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「己」の意味とは?類語、使い方や例文を紹介!

ドラマやアニメのなかで、怒っている人が、相手に向かって「おのれ〜!」と息巻いているシーンがありますが、実生活のなかではあまり耳にすることのないことばです。

ここでは、「己」ということばの意味や読み、使い方や、よく似た漢字との差異などをご説明していますので、あやふやだな、という方はぜひ一読ください。

己

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「己」の意味とは?類語、使い方や例文を紹介!>


目次

  • 「己」の意味とは?
  • 「己」の類語や言い換え・似たことば
  • 「己」の使い方
  • 「己」を使った例文
  • 「己」に似た字
  • 「己」を使ったことば


「己」の意味とは?

「己」の意味とは?

「己」が、自分自身のことを意味する、ということは知っている方も多いでしょう。

また、先述の例に挙げたとおり、激した人が怒りをことばで表すときに使うことば、という意味もあります。

方言によっては「おどれ」「おんどれ」などともいうようですが、どれも「己」から発したことばでしょう。

また、十干十二支の「己」、十干の第六番を意味することばでもあります。

  • 「己」の読み方

「己」の読み方

「己」には、「おのれ」のほかに、「コ」「キ」「うぬ」「つちのと」などの読みがあります。

自己の「コ」や知己の「キ」、己惚れの「うぬ」が例になります。

また、「己」の漢字は、二画目までを用い、カタカナの「コ」に、草書体がひらがなの「こ」になったといわれています。



「己」の類語や言い換え・似たことば

「己」の類語や言い換え・似たことば

僕や私をはじめ、日本語には一人称を表すことばが豊富にあり、それらはすべて「己」の類語であるといっても過言ではありません。

すべてを挙げるわけにはいきませんので、ここではすこし珍しい「己」の類語表現を紹介したいと思います。

また、それらが「己」とちがう点についても述べますので参考にしてくださいね。

  • 「吾」
  • 「小生」【しょうせい】
  • 「余」【よ】
  • 「朕」【ちん】

「吾」

「ゴ」「あ」「われ」「わ-が」などの読みがあります。

自分自身を指す場合のほかに、自分と同等以下の者、たとえば子どもや兄弟に対しての二人称としても使います。

相手のことも指す、という点では「己」と似ていますが、親しみをこめて呼ぶ、というところに大きなちがいがあります。

たとえば「吾兄」と書いて、「あせ」もしくは「わがせ」と読みますが、この場合にも、兄や友人を親しんでいう、というほかに、女性が親しい男性を呼ぶときに使う、という意味あいが含まれています。

「小生」【しょうせい】

「しょうせい」と読みます。

男性のみが使用できる一人称である、というところからして、「己」と異なります。

また、自分のことをへりくだっていうときに使う呼称ではありますが、目上の人に対して使うと失礼にあたる、という不思議な一人称でもあります。

使うときには、自分と同等以下の人に対してだけにしておきましょう。

加えて、古臭さや自意識過剰さを醸しだす場合がありますので、使う相手は選んだほうが無難でしょう。

エッセイや私小説などで主人公が自分のことを「小生」と呼ぶことがありますので、表現の一つとして知っておかれるといいでしょう。

「余」【よ】

時代劇などで、お殿様が「余は満足なり」なんていっている場面を想像できる方は多いのではないかとおもいます。

このように、グループのなかで目上に立っている人がいうことば、というイメージが強いことばですが、もともとは漢字のとおり、「あまりもの」という意味で、目下の者が卑下して使うことが多かった、という説もあります。

「己」のように、二人称的な使い方はできませんので、あくまでも自分自身のことを指す語として覚えておかれるといいでしょう。

「朕」【ちん】

「朕は国家なり」ということばをどこかで聞いたことがあるのではないでしょうか。

「朕」「ちん」と読みます。

秦の始皇帝がこのようなことばを残してから先の時代では、天皇や天帝のみが自分を指すために使うことばとなりましたが、それまでは一般的な一人称のことばとして使われていたそうです。

