「親切の押し売り」の意味・類語【使い方や例文】
日常生活の中で、「親切の押し売り」をされたと感じることに遭遇したり、その対処に苦慮したり、という経験がある人も少なくないでしょう。
日頃よく使われる「親切の押し売り」という言葉ですが、改めてその意味や由来などを聞かれた時に、即座に答えられるでしょうか。
ここでは、そんな「親切の押し売り」という言葉について、詳しく解説していきます。
目次
- 「親切の押し売り」の意味とは?
- 「親切の押し売り」の語源や由来
- 「親切の押し売り」の言葉の使い方
- 「親切の押し売り」を使った例文・短文(解釈)
- 「親切の押し売り」の英語と解釈
- 「親切の押し売り」の類語や類義表現の言い換え
「親切の押し売り」の意味とは?
頼まれてもいないのに他人の世話を焼く、見当違いの親切をして、相手に迷惑に思われてしまう、思い込みで親切をして、結果として相手を困らせてしまう、といった行為を、「親切の押し売り」といいます。
親切をする人は、悪意があるわけではなく、良かれと思ってやっていることなので、対応に困ってしまうものです。
又、親切にしたことを恩にきせて感謝を強要するような行為も、気分の良いものではありませんので、「親切の押し売り」といってよいでしょう。
- 「親切の押し売り」の読み方
「親切の押し売り」の読み方
「親切の押し売り」は、「しんせつのおしうり」と読みます。
「親切」も「押し売り」も、読み間違えるような難しい言葉ではありませんので、読み方については特に問題ないでしょう。
「親切の押し売り」の語源や由来
「押し売り」とは、買う気のない人に、強引に物を売りつけることをいいます。
親切も、必要としている人には有難いものですが、必要でない人にとっては、全く有難くないものです。
そして、的外れな親切は、かえって相手を困惑させてしまいます。
そういったことが、必要のない物を無理やり買わせるという行為と似ていることから、「親切の押し売り」という表現が使われています。
「押し売り」という言葉は、「恩の押し売り」、「感動の押し売り」のように、批判的に使われる言葉です。
「親切の押し売り」の言葉の使い方
「親切の押し売り」とは、相手の意向に沿わない親切をしてしまうことを意味する言葉で、例えば、適齢期を過ぎても独身でいる人に、本人が結婚を望んでいるかどうかも確認せずに、結婚相手を紹介しようとする人がいたとします。
結婚を望んでいるのに、縁がなくて仕方なく独身でいる人にとっては親切な行為ですが、結婚の意志がなく、好んで独身でいる人にとっては、「親切の押し売り」となります。
「親切の押し売り」を使った例文・短文(解釈)
「親切の押し売り」の意味や使い方を説明してきましたが、ここでは、この言葉を使った例文を紹介します。
どんな行為が「親切の押し売り」になってしまうのかも、併せて説明しますので、心当たりがあるという人も少なくないのではないでしょうか。
- 例文1
- 例文2
- 例文3
例文1
「出社する途中でストッキングが伝線していることに気が付きましたが、目立たないのでそのままにしていました。
しかし、午後になって、同僚のA子が大きな声で「伝線してるよ」と指摘してくれたおかげで、周りの皆に気付かれてしまいました。
A子はよく親切の押し売りをするので、困っています」
本人が隠しておきたいと思っていることを、大きな声で指摘し、周囲にバラシてしまったという話ですが、良かれと思って教えてあげたことでも、本人にとっては不本意なことだったとしたら、それは「親切の押し売り」ということになってしまいます。
例文2
「初めて買い物に行った店の販売員と話をしている時に、彼の鼻から鼻毛が出ていることに気付きました。
そのことを本人に教えてあげるべきかどうか迷いましたが、親切の押し売りになってはいけないと思い、そっとしておきました」
初対面の人に鼻毛が出ていることを教えてあげるかどうかという問題は、誰もが頭を悩ませるのではないでしょうか。
気心の知れた相手であれば指摘しやすいのですが、初対面の人の場合は、そうはいきません。
「親切の押し売り」だと感じるかどうかは相手次第ですので、正解のない問題だといえるでしょう。
例文3
「時間がないなか、スーパーの果物売り場でリンゴを1つ手に取りレジに向かおうとしていたら、親切なご婦人から呼び止められて、‘そのリンゴは甘くないから’といって、私のために甘いリンゴを探し始めてくれました。
ご婦人の優しさは有難かったのですが、早くスーパーを出ないといけない状況だったので、親切の押し売りにどう対処すればよいか頭を悩ませることになりました」
素早くリンゴを買ってスーパーを出るということが目的の人に、時間をかけてリンゴを選別してあげるという行為は、本人の目的に反することになりますので、これは「親切の押し売り」になってしまいます。
人を思う優しい気持ちによる行動であることが分かるので、対応に苦慮してしまう例でしょう。
「親切の押し売り」の英語と解釈
「親切の押し売り」を英語に訳す時には、「無理強いする、押し付ける」という意味の「force」と、「親切、優しさ」という意味の「kindness」という単語を使って、「force one’s kindness」という表現を使うことができます。
「親切の押し売り」の類語や類義表現の言い換え
「親切の押し売り」という言葉を他の表現に置き換える場合、「ありがた迷惑」、「大きなお世話」、「恩着せがましい」などを使うことができるでしょう。
ここでは、そんな類似表現について解説します。
- 「ありがた迷惑」
- 「大きなお世話」
- 「恩着せがましい」
「ありがた迷惑」
「ありがた迷惑」とは、本人の意志に反する「親切」をされて迷惑に思うことをいいます。
例えば、一度きりの出張先で入ったドラッグストアで、お得なメンバーズカードの説明を長々と聞かされるなどは、「ありがた迷惑」な例の1つと言えるでしょう。
「大きなお世話」
「大きなお世話」は、本人が望んでいない世話を焼くことをいいます。
例えば、生活に困っていないし、働きたいとも思っていない専業主婦の人に、「パートを募集しているから」と求人案内を持っていってあげるというのは、「大きなお世話」と受け取られる事例です。
「恩着せがましい」
「恩着せがましい」とは、感謝を強要するような態度をとることをいいます。
親切をされても快く思わないという意味では、「恩着せがましい」という言葉も、「親切の押し売り」の同義語といってよいでしょう。
「残業を手伝ってあげるのだから、食事くらいご馳走して当然でしょう」といった厚かましい態度は、人によっては「恩着せがましい」と思われてしまう場合もあります。
「親切の押し売り」という言葉について解説してきました。
良かれと思ってやったことでも、相手の感じ方次第で、迷惑なことと受け止められてしまうことがあります。
「親切の押し売り」と捉えられてしまわないように気を付けたいものです。