「沽券に関わる」とは?意味・読み方・類語・英語【使い方や例文】
「沽券に関わる」というと、偉い人が言いそうな言葉に思えます。
日常会話で使っても良いのでしょうか、正しい意味や使い方について紹介します。
目次
- 「沽券に関わる」の意味とは?
- 「沽券に関わる」の読み方
- 「沽券に関わる」の英語(解釈)
- 「沽券」の語源
- 「沽券に関わる」の言葉の使い方
- 「沽券に関わる」を使った例文や短文(解釈)
- 「沽券に関わる」の類語や類義表現
「沽券に関わる」の意味とは?
「沽券に関わる」の意味は「人の評判や品位、名誉やプライドを傷つけられること」「その人の値打ちが下がってしまうこと」です。
背景として、何らかの出来事があり、その人の評判やプライドに悪い影響を与える結果になった時の状態です。
例えば悪い噂を流されたり、やってもいなことをやったと濡れ衣を着せられたりした時にその人の「沽券に関わる」と言うのです。
その人が自分の価値が下がると思った時に使う言葉で、人から見てどう思うかは関係ありません。
「沽券に関わる」の読み方
「沽券に関わる」は「こけんにかかわる」と読みます。
人により「関わる」を「かかわる」と平仮名表記にすることもあります。
漢字で書く時には「係わる」としない様に注意しましょう。
「沽券に関わる」の英語(解釈)
「沽券に関わる」の英語には以下の2つがあります。
- “would be beneath one's dignity”
- “would lose one's reputation”
“would be beneath one's dignity”
“dignity”は「威厳・品格」の意味です。
「沽券に関わる」は未然形ですので、英語にすると「もし〇〇したら沽券に関わることになる」という文章になります。
“I would be beneath my dignity if I didn't come.”(もし私が行かなかったら威厳を失ってしまう) となります。
“would lose one's reputation”
“lose”は「失う」で、“reputation”は「評判・名声」の意味で、こちらも仮定形で使います。
“He would lose his reputation if he said 'No'”(もし彼がノーと言ったら、彼は自身の評判を落とすことになるだろう). ”となります。
「沽券」の語源
「沽券に関わる」の「沽券」の語源は、江戸時代のしきたりから来ています。
当時、土地や家を売買する時に、値段や広さなどの細かい情報が記載されている文書を相手に渡していました。
この書類のことを「沽券」と呼び、その土地や家を確かに確かに所有しているということを示したものです。
つまり、その書類を持っている人は江戸の街に住んでいて身元が確かであるということが証明されていたのです。
その為に「沽券」は人々にとっては持っていると身分証明になるものとされていました。
時代が流れるに連れて「沽券」は土地や家ではなく、その人の価値や名誉を表す言葉になりました。
何か悪いことが起きてその人の評判に傷が付く様なことが起きると「沽券に関わる」と心配する様になったのです。
そして現在の意味で使われる様になりました。
「沽券に関わる」の言葉の使い方
「沽券に関わる」が使われるのは以下の様なシーンです。
- 評判が悪くなりそうな時
- 品位が傷つきそうな時
- プライドが傷つきそうな時
評判が悪くなりそうな時
その技術やサービスを誇っていて業界でもランキングに入る位評判の良い会社が、何か問題を起こして世間の評判が落ちてしまうことがあります。
一度悪い噂が立つと一気にネットで拡散されてしまい、顧客離れが進んで経営悪化につながります。
この様なことになりそうな時に「わが社の沽券に関わる」と言うのです。
品位が傷つきそうな時
自分から挨拶ができなかったり、常識的なマナーを身に付けていない為に人前で恥をかいたり、或いは相手から侮辱されたりすると、自分だけではなく親の品位にもキズがついてしまいます。
この様なことになりそうな時に「親の沽券に関わる」と言います。
プライドが傷つきそうな時
自分が何か信念を持っている事や、これだけは譲れないということがあるのに、つい流されて信念を曲げたり、競い合って人に負けたりすると、自分に自信がなくなってしまいます。
その様なことになりそうな時には「自分の沽券に関わる」と言います。
「沽券に関わる」を使った例文や短文(解釈)
「沽券に関わる」を使った例文と解釈を紹介します。
- 「沽券に関わる」の例文1
- 「沽券に関わる」の例文2
- 「沽券に関わる」の例文3
「沽券に関わる」の例文1
「今ここできちんとやり遂げなかったら我が社の沽券に関わる」
他社から委託されたビジネスがあるのですが、プロジェクトがうまく行かずに行き詰ってしまいました。
ここで期日までに仕上げられなかったら、業界で不名誉な評判が広まってしまい、今後のビジネスがやりにくくなってしまうのです。
会社の名誉をかけて頑張る様にと社長が激励している時の言葉です。
「沽券に関わる」の例文2
「バカにされて黙っていたとあっては私の沽券に関わるよ」
この人は自分がプライドを持っていることに対して、誰かから侮辱を受けたのでしょう。
社会人としては大人の対応をするべきなのですが、自分のプライドを守る為に相手に対してはっきりと不快であることを伝えたのです。
黙っているとずっと見下されたままになってしまうことに耐えられない気持ちが表れています。
「沽券に関わる」の例文3
「ハンデがあるにせよ、リレーで女に負けるのは男の沽券に関わることだ」
スポーツは筋力差があるので、リレーでは男性の方が強くて当然です。
しかし女性チームにハンデを与えたところ、優秀な選手が揃っていてうっかりすると男性チームが負ける可能性が出てきました。
男としてのプライドがあるので負けたくないと思っていることが伝わります。
「沽券に関わる」の類語や類義表現
「沽券に関わる」の類語には以下のものがあります。
- 「面目が立たない」【めんぼくがたたない】
- 「名折れ」【なおれ】
- 「立つ瀬がない」【たつせがない】
「面目が立たない」【めんぼくがたたない】
意味は「体裁や立場が保てなくなってしまうこと」です。
悪い行為をしたり、人に知られて恥ずかしい行為をした時に使う言葉です。
「名折れ」【なおれ】
意味は「名誉を傷つけられること」「名前を汚す様なこと」です。
こちらは組織や団体の中にあって、不名誉な行為をする人に対して使われます。
「立つ瀬がない」【たつせがない】
意味は「自分の顔や立場を失ってしまうこと」「立場を失うことで苦しい立場に追い込まれること」です。
誰かに不本意なことをされたり、不運な目に遭ったりして、立場がなくなってしまった時に使われます。
「沽券に関わる」は、自分でプライドを持っていると自覚している人が使う言葉です。
何か人に対してこれだけは譲れないというものがある人は、そのプライドが傷つけられる様なことがあった時に「沽券に関わる」と使ってみてはいかかでしょうか。