「今生の別れ」の意味とは?類語、使い方や例文を紹介!
「もう二度と会わない」と決めた人が人生にはいるかもしれません。
それは老若男女に関わらず、何らかの理由が片方にあれば、成り立つ感情ではないでしょうか。
人の感情はシンプルでいいはずなのに、複雑です。
またその感情からすれ違いや勘違いが生まれ、別れがやって来る事もあります。
そのような「別れ」の中に「今生の別れ」というものがあります。
今回はその「今生の別れ」という言葉について深く解説したいと思います。
目次
- 「今生の別れ」の意味とは?
- 「今生の別れ」の似た言葉や類語・言い換え
- 「今生の別れ」の使い方
- 「今生の別れ」を使った例文
- 「今生の別れ」を分解して解釈
- 「今生の別れ」の具体例
「今生の別れ」の意味とは?
- 「今生の別れ」の読み方や意味
- 「今生の別れ」のニュアンスについて
「今生の別れ」の読み方や意味
「今生の別れ」は【こんじょうのわかれ】と読みます。
意味は、
- この世ではもう二度と会う事がないこと
- お互い生きていても、会わずにそれぞれ過ごすこと
- 死別によって二度と会えなくなること
- 現世では二度と会う事なく別々に生きること
などの意味があります。
普段はあまり使わない言葉ですし、知らない方もいるかもしれません。
特に「今生」という言葉は、若い人はほぼ使わないと思われますし、聞くとしても時代劇や古いドラマぐらいではないでしょうか。
「今生の別れ」のニュアンスについて
「今生の別れ」とは単純に「二度と会わない」という感じではなく、命をかけたり、断腸の思いでの決断の先での別れといった意味が強くなります。
ですから例えば、「恋人と喧嘩して腹が立ったから別れた。
今生の別れだ」
というような感情的に清々したというような場合には基本的には使わない言葉であり、大袈裟だなと思われてしまうでしょう。
それは「今生の別れ」の中に「今世や現世では会う事はなくても、来世や来来世でお会いしましょう・お会いできたらいいですね」という意味合いが含まれているからです。
涙・涙とはいいませんが、考え方を変えると、いつかまた巡り会えるというロマンティックなニュアンスを含んでいる言葉なので、「スッキリサッパリさようなら」という意味合いで使うには余りにも重く、深いものになってしまいます。
「今生の別れ」の似た言葉や類語・言い換え
「今生の別れ」には明確な類語などはありませんが、同じような深さや重みを表す「別れ」に対する表現や言葉は存在します。
- 「永別」【えいべつ】
- 「愛別離苦」【あいべつりく】
- 「今際の別れ」【いまわのわかれ】
「永別」【えいべつ】
二度と会う事が出来ない別れのことをいいます。
永遠の別れ、永久に会う事がなくなる事を言います。
- 「あの場所に行くと、昔の苦しい思い出を思い出すので永別してきた」
- 「祖母と永別をしてから一年、まだ立ち直れないでいる」
など。
「愛別離苦」【あいべつりく】
「愛別離苦」とは
- 親子や夫婦、愛する人との死別に対する苦痛
- 最愛の人と別れる辛さ
- 愛しい人と生別または死別する際の苦しみや哀しみ
という意味があります。
「愛別離苦」は仏教用語の一つで、人の「苦」の分類である「四苦八苦」というものの中の一つとされています。
つまり愛する者と別離することは人の苦しみや哀しみであることを表した言葉になります。
- 「彼女はまだ若いので、今の時点で彼氏が亡くなる事が一番辛く愛別離苦だと思う」
- 「息子が病死して、愛別離苦の状態が続いている」
など。
「今際の別れ」【いまわのわかれ】
「いまわ」は「今は限り」の略になり、「今はこれ限り」という意味になります。
つまり臨終時や、死に際を表します。
人の命の終息時の意味なのですが、"二度と会えなくなる"という意味合いは同じになります。
- 「母との今際の別れをしに病院に向かった」
- 「渋滞でどうなるかと思ったけど、今際の別れに間に合ってよかった」
など。
「今生の別れ」の使い方
