「羨望」の意味とは?類語、使い方や例文を紹介!
同じ言葉でも、普段の生活で一般的に使われている意味合いと、専門的な分野で使われている意味合いが異なる事があります。
今回ご紹介する「羨望」という言葉もその一つです。
普段使っている意味合いと、実際はどういったものなのか専門的観点からの意味合いを比べてみましょう。
目次
- 「羨望」の意味とは?
- 「羨望」の類語や言い換え
- 「羨望」の使い方
- 「羨望」を使った言葉
- 「羨望」の語源や意味を分解して解釈
「羨望」の意味とは?
「羨望」というのは、耳にした事がある人も多いでしょう。
意味は「うらやましく思うこと」になります。
そもそも、うらやましいとは何か、深く考えたことはありますか?「羨望」もそうであるように、「うらやましい」というのは自分にないものを他人がもっていたり備えていたりするのを「自分よりも恵まれている」と感じ、自分もそうだったらいいのにと思う事です。
- 「羨望」の読み
- 「羨望」の一般的な意味
- 「羨望」を心理学的に考える
「羨望」の読み
「せんぼう」と読みます。
「羨望」の一般的な意味
「羨望」が一般的に使われている意味合いとしては、「自分より優れていたり、恵まれている他人をうらやましく思い、そして自分もそうなりたいと思うこと」とされています。
憧れに近い意味で使われており、ポジティブな言葉です。
似たような言葉に「嫉妬」がありますが、嫉妬は「どうしてあいつが」という憎しみや不安から生まれるとされています。
「憎しみ」と「憧れ」の違いとして、「嫉妬」と比較して「羨望」という言葉が紹介される事が多いのです。
「羨望」を心理学的に考える
一般的な意味合いではポジティブな表現だとされている「羨望」ですが、実は心理学的観点からでは逆のネガティブな意味合いの言葉だとされています。
羨望というのはうらやましいと思う気持ちはもちろん、「自分にはなく、他人が持っている幸福や恵まれた性質・業績に対して、我慢ならない怒り」が元となっている感情だとされています。
「悪性の羨望」と「良性の羨望」の2つに分かれるという説もあります。
どちらにしても、自己肯定が低くなり自分に対して怒りや歯がゆさを感じつつ、自分よりも優れていたり恵まれている相手をうらやむ気持ちが「羨望」であるとされています。
「羨望」の類語や言い換え
「羨望」のように憧れの気持ちや、他人をうらやましがる気持ちを表す言葉がいくつも存在します。
その中から近い言葉を3つご紹介します。
- 「憧れ」【あこがれ】
- 「嫉妬」【しっと】
- 「憧憬」【どうけい、しょうけい】
「憧れ」【あこがれ】
「あこがれ」と読みます。
日常的に使う言葉ですが、意味をひも解くと「理想とする物事に強く心が引かれる」ということです。
例えば、現在の自分では達成していない目標や、手に入れたいけれどまだ手に入っていない物を相手が持っている時にそれを単にうらやましがるだけでなく「自分も早くそうなれるように頑張ろう」「同じように自分もなりたい」と強く願うことが「憧れ」です。
憎しみや怒り・妬みなどの感情は無く、尊敬や慕う気持ちから生まれる感情です。
「嫉妬」【しっと】
「しっと」と読みます。
この気持ちが生まれる元は「憎しみ」の感情だとされています。
自分と相手を比べ、自分より立場が下だと思っている相手が、良い思いをしたり恵まれて幸福であることを許せないと思う気持ちを指します。
また、三者関係で自分が好意を寄せている相手が別の存在へ好意を寄せることを恐れて、別の存在を憎んでしまう気持ちでもあります。
よく恋愛関係で使われることの多い言葉です。
「憧憬」【どうけい、しょうけい】
この言葉は「どうけい」とも「しょうけい」とも読みます。
「あこがれ」の気持ちを表す言葉です。
本来は「しょうけい」が正しい読み方で「どうけい」は慣用読みです。
慣用読みというのは、本来は間違っている読み方が一般的に浸透し、定着した読み方のことです。
「憧憬」もそうで、「どうけい」という誤読の方が一般的に定着したため、現在ではどちらでも良いとされています。
「羨望」の使い方