地方の大名クラスですら使うことが許されない「朕」は、今ではほとんど聞くことがないかもしれませんが、ゲームのなかなどでは使われている例もあるようです。

「己」の使い方

「己」の使い方

「己」にはさまざまな読みがありますが、どれも意味は「自分」もしくは「相手」のどちらかです。

どちらの意味で使われているかがわかれば、「己」ということばは使いこなせたも同然でしょう。

意味が通らない、という場合には、「自分」「相手」とを逆に考えるとうまくいくはずです。



「己」を使った例文

「己」を使った例文

では、具体的に例文を挙げておきますので、一通り目を通してみてください。

  • 「己」の例文1
  • 「己」の例文2

「己」の例文1

「順番に自己紹介をしたあと、アイスブレイクが始まった」

「克己心がなければ彼のように偉業を成し遂げることは難しいのだろう」

「うぬらは教えてやったことを仇で返すことしか考えておらんのか」

「おのが道を行くことで父母を悲しませるのだとしても、背に腹は変えられまい」

「おのれ、次は許さん」

「己」の例文2

「貴様のせいで、この世界までもが破壊されてしまった!おのれ!」

「己」に似た字

「己」に似た字

類語表現では、意味あいが「己」と似ている語句を紹介しましたが、今度は形が「己」と似ている、というものを紹介します。

今度は似ているのは形だけで、意味的にはまったく違っていますので、形の違いを覚えておけば便利ですよ。

  • 「巳」
  • 「已」

「巳」

「シ」「み」という読みを持ち、十二支の第六番、としてよく知られています。

龍神や青大将のことを「みさん」「みいさん」と呼ぶ地方もありますが、これは「巳」の字を当てています。

方位では南南東を指し、時刻では午前十時と、その前後二時間を示しています。

「已」

「イ」「や-む」「すで-に」「のみ」「はなは-だ」などの読みがある漢字で、「己」ととても似ており、書き方によっては区別がつかないほどですが、まったく別の漢字です。

三画目がすこし突き出すところが字形における唯一の違いですので、おさえておきましょう。

「既已」「已然形」というようなことばのなかで使われています。

「己」を使ったことば

「己」を使ったことば

自分のことを「己」と呼んだり、人のことを「己」と呼ぶ人はすくないでしょうが、「己」という字を使ったことばには、知っておいて損のないものもあります。

ここでは、あまり耳慣れないようなことばをいくつか集めていますので、この機会にあわせて覚えてしまいましょう。

  • 「已己巳己」
  • 「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」
  • 「己の頭の蠅を追え」

「已己巳己」

誤植かバグのようですが、本当にこのようなことばがあるのです。

「いこみき」と読み、それぞれの字の形が似ていることから、互いが似ていて見分けのつかないこと、という意味を持っています。

それぞれの字の意味はすでに述べていますね。

「一卵性双生児として生まれた二人の孫は、見た目も言動も已己巳己で、いつも名前を呼ぶのに苦労する」

「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」

孫子が遺した有名なことばのなかの一文です。

すこし長いですが、「かれをしりおのれをしればひゃくせんあやうからず」と読みます。

敵のことも味方のこともきちんと実情を把握していれば、百回戦っても負けることはない。という言葉です。

その後には、敵のことを知らず、味方のことだけ知っていては、勝つことも負けることも考えられ、どちらも知らなければかならず負ける、という意味のことばが続きます。

試験などにおいても、自分の実力と、試験の難易度のどちらも把握しておかねば傾向と対策ができない、というように、現代にも通じることばです。

「己の頭の蠅を追え」

「おのれのあたまのはえをおえ」と読みます。

世の中には世話焼きな人、世話好きな人はたくさんいますが、人の世話を焼く前に、まずは自分のことをきちんと始末しなさい、という意味のことばです。

自分の頭にたかる蠅すらはらえないような人が、他人のことにまで口を出すな、という叱責をこめたことばでもあります。

icon まとめ

「己」とは、自分自身のこと、もしくは相手のことを意味することばだとわかりました。

他人は自分の鏡だといいますから、うぬぼれず、謙虚な姿勢で他人と向きあうことが、結果的には自分とも向きあうことに繋がるのでしょう。


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