「今生の別れ」とは先述したとおり、別れた後に「綺麗サッパリ」や「スッキリ爽快」といったような身軽になったり憑き物が取れたような状況になる事ではありません。
どちらかといえば、痛みや哀しみ、愛情や想いなどを全て抱えて生きていくといった意味なので、重く深い意味があります。
だからこそ「今生」では二度と「会わない」のであって、身を切る想いをする代わりに「来世」に想いを馳せるのです。
ですからこの言葉を使う時は、相当な想いがあり、それを断ち切らなければいけない時や、腹をくくり心に「二度とない」事を決めた時だといえるでしょう。
「今生の別れ」を使った例文
- 「今生の別れ」の例文1
- 「今生の別れ」の例文2
- 「今生の別れ」の例文3
- 「今生の別れ」の例文4
- 「今生の別れ」の例文5
「今生の別れ」の例文1
「あれが彼との今生の別れになってしまうなんて心にも思っていなかった」
「今生の別れ」の例文2
「これから益々戦は激しくなる。二人の関係がバレてしまえば二人共々命はない。だから今生の別れとなるかもしれないけれど、今すぐ逃げて欲しい」
「今生の別れ」の例文3
「おそらく今日が今生の別れであるという事は分かっているので、必死で平静を装っている」
「今生の別れ」の例文4
「あなたは、私と今生の別れになると分かっても、私ほど必死になったり、血眼で探したりしないでしょ」
「今生の別れ」の例文5
「彼は今生の別れを感じ取ったので、何も言わずに見送った」
「今生の別れ」を分解して解釈
- 「今生」
- 「別れ」
「今生」
「今生」とは、現世の事をいいます。
今、自分が生きているこの世界、この時代をいいます。
逆に「来世」や「あの世」は対義語にあたります。
「別れ」
「別れ」とは違う方向に向かうことや、一旦一緒の方を向いていたことをやめ、離れる事をいいます。
ネガティブな言葉だと思ってしまいますが、「別れ」は動詞であり行動を表すだけなので、その後の未来もひっくるめて見る必要があります。
「今生の別れ」の具体例
人生において「今生の別れ」を経験する事はそう多くはないかもしれません。
大切な人の死や別れの時であっても、全てが「今生の別れ」になるかは、その人の感情や気持ち次第で変わるので、他人には分からないからです。
では一体どのような場合に「今生の別れ」を経験したり感じたりするか、具体的に例を挙げてみたいと思います。
- 身分の差や立場によるもの
- 仲間や同志と別れるとき
身分の差や立場によるもの
今はほぼないですが、例えば昔であれば敵・味方で戦い一人残さず全滅させなければいけない状況において相手側の人物と恋に落ちてしまった。
という状況があったとします。
その場合は「今生の別れ」に値する「出会い」であり「別れ」だといえるでしょう。
結末として相手を思い自害するにせよ、相手に自分を討つように指示するにせよ、そこには憎しみや保身などはなく「相手への想いや愛」であり、無言であっても《来世は必ずこんな戦乱の時代に生まれず、一緒になりましょう》という約束を交わしているのではないでしょうか。
仲間や同志と別れるとき
「今生の別れ」とは男女間だけで使う言葉ではありません。
同じ志を持った者達や、力を合わせたり成し遂げた同性に対しても使う事があります。
例えば共に何かをゼロから作り上げて完成したけれど、自分がいると駄目になってしまうと判断した場合や、相手が自分の力を超えた時などのように片方が何らかの理由で「もう会わない」と決め何かを託した時にも「今生の別れ」を経験する事になるでしょう。
「今生の別れ」には信念や信条といった人の「譲れない想い」という気持ちも含まれます。
ですから口に出して「別れ」を表示しなくても、気迫やその姿で相手の強い意志や気持ちを汲み取る事ができるのも「今生の別れ」の特徴でしょう。
人は生きていると、必ず「別れ」を経験します。
ですが「別れ」の後には必ず「出会い」があります。
「今生の別れ」はある意味《次の世界では会えますように》という願いや望みが込められた言葉なので、頻繁に使うような言葉でも軽い感じで使う言葉でもないですが、もしこのような別れを経験する時がきたら使ってみてもいいかもしれません。