実際に「羨望」を使った例文を2つご紹介します。
- 「羨望」の例文1
- 「羨望」の例文2
「羨望」の例文1
「彼女は才色兼備で、羨望されてばかりだ」
人として他人から羨ましがられる事というのは、人が人生において大事とする物事が備わっているかや取得できているかに関わります。
人が人生において重要視するのは主に、生活に関わるお金、他人とのコミュニケーションや恋愛に深く関係する容姿や性格、生涯携わる仕事の業績です。
天は二物を与えずとは言いますし、皆が欲しい物全てを手に入れている人というのはなかなかいません。
しかし、そのうちいくつかを合わせもっている人というのも多少存在するのです。
容姿も性格も良く、皆から頼りにされて仕事もバリバリこなす人。
学生で言えば皆からの人気者で頭もよく、スポーツもできる人。
そういった人を「才色兼備」と呼びます。
他人から見て到底自分がかなう相手ではなく、自分以上に優れていると分かれば妬むよりも「うらやましい」といった気持ちや、「すごい」という尊敬の気持ちを抱きますが、そういった気持ちを「羨望」と表現します。
「羨望」の例文2
「彼の仕事ぶりには羨望の念を抱く」
自分が持っている才能や力では同じことが成し遂げられない時に、他人を羨ましく思う事は誰しもあります。
この例文のように、自分も同じように仕事をしているつもりでも、ひとつ抜き出て活躍している人には到底かないません。
「念」というのは気持ちの事で、心に常にある強い気持ちです。
自分もそうなりたいとは思ってもなかなかなれない、憧れのような存在に対して、うらやましくもあり、そうなれない自分に少し腹立たしくもある「羨望」の気持ちをずっと心に抱いていることを表しています。
「羨望」を使った言葉
「羨望」という言葉とセットで慣用句の様に使われている言葉があります。
2つご紹介しましょう。
- 「羨望の的」
- 「羨望の眼差し」
「羨望の的」
これは書籍やテレビなどで聞いたことがある言葉ですね。
「せんぼうのまと」と読みます。
的というのは弓を射るときの標的ですが、それが転じて「対象」という意味があります。
つまり、「羨ましがられる対象」という意味です。
まわりの人が誰しもうらやましく思っている、公にそれが広まっている人を指して「あの人は羨望の的だ」という風に使います。
「羨望の眼差し」
「せんぼうのまなざし」と読みます。
羨ましいと思いながら見つめる目の表情を表した言葉です。
「いいなぁ」と思いながら物欲しそうに見つめているようなイメージです。
うらやましいというのは、自分よりも優れていたり恵まれている人物に対して抱く気持ちです。
「自分もそうなれたらいいのに」という願望や「自分には到底無理だ。
すごいなぁ」という尊敬の念が、じーっと見つめる視線に表れているということです。
「羨望」の語源や意味を分解して解釈
「羨望」という字は2つの漢字から成り立っています。
1字ずつ分解して見てみましょう。
- 「羨」
- 「望」
「羨」
「うらやましい」という言葉を漢字にすると「羨ましい」と書き表わすことからわかるように、「羨」とはうらやましいという意味があります。
他にも、「あまる、残る」という意味も含まれています。
「望」
「望」の字にはたくさんの意味があります。
遠くを見渡したりするという意味の「展望」などの意味や、ねがったり待ち望むという意味の「願望」などです。
「羨望」というのはうらやましく思う事ですが、うらやましいという気持ちを表す「羨」に、ねがったり待ち望むという意味の「望」が合わさることで、「うらやましく思い、自分もそうなれればと望む」という気持ちが表れていると言えます。
いかがでしたか。
人間というのは一人では生きていけないと言われる程、誰かとコミュニケーションをとって助け合いながら生活しています。
自分とは違う性格、個性を持った誰かと接していると「羨望」の念を抱くこともあるでしょう。
しかし同時に、相手もあなたに対して「うらやましい」と思う気持ちを抱えているかもしれません。
「羨望」とは、「自分にないものを求めうらやましがる」という人間の気持ちをよく表した言葉と言えますね。