しすぎていると問題視されることがあります。
しかし、その一方で本を読む高校生もいますから、すべての高校生がスマホ依存症になっている、などと一般化する事は不可能です。
むしろ物事を一概に言ってしまうと偏見を持ってしまうことにもなりかねませんので、気をつけなければいけません。
自分がそのようなつもりがなくても、周りからそのように捉えられてしまう可能性もあります。
「一概には言えない」を徹底解釈
ここでは、「一概には言えない」という表現を分解して紹介します。
- 「一概」の語源
- 「一概には言えない」の対義語
- 「一概」の言い換え
「一概」の語源
一概、という言葉にはどのような意味があるのでしょうか。
一概、という表現には自分の意見を強引に押し通すこと、強情なこと、という意味を持っています。
ビジネスにおいては一概に、という表現でよく知られています。
概、という表現には「木のそばで米が溢れそうなほど盛られた器と人が座っている」という意味が込められており、ここから「器が米からこぼれないようにするための道具」を指すようになったと考えられています。
そこから、一概に、という表現は、同じようにする、という意味になったのです。
そして「一概には言えない」という表現は、物事を1つの側面だけで考えて結論を出すわけにはいかない、あらゆる側面から判断しなければならない、という意味を持ち合わせるようになりました。
「一概には言えない」の対義語
「一概には言えない」という表現の対義語は「一概に言える」になります。
しかし、この表現は実際にはほとんど使用されませんから、「例外なく?である」「一律に?である」などと表現した方が良いでしょう。
「一概」の言い換え
一概、という表現を言い換えるならば、あながち、という表現が適切です。
あながちという表現は一方的に決めつけられない、という意味があり、まんざら、必ずしも、という意味を持ち合わせています。
「一概には言えない」の英語(解釈)
英語にすると“This can’t be said sweepingly.”になります。
もしも堅苦しく感じてしまう、と思うのであれば“Can't say that it's completely…”と続けていくと良いでしょう。
あるいは“You can't generalize it.”でも良いでしょう。
これは「一般化はできないよ」という意味になります。
「一概には言えない」という表現はビジネスでもよく使われる言い回しです。
物事を一般化すると世の中を客観視できなくなってしまうリスクもありますので、いくつかの例を見たからといって必ずしもそうだと言い切ってはいけません。
さらに、物事には常に例外があることを覚えておく必要があります。